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神林長平 著
カバーイラスト 菊池健
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-030893-3 \620(税別)
タイタンの原生動物の保護活動に携わるモーチャイ。そのカリスマ性からたちまち多くの賛同者を集め、彼が率いる運動は、タイタンの海からの資源採取をもくろむ太陽系きっての複合企業、ツザキグループにも無視できない影響を与えていた。ツザキグループの総帥、ヨーム・ツザキは一切の前置き抜きでモーチャイの前に現れる。ヨーム・ツザキ、太陽系を牛耳る複合企業の大立て者にして齢は100を遙かに超える謎の人物、と噂されるその人の正体は…。
書き下ろし新作となる「敵は海賊」シリーズ第7作。神林SFと言えば認識とコミュニケーションをテーマに、重層的に入り組んだ、油断ならないSFを書く人、と言うイメージがあるわけだが、今回は、そんな、こちらが持って板神林SFに対するイメージを少しばかりぶちこわしにした作品になっている。ぶちこわしにしたことが良い方に向いたのか、悪い方に行ったのかは、ちょっと今の時点では判断できない、かな。お話の構成、テーマの扱い方なんかに、いつもの神林SFとちょっと違うかな? 的な違和感を感じつつも、まあこれはこれで面白いっちゃ面白いよなあとも思えるわけで、その辺は少々微妙だ。
「敵は海賊」なはずなんだけど、実は本書では「敵ってなんだ?」ってところのほうに少々力が多めにかけられてる、ってところの違和感、最強のラスボスであるはずのヨウメイ(ホントは漢字なんだけど、今のところUTF-8でないと表示できない)のつかみ所のない強さみたいなものが今ひとつ伝わってこない、ような不満が終始つきまとうような本になっているように思えるのだった。
「敵は海賊」シリーズの面白さってのは、主役であるはずのラテル班のスラプスティクっぷりと、敵役のヨウメイサイドのシリアスさの対比の面白さと、基本ドタバタに見せてその実意外に油断できない、認識にまつわるテーマ性のようなものの絡み具合のさじ加減の巧さにあると思うんだが、そこらの面白さを犠牲にしてまで、「正義」ってのはなんなんだ? て所に踏み込んでみたのは果たして正解だったのか? って所が少々引っかかる。
結果的にヨウメイの神秘性が少々希薄(ここまでのシリーズでは、相当スラプスティックな展開でも、ヨウメイの『怖さ』みたいなのは軽くならなかったと思うのだよね)になり、海賊課の面々はさらなるコメディ・リリーフの役割しか与えられず、結局ラストはヨウメイサイドで完結している、てのはちょっとなあと言うところ。
と、いうか、いろいろ細かいところはさておいても、さぁ…
神林長平が「どっとはらい」とか、自分の小説内で使っちゃいけないと思うんだ。
★★★
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