ばむばんか惰隠洞

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2007-01-04 [長年日記]

[Books] 極東細菌テロを爆砕せよ ダーク・ピット 18 (23:35)

41021703914102170405 クライブ・カッスラー&ダーク・カッスラー 著/中山善之 訳
カバー装画 岡本三紀夫
新潮文庫
ISBN4-10-217039-1 \667
ISBN4-10-217040-5 \667

ヒーロー多すぎ

アラスカ沿岸に発生したアザラシの突然死を追う科学者チーム。だが気がつくと彼らもまた、突如として自らの自由を奪われて氷原に倒れ伏し、緩慢な死の訪れを待つばかりの状態に。そんな彼らを救ったのは、印象的な緑色の瞳を持つ男だった…。

去年のうちに読んじゃうつもりだったピットものの最新作。なぜか最後のパートで放ったらかしになってて、結局読み終えるのに年を越すことになってしまった。さてこのシリーズにすでにおなじみの読者なら、こいつはまず、過去に失われた船なり何なりの乗り物(木馬もまあ、乗り物だよな)のエピソードが語られ、それが舞台を現代に移したときに、ピットの冒険に深く関わってくる、と言う構成を毎回取っていることは先刻ご承知だと思うわけだが、本書の冒頭に登場するのは、旧日本海軍の伊号403潜。な、なんだってー!? てなもんですわ。おじさん一瞬色めき立ってしまったよ。

まあカッスラーがあの映画を見てたとはとても思えないんで、真剣に期待した訳じゃないけど、でもこのシリーズでは前にも、水モノSFファンが卒倒するようなアイテムがしゃあしゃあと登場してたりするんで油断できないかな、などとちょっぴり期待して読んだんですが、さすがにそっち方面のサプライズはなかったな(まあ当たり前)。

前作で本格的に本編に絡むようになったピットの双子、ダーク・ジュニアとサマーを徐々にだが主人公として扱いつつ、これまでこのシリーズで活躍してきた脇役さんたちも相変わらず健在で、あれだ、気がついたら大統領を補佐するのが全員顔見知り状態になっちゃったジャック・ライアンと同じような状況になっている。父のピット(大ピット?)はNUMA長官、NUMA長官だったサンデッカー提督は合衆国副大統領ですもの。ある意味海に出たら最強なメンツが今回立ち向かうのは、北朝鮮(伏せておく方が良いと思うけど、帯にでかでかと書いてあるんで隠しようもありませんわ)。

なにせいろいろ貧乏な国なので、アメリカに攻撃かけるにもすぐには有効な手段が得られない。そこで意味を持つのが伊号403潜(の積み荷。もちろん人造人間の心臓とかじゃないぞ)というわけだ。

荒唐無稽のギリギリ一歩手前、と言うか時々徳俵からも半歩ばかり足を土俵外に出しつつも、ノリの良さでぐいぐい読者を引っ張るのがこのシリーズの魅力なんだけど、んむ、今回は土俵の外に出た足が結構気になるような作品になっていると言えるかも知れない。有無を言わせぬ面白さ、にちょっと欠けるのだな。理由ははっきりしてて、主人公多すぎなんだよね。

レガシーな主人公であるところのピット(父は『ピット』、息子の方は『ダーク』で表記されている)とジョルディーノのコンビ、ダークとサマーの美男美女・二卵性双生児コンビ、さらにピットに対するジョルディーノよろしく、ダークにはダールグレンと言う相棒が用意されている。男4、女1では戦隊ものではないか。しかも問題なのはこの戦隊、レッドグリーンレッドグリーンピンク、というやたらいびつな構成の戦隊なので、役割分担がどうにもうまく機能してないのだよね。特に二人のダークに何とか見せ場を用意しようと苦心して、どっちの見せ場もイマイチ盛り上がらないままお話が終わっちゃう。残念でした。

次回作では、ピットとジョルディーノをブルーとかブラックの位置付けにしてやった方が良いと思いますよ、カッスラー親子さん。まあお屠蘇気分で読む分には悪かぁなかったですけど。

(★★☆)


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