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2013-02-08 [長年日記]

[Oldbooks] 消耗から麻痺へ…移行したか?

軍事革命(RMA) : <情報>が戦争を変える(中村好寿/著)今日も今日とて晩飯後に商売モノに手を付ける。中村好寿「軍事革命(RMA) <情報>が戦争を変える」(中公新書 2001年 書影はamazon)。クラウゼヴィッツが唱えた外交の延長にして大規模な消耗を伴う近代戦の様相は、ハイテク兵器と情報ネットワークの飛躍的な進歩により、今や全く別の様相を呈してきている、という論。

2001年の刊行と言うことで、文字通り一昔前の「将来の戦争はどうなるか」というテーマについて書かれた物を今読むことになるわけで、読んでるこっちには後出しじゃんけん的な上から目線も可能になる訳だけど、それ込みで読んでも、かなりいい線を突いた未来予測が展開されているんじゃないだろうか。戦争における主たる目標が「消耗」から「麻痺」に移るであろうこと、戦争の根本にあるのがIDAサイクル(Information:情報の獲得、Decision:戦略の決定、Action:その実行)であり、そのサイクルの回転スピードがIT革命に代表されるさまざまな技術革新によって飛躍的に高速化したことにより、戦争の形に大きな変革が起こるであろう、という予想は、多分半分ぐらい当っていた、って事になるんじゃないか。

高度な情報戦が大規模な消耗戦から、敵の中枢部分(それも同時に、多方面にわたる)の機能を奪う戦い(これが麻痺戦)に移行していき、その戦略の中には戦わずして敵の戦意を奪う戦略も含まれる、という部分は、本書が上梓された時から10年以上たった今もあまり上手く機能していない気はするんだった。世界は憎悪に満ちておるよね。

これが単に、今はまだ著者が予想する未来の戦争、の形が形成されきっていないと言うことなのかどうかは判断できないけど、戦争ってのは巨大なシステムであるが故に多くの部分でシステマティックになりきれない部分を引きずったまま行われるイベントである、ってのは言えるんじゃないだろうか。

本書では高度に発達した情報テクノロジが戦場にもたらすであろう影響を、わかりやすく噛み砕いて解説してくれている。ここで重要なのは、これまでの戦争指導が基本的にトップダウンであった物が、上級指揮官から一兵卒に至るまで、基本的にタイムラグなしに情報が共有が可能になったことで、ボトムアップを基本とする戦争形態が発生するであろうという予想。

それはそうなのかも知れないんだけど、だとしたら実は、一番重要なのは新しい形態の戦争において最重要なのは、そのボトムのポジションにいる、いわゆる一兵卒達にどういう指導をし、どんな兵士を作り上げていくか、って事になるんじゃないかと思うんだけど、本書ではそこのところへの視点が完全に欠落してるのね。仏作って魂入れずじゃないけど、一番根っこになるべきであろう部分を、ちょっと軽く見過ぎじゃないかな、とは思った。

ま、それはそれとして、なんだかんだとキナ臭い隣国とのゴタゴタも、お互いぎゃあぎゃあと悪態の付き合いをしている時点で、こうどなじょうほうせん、とは程遠い物に収っているとも言えるわけで、少なくともこれまでにない全く新しい戦争の形には取り込まれていない、ってところだけは安心してもいいのかしらね(^^;。


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