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お坊様に会えたらちょっとお話ししたいこともあったので、お天気はちょっと心配だったけど納骨堂にお参り。家を出た時は雨だけでこれなら何とかなるかな、と思ったんだけど三宮まで降りたあたりで風も強くなってきてちょっと閉口した。320円のビニ傘、見事に粉砕されましたわ(w。
んまあ親父とお袋にお供えして(あ、これじゃ親父がお茶でお袋が酒だな)新開地まで戻って串カツ屋で一杯やってる間に雨も上がったんで帰りは良かったんだけど。
次はお袋の一周忌に会わせて12月に寄らせてもらいますんで、それまでゆっくりね。
ジョー・ウォルトン 著/茂木健 訳
カバーイラスト 丹地陽子
カバーデザイン 波戸恵
創元SF文庫
ISBN978-4-488-74903-3 \1300(税別)
2015年、介護施設に収容されている老女パトリシア、極めて混乱した状態にある、と診断される彼女はしばしば職員に対して事実や現状とは異なる事を述べるのだが、それらは彼女の中では基本、それなりに筋が通っている振る舞いだった。1926年生まれのパトリシア、彼女の人生の中では一度、極めて大きな選択の機会があり、そこを分岐点にしてイエスとノー、二つの選択をした結果の人生の記憶が同時に残されていたのだ。片方はパット、もう片方はトリシア、後にトリッシュと呼ばれることになるパトリシアの二つの人生には何があったのか…。
「図書室の魔法」のジョー・ウォルトンの新作。正直「図書室の魔法」にはさほど高い評価はできない、的な感想を残しているんだけど、今回は完全に評価が変わった。これはかなり、ステキだ。
お話はあらすじのような導入から、二つの異なる時間線に生きるパトリシアのエピソードが交互に語られる、わけなんだけどそれ以前にお話の導入部からちょっと「おや?」と思わせる所もあり、必ずしもこのお話は、現在只今の我々が生きている時間線とはちょっと違うのかも知れない、という予感をいだかせつつ、それでもお話は、少なくとも先に述べた、パトリシアにとっての大きな選択の瞬間まではそれなりに納得できる展開が続く。その上で彼女の前にやってくる選択とは、と言う所から微妙に私たちが知る歴史とは少し異なる近代史が展開していく。
その二つの時間線は、たとえて言うなら個と全の対比、と言えるだろうか。パットと呼ばれるパトリシアの人生は、自ら様々な物事を選択し、積極的にそこにコミットし、信頼できる伴侶や友人たちに恵まれてはいるが、世界の情勢は我々が知る近代史よりはかなり昏い。一方トリッシュの人生は、私生活的には周囲の無理解と偏見などもあり、必ずしも恵まれた日々とは言えないのだけど、世界はおおむね良い方向に進んでいる。この対比を楽しみながら読んでいける所が、とても良く出来ているのだと思う。特に大きな事件が起きたりすることもないのだけれど、二つの時間線にいるパトリシアの人生を丹念に追っていくこと自体が、なんとも言えん楽しみをこちらに与えてくれるのだね。
そのうえで二人のパトリシアがたどった人生とはどちらかが幻だったと言うことなのか、それとも本当に二つの時間線は存在していたのか、ってあたりはまあ、読んでのお楽しみ。「図書室の魔法」同様SFと言うよりはファンタジー寄りの作品だとは思うけど、それでも一種の時間改変SFの趣もあり、なかなか興味深い。何より「物語」としての強度が前作よりかなりしっかりしているように思った。そこのところ、とても気に入りました。おもしろかったです。
★★★★
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