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チャイナ・ミエヴィル 著/日暮雅通 訳
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011910-2 \880 (税別)
ISBN978-4-15-011911-9 \880 (税別)
ロンドン自然史博物館のキュレーター、ビリーの仕事の一つは博物館を訪れた客に館内の即席ツアーのガイドを務めること。いつものようにその業務をこなしていたビリー。観客達のお目当ては、ビリーが標本の作製を担当した全長8メートルを超えるダイオウイカの剥製。各種の標本の説明を加えながら、お目当てのダイオウイカが保存されている部屋に到着したビリーは我が目を疑った。そこにあるべき巨大なダイオウイカの標本が忽然と消え去っていたのだ。一体誰がなんの目的で、そもそもどうやって。
そんなビリーにコンタクトしてきたのは、スコットランド・ヤードのカルト関係の犯罪を専門に扱う部署の警官たち。さらに混乱するビリーに告げられたこととは…。
長い歴史を持ち、しかも産業革命の発祥の地でもある、というロンドン。そこはファンタジーの要素とスチーム・パンク的、あるいは何かいびつなハイテクイメージ的なものをごっちゃにして、なんだかよく分らん世界をでっち上げるにはうってつけの街、と言えるのかも知れない。日本で言うなら東京を舞台に将門伝説とアキバのノリを一つの器にぶち込んでみる、みたいなノリになるのだろうかね。我々が知ってるような気がするロンドンと、同時にそこに存在する、魔術的な何かが色濃くしみついた裏のロンドンが一緒くたになった世界で、カルトと魔法が暴走するようなお話。で、これが、
ものすごく面白い
自分は貧弱な脳味噌が理解できる範囲で、「物語」をちゃんと作ってくれているお話が本来好きなんだけど、で、本書はそれとは正反対の位置にある小説と言えるんだけど、お作法がどうとか、小説としての構造がどうとか言うのも結構だけれど、世の中にはそういう建前を「そんなん知るかー」でぶっちぎり、とにかくイメージの奔流のみで最初から最後まで読み手を引きつけて離さないお話が存在する、ってことで、自分にとっては本書はまさにそんな一冊(上下巻で二冊だけどね)。正直ワケわからん。でもこのワケのわからなさは快感だ。何をやっているのか、何が起きているのか、実はよくわからんのだけど、でも何かすごく面白いことが起きているようだ、と感じられるって点では出来の良いハードSFに近い味があるのかも知れない。わからんままに読んでいくと、最後に本気で大事なものってなんだったのか、ってところでSF者をニヤリとさせるような描写もあったりしてなんだか嬉しくなってしまう。
正直とっ散らかったところも多いし、なんというか、割と考え無しで突っ走ってるところもあるような気はして、小説の完成度としてはどうなんだ、って思うところも無くは無いけど、そんなのをチャラにしてしまえるくらい、いろんなところが楽しい。うん、次々と惜しみなく繰り出されるイメージが楽しすぎるんだよね。ワケわからんけどなんだかとてもステキな読書体験をさせていただいた。これ、かなり好きです
以下いくつかの蛇足。
本書でいい味を出してる登場人物の一人、デイン君、「『スタートレック』は知ってるけどトリブルは知らん」、ってのはどうなんだ? オレもトレッキーじゃないけど、トリブル騒動は結構覚えてるぞ。
もう一個。本書ではさまざまな民間伝承とかカルト的クリシェがルビつきでがんがん羅列されてて、そこも本書の面白さの一つになってはいるんだけど、そんな中、原典がどこになるのかはわからないんだけど、「土地の守護神」に「ジニアス・ローサイ」ってルビが振られてて。ジニアス・ローサイ? それ、神官さんでねか? 紫堂恭子、やるなぁ(^^;
★★★★
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