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「ダンタリアンの書架」、「うさぎドロップ」、「No.6」、「異国迷路のクロワーゼ」。なんつーか、櫻井考宏の無駄遣い感も無しとはしない「ダンタリアン…」、世の紳士方が一命を賭しても守りたいと思わせる物がヴィオラさんから微塵も伝わって来ないってのがなんだかなー、と。古来傾城の美女なんてのはおしなべてそういう物なのかも判らんけど。「うさぎドロップ」はディティールの描き込み(時間割の再確認とか。オレの時はそんなの無かったけど)が大変気持ちよい。コウキ、突然おいしいキャラになったな。「No.6」もちょっと面白い気がしてきた。根っこにあるのは「都市と星」(つーかむしろその元ネタの『銀河帝国の崩壊』?)っぽい何かなのかしらね。
「クロワーゼ」は、浮浪児役の儀武ゆう子にできるだけ喋らせない、というアニメスタッフのおかしな方針に妙にほくそえんでしまう自分がいる、ってあたりで。あ、いやいやもちろんわたくしも、病気の時の湯音は、せめてハダジュバーンに着替えるべきだとは思いましたですよ(^^;
大森望・日下三蔵 編
アートワーク Nakaba Kowzu
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
創元SF文庫
ISBN978-4-488-73404-6 \1100(税別)
2010年の日本SFの収穫13編に、第2回創元SF短編賞の受賞作を合せて収録。今回の受賞者、酉島伝法氏の本職はイラストレイターということで、ご自身の筆になるイラストも併せて収録されている。
梅雨の終りにやってくる分厚い本。とは言え今回は14編なので去年よりはちょっとだけ軽くなったかな。という所でいつものようにがんばって、各作品の感想、いってみよー。
医学とバイオテクノロジーの進歩によって夢想だにしなかった長寿をついに手に入れた人類。だがそれはすべての人々のためではなく、やがて生まれてくる子供たちに約束されたものだった…ぐらいは書いてもネタバレにはならないよね? タイトルである程度予想できると思うし。やがて出てくるであろう長命種を、今体内に宿す母たちの心情は、みたいな所にスポットを当てつつ、割と牧歌的なテイストで語られる現代文明への軽い皮肉、みたいな。
西にスチームパンク的蒸気駆動コンピュータがあれば、東には人力駆動コンピュータがありまっせ、的な。冲方丁、小川一水と、若いけれどもある意味端正なスタイルを持っている(と自分は思っている)作家二人が、揃って意外とクセ球風味な作品を放ってきたってあたりが今回のアンソロジーのある意味方向性になるって事なんだろうか。こういうのは田中啓文の守備範囲なんじゃないの? って気もしなくもないけどね。
作者の一連の作品世界に連なる作品で、異形の物が微妙に紛れ込んだちょっと未来の社会において、人であることと人でないことの差、のような物はどこに生まれるのか? ってあたりに踏み込んだようなお話、と言えるだろうか。
こちらは既読。当たり前ですが変わらず良いお話。お話のあとの「著者のことば」でちょっとクスッとさせてもらった。
今回収録された唯一のコミック。若干昏めのジブリテイストで描かれる、なんだろうなあ、「COM」的、ってのともちょっと違うな、「マンガ奇想天外」とか、ごく初期の東京三世社のSFコミックアンソロジー的な味というか。自分としては、なんだか懐かしい物を読んだような気になった。このページ数でこのお話(なにせ女の一生がテーマだからね)をまとめる手腕は、かなりのモンだと思ったです。
機龍警察のスピンオフ作品、ってことで、向こうでも感じた「SFか?」感はさらに増幅され、「SFじゃないよねこれ、でも…」ってお話になっている。ただこちらのお話で重要なのは「でも…」の方であって、お話としてちゃんとしてるんだ、これ。オーソドックスな警察小説の掌品として、かなり良い出来だと思います。
いわゆる特装本的世界と、この人お得意のバイオの分野をゆるーく絡めてきた作品。電子書籍だの自炊だのが話題になっているご時世に、いつクリフ・ジェーンウェイがお邪魔してきてもおかしくないようなお話を瀬名秀明が書くというのは、それだけである意味SFなのかも知れない。逆に言えばそれだけの、「ある意味SF」より先に突き抜けてはいないような気も。
いかにもこの方らしい、小説の言語にまで数値化や意味づけを試みる、とんがった理系SFで訳のわからなさは天下一品。ただ、「理系の頭を持った人ってのはこういう面白がり方が出来るんだな」ってのを何となく感じ取れるあたりは収穫なのかもしれない。
大学のSF研究会の会誌に発表された、ある意味商売ヌキで書かれた作品で、なんつーか、悪ふざけなのかかなり考え抜かれたパスティーシュなのか、なんとも判然としないような。妙な味があることは確かです。タイトルの「ゼロ年代」が意味する物がある意味SFか。ニコ動ふうにコメント入れるなら、「ヨコジュン『ガタッ!』」って感じかね(^^;
NOVA3に収録されてたので既読。前にも書いたけど、もっと読ませて、ってところだよな。
「非実在うんちゃら」に対する義憤抑え難く、な、ある意味ストレートなメッセージを込めた作品といえるのだとは思うけど、そのストレートさは却って
気色悪い。
ここまで技巧を放ったらかしにして一方的にメッセージを伝えられると、オジサンは引いちゃいます。
「アリスへの決別」が特定の嗜好に対する一方的な規制への抵抗を少々ナマ(すぎ)な形で垂れ流したお話だったとしたら、こちらはその「特定の嗜好」とはそもなんなのか、という部分に深々と斬り込んできた作品で、おそらく自分的に本書の白眉はこれ。
作者の長谷さんの本、これまで一冊も読んでいなかったことを少々恥じております。なぜスルーしてたんだろう。今度街に出たら、長谷さんの本を買って帰ることをここに誓います。
本書における個人的な安心銘柄なんだけど、なんだろうなあ、ここに来るまでの流れが少々澱んだ感覚の方にシフトしていたものだから、ドンドンパチパチやったあとにちょっと静かめな味のお話が来てくれて、読んでるこちらがちょっとホッとする、というような効果はあんまり無い。このお話自体はいい感じに洒落ているんだけどね。本書の最初にこれを持って来た方が良かったんじゃないだろうか。
第2回創元SF短編賞受賞作。その作品世界のイメージの奇想っぷりは本書中でも群を抜く。レナルズ的な世界というか、最近だと「ねじまき少女」あたりの世界観にも通じる物があるだろうか。どろどろ、ぬちゃぬちゃ、どばーでぐへー、みたいなね(全く分らん)。そんな世界でうごめいている登場人物達はいったいどういう連中なのか、ってあたりにSF的なアイデアがさりげなく込められているというか。正直お話としてはまとまっているとは言えないんだけど、とにかく奇想の部分の念の入りっぷりが強烈で、ストーリーの方は無理くり「ついてこーい!!」で引っ張ってこられてるって感じがある。で、このお話に関してはその無理くり感があんまり気にならないくらい、奇想の方が強烈なんだよね。今回に限っては、って条件付きになるかもしれないけれど、これはこれで、アリだよな。
てことで。いずれ劣らぬ力作ぞろいであることは認めるんだけど、年間SF傑作選としてのチョイスとしてこれはアリなのかな? これが2010年の日本SFであったとするならば、去年の日本SFはひたすら内へ内へと潜り込むだけの1年であった、という事になってしまうんじゃないかと思ってしまうのだが。突き抜けるように爽快なSFはひとつもなかったのだろうかね? そんなお話も混ぜて欲しかったな。もうちょっと厚くなっても良いからさ。
★★★☆
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