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スタッフ
監督:クリストファー・ノーラン
キャラクター創造:ボブ・ケイン
原案:クリストファー・ノーラン/デヴィッド・S・ゴイヤー
脚本:ジョナサン・ノーラン/クリストファー・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
音楽:ハンス・ジマー/ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
クリスチャン・ベール
ヒース・レジャー
アーロン・エッカート/マギー・ギレンホール
マイケル・ケイン/ゲイリー・オールドマン/モーガン・フリーマン
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/thedarkknight//
バットマンの活躍は、ゴッサムシティに明らかな変化をもたらしつつあった。ダメージを受けた暗黒街の勢力地図に大きな書き換えの時がやってきたのだ。その中心に位置するのはジョーカーという名の一人の悪党。彼の登場は犯罪組織の勢力図のみならず、ゴッサムシティにおける犯罪のスタイルにまでも変貌を強要する。時を同じくするように、"光の騎士"の通り名で知られる敏腕検事、ハービー・デントがこの街を担当すべく着任する。彼の登場はゴッサムシティに何をもたらすのか…。
ティム・バートン版の「バットマン」の1作目で、初めてバットマンを呼ぶためのサーチライトを煌々と照らしたのがハービー。この時ハービーを演じてたのはビリー・ディー・ウィリアムズ。乱土・軽石庵、じゃなかった、ランド・カルリシアンの彼でしたな(w。さてそんな彼が空に向けて投射したコウモリマークは実にくっきりはっきり、誰が見てもお空にバットマークが浮かんでるぜ、と判るそれだったのだけれど、今回の映画で夜空に浮かぶマークは、気象状態がイマイチ良くないのか、照明に力がないのか、どうにもエッジのぼやけたマークになってしまってる。つまりはバットマンの存在そのものが、人が空を見上げたら、そこに疑いようもない形でヴィヴィッドに認識できるようなものではなく、そういえばあれはバットマンだねと判るかも知れない、ような扱いになっているわけで、これはつまり正義の味方と、正義の味方が存在するために必要不可欠な存在である強力な悪との関係は、簡単にきっちりくっきりと区別できるようなものじゃないですよ、それをこれからお話しますよ、って事を映画の序盤で宣言しているように思えた。悪の側が揺るぎないときに、正義はどうしてもあやふやで、そして手遅れな対抗策しか持って来れないんだよな、がテーマの一環、なのかな。
なので悪、とりわけこの作品ではジョーカーがたいそう魅力的だ。旧作でジャック・ニコルスンが演じたサイコなんだがスタイリッシュなジョーカーとはひと味違ったジョーカーをヒース・レジャー(合掌)が好演している。彼の表現するジョーカーはサイコで(セコい方向に)緻密。冷静に対応すればどうと言うことはないはずのジョーカーの悪だくみは、彼がとびきりのサイコであるが故に、何をしかけるか判らないという疑心暗鬼を正義サイドに植え付けて、対応のミスと被害の拡大を加速していく。このあたりの描写は怖い。ほんとに怖いのは「悪」の存在ではなく、「悪」に対峙する側の心根の動きと言うことか。「悪」に立ち向かっている側もまた、たやすく「悪」に転んでしまう可能性があるのが人間の住む世界なのだ、ということを、少々やり過ぎじゃないのかそれは、ってとこまで踏み込んで描写してみせるあたりの誠意ある残酷さはかなりキツい。目を離せない展開ではあるのだけれどやっぱりキツい。
で、その目を離せない展開の末に待っているラストがラストなので、少々複雑な感想を持って小屋を後にすることになる。アメリカ製の映画の最初の観客はアメリカ人なわけでね。最近何かと評判のよろしくないアメリカという国が、その評判のよろしくなさまでも、何かの糧にして頑張ろうぜ、ってメッセージが(意図したにせよ、しなかったにせよ、結果的に)あの格好良いラストに込められてしまったのだとしたら、それはそれでちょっと困るよなあ、なんて思った訳でした。
娯楽作品としての脚本の隙のなさ、絵造りの巧さ、キャストのお芝居、どれを取っても一級品で、見て損のない映画だと思う。ただ、このバットマンに何を投影するか、ってところにちょっとだけ、ヤバいかもなあ感が残るような映画、でございました。
(★★★★)
とり・みき/唐沢なをき「とりから 往復書簡 1」。ともに極めて実験的なマンガを描くことを怖れないお二人(どちらも大好きです)の往復書簡とな、そりゃ面白そうだと思って買ってみたんだが、まあなんだ、お互い「攻めて」ない感じではあるな。
ってそもそもオレ、ひでおと素子の頃からこの手の交換日記系ってのに嬉しくなれない体質だったのかも知れんと思ったりはした。なのでとりあえずお二人様、ピンで面白い作品、よろしくお願いします。
ただし一組だけ、熱烈に交換日記というか往復書簡を読んでみたいユニットはあって、それはにざとかななんだが、どうかなあ、あのお二人はそういうの、やってくれるかなぁ。やってくれたら、すごく殺伐としたやりとりが楽しめそうなんだけど。
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