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ラメズ・ナム 著/中原尚哉 訳
カバーイラスト Ray.Hori
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012142-6 \860 (税別)
ISBN978-4-15-012143-3 \860 (税別)
進歩した神経科学は通常の人類とは異なる、ポストヒューマンと呼ばれる新しい人類の出現の可能性を拓く。その先進性に人類の強制的な支配力の存在を感じとった各国は、ポストヒューマンとそれに関連する先端技術の発展を危険視し、制限しようとしていた。そんな中、ナノマシンを貸した全く新しいドラッグ、ネクサスシリーズを産みだした若い天才達のグループがあった。その中の一人、ケイドはシリーズの最新バージョン、ネクサス5を使った様々な可能性の検討を行っていた。だがその行為を危険視した米国は、彼の許に対策チームを送り込んできた…。
それを使う者が自動的に繋ぎ合わされ、記憶、感覚、官能を共有でき、ってのは今ちょっと前例が出てこないんだけどそれなりにありそうな気がするし。アドオンを追加することで人間に様々な能力や知力を上書きできる世界、というのはたとえばエフィンジャーの「ヴーダイーン」ものとか、そちらもまあ全く新鮮というわけではない。ただ、そこにOSの概念を持ち込んできたあたりはちょっと新しいと言えるかな。あと、こういうお話の場合、SF的設定の凝り具合とは裏腹に、敵味方の設定なんて「お話」の部分は結構単純な構造になっているものなんだけど、本書はそこらにもちょっとスパイスを効かせてきてる感じはある。どうかするとアメリカが、トランプ以降のアメリカに見えて来るあたり、意外に未来を見通していた(本書の刊行は2012年)と言えるのかも知れない(^^;。
いろいろ「ちょっと新しい」ネタを仕込んできたこのお話、やろうと思えばたとえばイーガンSF的な厄介なSFの方向に持って行くことも可能だったんじゃないかと思うけどそちらに行かず、エンタティンメント作品としてそれなりに考えられた作品になっているあたりは個人的に高評価。ややこしい背景はあるけどそれはそれとして、バイオレンス多めのエンタティンメント・アクションSFとしても成立していると思うのね。
キャラ立てが上手く行った、と言うことなのかも分からんけど、SF的な仕掛けに被さる物語のパートの気配りみたいなものがなかなか良い感じで、そこに星を奢ってあげたい気分にはなるね。主人公ケイドの対になるヒロイン、サムの心変わりのプロセスに若干首是しづらい所があったりもするにはするし、作中で登場する「マイ」と言うキャラの扱いはそれでよかったのか? とか、それなりに言いたい所はあるんだけど、エンタティンメント作品としたらこれはそれなりに悪くない、と言えるのでは。
三部作、と言われてちょっと萎えちゃったんだけどね(^^;
★★★☆
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