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ジェニファー・フェナー・ウェルズ 著/幹遙子 訳
カバーイラスト 鷲尾直広
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012048-1 \1000 (税別)
1964年、火星探査機マリナ-4号がグレーター小惑星帯にその存在を発見した物体。それは動力を失って漂流しているかに見える宇宙船だった。それから数十年、NASAはこの宇宙船の存在を世間には秘匿しつつ慎重に観察を続けていたのだがここに来て事情が大きく変わる。木星の引力の影響を受けて軌道が変わった小惑星が、この宇宙船との衝突コースをとっていることがわかったのだ。ここに来てNASAは、火星探査ミッションに見せかけて、この宇宙船を探索し、可能ならば小惑星との衝突を回避させるべく、極秘のミッションを企画する。そのミッションのキイになるのは言語学者、ジェーンだった…。
ファースト・コンタクトとそれに伴う諸々、異星文明の人類のそれとの違和感、そこから発展する人類の起源とは、みたいなところまで話を拡げていく展開のしかたはそれだけ見れば堂々たるハードSFになりそうなんだけど、読んでいくとそこのところのテンションは意外に緩めで、むしろ登場人物たちの人間関係のややこしさの方に針を振ったような造りになっている。さらにハードSF部分の様々なシチュエーションが、正直「あるある」で済んじゃうところも緩さに輪をかける結果になったと言えるかも。理屈はわかるけどうん、知ってるよ、って気分で読めちゃうあたりが必要条件は満たしているけど充分条件としたらどうなのか? と思える読後感を生んでいるのかも。
人間関係のややこしさ、ってところに結構筆を割いている、というのは著者のウェルズさんが女性である、と言うところもあるのかも知れない。amazonのレビューでクラークかと思ったらアンマキャだった
ってのがあったけど、うん、自分もそれは思った。なんと言うんだろうね、男女間のやりとりがある時に、微妙に女性側がイニシアチブを取りつつも、どこかで男性にもいいとこ見せる場所を用意してあげる感じ、ってあたりに女性作家の描くSFっぽさ、みたいなものはあるなあ、と。そこは今様と言えば言えるのかも知れない。
ということで先に書いたとおり、必要な条件は満たしているけど(感動、という点において)充分とは言えない出来の作品、と言うのが妥当なところだろうと思う。総じてユルいのだよね。ただこのユルさ、自分はけっして嫌いじゃない、というか今の自分の本読みのスタイルからしたらこのユルさ、案外ちょうど良い、ってところに収まってるあたりがなんとも言えん微妙な感じ。ダメだなー、と思うんだけど同時にこれはこれで良いかも、と思ってる自分が居るのね。どっちかと言えばダメな方にランクすべき作品である、というのは理屈ではわかるんだけど「んでもこれ、そこそこ面白いぜー?」とも言いたくなっちゃう、という(^^;。
多分客観的に評価したら松竹梅の竹、だと思うんだけど個人的には「SFを楽しんだ」感はありました。普段SFをあんまり読まない人だったら結構楽しめるのじゃないでしょうかね。
★★★☆
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