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レイ・ヴクサヴィッチ 著/岸本佐和子・市田泉 訳
カバーイラスト 庄野ナホコ
カバーデザイン 波戸恵
創元SF文庫
ISBN978-4-488-76801-0 \1100(税別)
1967年、僕とルイーザは恋人同士で僕は宇宙関係の進路を模索し、ルイーザはタンジールで悟りを得ようと考えていた。当然ふたりは別れ、程なくルイーザの訃報が届く。ところがそれから30年後のクリスマス・イブ、死んだはずのルイーザからの電話が。彼女の言葉は「月の部屋で会いましょう」だった……。奇妙な味わいに満ちた短編集、表題作を含む34編を収録。
全く知らない作家なんだけど創元「SF」文庫に入っているんだから、と言う理由だけで買った本。なにせ34編も収録されている訳だから、ひとつひとつはほぼショート・ショートの分量。なんだけど通常のショート・ショートとはかなり趣が異なっている。
普通ショート・ショートってのはそのボリューム故にお話の鮮やかなどんでん返しに魅力がある訳で、そのためには「今どんでん返しが起きた」と言うのが間違いなく解るようになってなくちゃいけない。古くは星新一、90年代の草上仁、最近だと(ショート・ショートというよりはちょっと長いかも知れんけど)ジェフリー・ディーヴァーの「クリスマス・プレゼント」なんてのが代表格か。ディーヴァーの本なんかはそもそも原題が"TWISTED"。トゥイストこそがショート・ショートのキモ、と思ってたんだけど、そんな先入観で本書を読むと、相当困惑することになる(^^;。
全体にショート・ショートの端正な構造を維持することよりも、お話の流れの微妙な不可解さと、そこから導き出されるなんとも言えん居心地の悪さ、みたいな物が逆に魅力になっている、と言うことだろうか。全体に「不思議」を提示して、それを「不可解」でぶった切る造りと言えるのか。
物によってはそれでも、ああこれはこの作家なりのホラー表現なんだな、とかこれは何となく白人マチズモへの皮肉なのかな、と想像できるお話もあるにはあるんだけど、大半のお話はおかしな事をおかしなまま放り投げ、さてどうだい? と問いかけてくるような感じ。何というかな、正しい比喩かどうか自信はないけど吉野朔実さんが「異形コレクション」を描いたらこうなるんじゃないか、って気が少しした。「いたいけな瞳」とか「ECCENTRICS」に納められてる短編のニュアンスを感じたことでした。ワケ解らん話総進撃なんですが、意外と捨てがたい魅力のある短編集かと思います。奇想爆裂な「俺たちは自転車を殺す」、世代的にどうしてもEL&Pを想起してしまう「最終果実」あたりはかなり好きかも。
★★★☆
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