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たぶん軽石庵さんにある「オプ・センター」ものはこれでラスト。今回のタイトルは「国連制圧」。
国連本部で開催される年次の平和式典。今年の式典では前作で辛うじて維持されたスペインの治安、そのための国連平和維持部隊に関わった国家の活動を讃える目的で、スペイン人作曲家の手になる「平和の歌」が演奏されることになっていた。その演奏に選抜されたバイオリニストの少女達のひとりは、偶然にもフッドの娘、ハーレーだった。
だが式典の準備が進む会場に、突然一台のバンが突入。中から現れたテロリスト達はたちまち会場を制圧、巨額の身代金を要求し、要求が受け入れられなければ人質を殺害する、と宣言する。国連という特殊な地理的条件ゆえに各国の足並みが揃わぬまま、やがてタイムリミットは過ぎ、無常にもひとりの人質が殺害され…
一種の外交官特権的なものが複雑に絡み合っているがゆえに、アメリカで起きている事態でありながらアメリカが直接手を下すことが困難な状況で、さあどうするオプ・センター、って話なんだけど、そちらの方のお話の流れはまあ、あまりうまくない。多分敵がかなり格下なレベルだからなんだろうと思う。作者達は多分、今作でホントに向き合わなければいけない敵は、テロリスト以上に厄介な存在としての「善意」で行動する人々であるって事になるのだろうな。この辺は前作でもちょっと紹介した、クランシーが思うアメリカの苛立ち、に共通するものがあるんだと思う。
それともうひとつ、本シリーズを通して描かれるのは家族の幸福と国民の義務、みたいなもののせめぎ合い、かな。
主人公フッドは元LA市長。市長としてそれなりに功績も挙げてきたが、激務ゆえになかなか家庭を顧みることができない。それを嫌って一度は政府関連の閑職に就いたつもりのフッドだったのだが、いろんな巡り合わせのおかげで彼は市長時代以上の激務を強いられることになってしまい、彼の妻、シャロンの苛立ちは募るばかり。一方のフッドはそんな妻に申し訳なさを感じつつ、国を守る、と言う仕事自体にはなんの疑問もないし、やりがいもあるし、何よりオプ・センターと言うチーム自体が、フッドにとってはもうひとつの家族のように心地よいものにも思えてきて…、という。
銃後の守り、でもないけど一方で国を、ひいてはそこの国に住む国民である自分の家族を守る仕事をしている事に高い責任感と充足感を得ているフッドと、彼がその仕事の方ばかりを優先するがゆえに、家族の触れ合いがどんどん失われていくことに、それを理解しなくては、という理性とないがしろにされている事への苛立ちのせめぎ合いからどんどん不安定になって言ってしまうシャロンの関係性は、巻を追うごとにややこしくなっていて、なんかこう、家族持ちとしては身につまされるというか、いろいろ考えさせられるというか(ま、わたしゃそんな立派な社会人でも家庭人でもないですけどね)。
前巻で一旦は究極の危機的状況を回避できたかに見えたフッド夫妻だけど、状況が完全に回復しないうちに、今度は自分達の愛する娘がテロの巻き添えにあってしまって状況はまたおかしなことに。妻であり母である自分としては、夫にそばにいて力づけて欲しいんだけど、その父にはこの危機的自体を解決に導くだけの能力のある人物である以上、自分のそばにいない方が、実は娘のためには有利かも知れない、と言う事態、ってのはなかなかに皮肉なお話である事よ。
お話がどう落ち着くかはまあ、本読んで、って事になる。で、肝心のお話は先にも書いたとおり極上とは言えないので、シリーズ通して読んでて、興味を惹かれた人限定で、って事にしておきましょうか。
それはそれとしてこの夫婦の行く末がどうなるか、ってのを確かめるためだけに、このシリーズの続き、ちょっと読みたくなっちゃったな(w。
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