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2018-07-22 [長年日記]

[Books] 多々良島ふたたび ウルトラ怪獣アンソロジー

多々良島ふたたび(山本弘/著 北野勇作/著 小林泰三/著 三津田信三/著 藤崎慎吾/著 田中啓文/著 ほか) 山本弘 小林泰三 他著
カバーイラスト 開田裕治
カバーデザイン 伸童舎
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031334-0 \1060(税別)

みんなユリっぺ好きやなあ(オレもだけど)

かつてレッドキング、チャンドラーらが暴れ回った多々良島。今、この島にふたたび人間たちが上陸した。破壊された観測基地を修理、復旧させるために。だが、なぜこの島に怪獣たちが跋扈していたのかについてはいまだに明らかにはなっていない。慎重に再調査を開始する隊員たちだったが…。「ウルトラ」シリーズをテーマに7人の作家が新たな物語を紡ぎ出す。作品ごとに各作家のあとがきと、それぞれ異なるイラストレーターの挿絵付き。

ということで。早速行きまっせ。カッコ内は作家/イラストレータの順です。

多々良島ふたたび(山本弘/田中光)

多々良島の秘密、なぜピグモンだけは人間の味方をしてくれたのか、そもそもなぜにピグモンはガラモンにそっくりなのか、ってあたりに、いかにも山本弘らしい語り口でケリをつける。構成として大変端正な作品と言えるか。なんだろうね、出来が良すぎて却って可愛くない、というか(^^;。ただ、イラストまでもが伏線として機能しているあたりはなかなかのもんです。

宇宙からの贈りものたち(北野勇作/藤原コウヨウ)

タイトルからして連想されるのは「あれ」ですけど書き手が北野勇作さんなのでね。すっとぼけた、人を食った話になっている。ついでに卵も食う(w。なんだけど世界観としては結構「Q」のそれを上手に取り込んでいると思う。ほんとにさ、あのときバルンガが居てくれたらな、なんてちょっと思ってしまったよ。

マウンテンピーナッツ(小林泰三/鷲尾直広)

「健康のためなら死んでも良い」というジョークがありましたが、過激なまでの環境保護団体と、ウルトラマンは「何」を護るのか、の相克がテーマ。今「ウルトラ」をやるのなら、当然このテーマを持ち込むのは有りだろう。トリッキーだし、「ウルトラ」っぽくないとも言えるかも知れんけど、それだけにクセ弾としてこういうのはアンソロジーのスパイスとして必要ですよね。

影が来る(三津田信三/樽喜八)

本書中唯一、純粋SF畑ではなくミステリ・ホラーのジャンルの作家による作品。これが「ウルトラQ」の世界観に素晴らしくマッチしている。作家ご本人があとがきで説明されているとおり、むしろ「怪奇大作戦」のいちエピソードとしても充分通用すると思うけど、その舞台仕立てや小物の使い方で、これはこれでしっかり「ウルトラQ」のエピソードとしても機能していると思った。そもそも「Q」には怪獣出てこないエピソードもあるもんね。本書の中では一番完成度が高いのではないでしょうか。

変身障害(藤崎慎吾/大石まさる)

ある日突然「変身」出来なくなってしまった男。その原因を探るため、メンタル・クリニックの門を叩いた彼の名は、モロボシ・ダン…。ウルトラセブン誕生のエピソードと、セブンが地球で活動するためのアバターを手に入れたと言うことは、アバターとオリジナルの関係性に問題は発生しないのか、するとしたらそれは…的な。「マックス」のネタまで網羅して、ちょっとコミカルな風味も込みのミステリ・ハードSFと言えるかな。しかも結構ラストはハートウォーミングに〆るという。大変結構でした。

怪獣ルクスビグラの足形を取った男(田中啓文/工藤稜)

日本にばかり集中的に出現する怪獣たち。それは日本人にとってはある意味アイドル的に情報が要求されるジャンルになっていた。そのニーズを満たすため、怪獣の足形を取ることに命を賭ける男たちのお話。なにせ田中啓文さんなのでね、真面目に向かい合うと酷い目に遭うのは判っているんですが、で、確かにそうなってはいるんですが、それ以上にファンの熱さ、みたいなものがストレートに伝わって来てなんだか嬉しくなってしまう。大伴昌司は反則です(w。

(あと)(まつ)り(酉島伝法/加藤直之)

「ティガ」に倒した怪獣の後始末はどうするのか、ってネタがありましたがある意味そちら方向にシフトしつつ、いかにもこの作家らしく大変にトリッキー。これはもはや「ウルトラ」の範疇からははみ出してしまっているのじゃないかしら。ラストに本作を持ってくる、ってあたりがハヤカワらしいと言える、の、かなあ…。

ってことで。総じて楽しめたので良かったですが、おそらく年齢的にさほど離れてはいない人たちが描く「ウルトラ」たちなはずなのに、自分が漠然と「ウルトラ」に対して思っているものと、本書で展開される「ウルトラ」の世界観には結構乖離があるんだな、ってのは割と新鮮でした。クセ弾が良いのか、王道で攻めて欲しかったのか、って話になるのかも知れないけれど、そういう点では自分は王道をちゃんと踏まえて欲しかった方なのかも知れない。そういう意味では「影が来る」、「変身障害」あたりが自分的にはとても好きですね。

★★★★

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]
taoy@笹塚 (2018-07-23 10:20)

おぉ、私も「変身障害」と「影が来る」が出色でした。楢喜八さんイラストも良かったです。というか、作家さんたちそれぞれがそれぞれの熱さで書いている感じがステキなアンソロジーでした。


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