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撃墜数60機以上、百数十を超える出撃回数がありながら、ついに僚機を一機も失わなかった日本海軍のトップエースの一人、坂井三郎の国内外でベストセラーとなった自伝
あまりにも有名な本だけど実は今までちゃんと読んでいなかった。坂井三郎さんという人は小学校の高学年のころ、学級文庫に入ってたノンフィクション全集(ざっと調べてみたけど、多分講談社の「少年少女世界の名著」ってヤツだと思う)でその名を知り、続いてサンケイの「第二次世界大戦ブックス」の「零戦」(マーティン・ケイディン 著)で「大空のサムライ」と言う本を書いてらっしゃる、と言うことを知り、ついでにこちらの本で、「大空のサムライ」のさわりの部分は読んでいたんだった。
で、古本屋を始めてから光人社のNF文庫版は入ってきたこともあったんだけど、そのうち読もうと思ってると割にさくっとお買い上げいただいちゃって、なかなかまとめて読めない状態が続いてた。「第二次世界大戦ブックス」の方も売れたり再入荷したりがあったんだけど、先日ひさしぶりに「零戦」を買い取らせていただいたんで久しぶりに読み返してみた。んでふと、この(『零戦』で記述されてる)「大空のサムライ」の記述は、坂井さんの本の引用になっているんだろうか、それとも坂井さんの本→英語版「Samurai」→オリジナルの第二次世界大戦ブックス→加登川幸太郎氏による日本語版(以下サンケイ版、とさせていただきます)、と言う流れで文体とか変わったりしてるのかな? ってところが気になって。
んで読んでみたら、これが見事なくらい原典とは別物になっていて逆に興味深かった。個人的には熱めの原典、何となく理知的にソフィスティケイトされたサンケイ版、と言えるかな。一人称が原典の「私」からサンケイ版の「わたくし」に変わった時点ですでにかなり印象は変わってくるし、英語版「Samurai」ではサンケイ版の著者であるマーティン・ケイディン氏は共著者と言うポジションにあることもあって、いくつかのポイントで原典に追加された部分があったのかも知れないな、なんて思った。
サンケイ版「零戦」でかなり上がるポイント、硫黄島上空1対15の死闘(有名ですね)の一節、サンケイ版で子供心にしびれたところがあって、それは
坂井、翼を上げておけ、翼端で水をきるぞ
というところ(ここだけ引いてもわけわかりませんね)なんだけど、原典ではそういう記述は全くなくてかなり驚いた。自分がおおむね40年ぐらいこう言うものだ、と思っていた「大空のサムライ」の記述は、実は英語版に翻訳された時に加筆されたかも知れない部分だったのだね。で、そこのところ(英語版で加筆された部分をもう一度日本語にする、という仕事)において、サンケイ版のスタッフはかなり良い仕事をしたんじゃ無いかと思った。
原典はもちろん読み応えのあるもので、特に日本的な徒弟制度をベースにした搭乗員育成プログラムが、よりシステマティックなアメリカのそれによっていつの間にか後れを取ってしまう、という、先の戦争を象徴する流れにちゃんと視線を向けた上で、ちゃんと痛快な戦記部分も疎かにしていない構成はなかなか。その上で「第二次世界大戦ブックス」で青二才の頃にそれなりのミリタリ知識を得ることができた世代としては、ちょっぴり愉快な経験をさせていただきました。
こちらがサンケイ版。当たり外れのあるシリーズですが、マーティン・ケイディンは割と信用銘柄だと思いますよ。→Amazon(ユーズドのみ)
★★★☆
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