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ジョン・スコルジー 著/内田昌之 訳
カバーイラスト 前嶋重機
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文SF
ISBN978-4-15-011924-9 \1200 (税別)
ペリーらの活躍の結果、コロニー連合に搾取されるばかりの立場からの脱却を果たした地球。それはコロニー連合にとって、豊富な兵士の供給先を失うことになる。はるかに進んだ400の星間種族の連合体、コンクラーベにあって技術的にも戦力的にも不利な立場にあるコロニー連合にとって、地球の老人達をサイボーグ化し、強力な兵士として再生させる
そんなコロニー連合上層部の悩みをよそに、CDFの技術士官、ハリー・ウィルスン中尉はコロニー外務省の外交団、アブムウェ大使の一行に技術顧問として随行し、日々ロクでもない任務に向き合う日々を送っていたのだが…。
構成的にいろいろ凝っていて、訳者の内田さんのあとがきにもあるとおり全13話、一回目と最終話は前後編となっている、というわけで、二時間スペシャルを最初と最後に配した、ワンクールもののTVドラマを連想させるような構成になっている。ここで展開するのは背景としては結構危機的な状況にある世界で、少々ひねてはいるが有能な主人公が、さまざまな騒動に巻き込まれ、それを持ち前の能力や機転、後は偶然の助けで無理筋の任務を次々と(それなりにおもしろおかしく)こなしていくうちに、背景になっている危機的状況の解決のキーになっていくかも知れない、ようなお話。まあ正しく連続テレビドラマのノリと言えるかも知れない。で、そのテレビドラマの背景になっているのは「老人と宇宙」シリーズの世界観、と。
ここまでの「老人と宇宙」シリーズのノリよりは、先に読んだ「アンドロイドの夢の羊」に近いか。厄介な騒動に巻き込まれた主人公が、その困難を捌いていく様を軽いコミカル・タッチで描いていくようなお話。それぞれのエピソードはミステリ風味あり、ハードSF風味あり、ユーモア、スラプスティック、ちょいとペーソス多めのヒューマンドラマとまんべんなくいろんな味も配されて、どれもちゃんと面白く出来上がっている。そういう意味では文句なしの筈なんだけど、なぜか読み終わったときに大満足、とは言えない気分になっているのが不思議なところ。
不満の一点は本書がこれできれいに完結してなくて、いろんなものが納得できないまま放り出されてしまってる、ってところにあると思う。で、これはまあ続きやるならやってくれや、で済む話なんだけど、もう一点考えてることがあって、それは必ずしもこの本固有の問題とは言えんのではないか、って気もしているんで、どうしようかな、それについては改めて書きますか。
あのね、この本は、これはこれでとっても面白いんだよ。そこは保証します。その上で、何ともいえん割り切れなさも感じた本だったのね。そこは別項で。
★★★
続きです。感想とはちょっと違うので項を改めて。
本を読む、ってなんだろな、って思ったときに、それって本の本体を見たときの、こちらの覚悟みたいなものから話は始まるんじゃないかな、って気がして。「いさましいちびのトースター」と「啓示空間」では、その本を手にした時点で本を読むときの覚悟というか気構え、みたいなところにそれなりの違いが生じるんじゃないかと。
何と言うかね、見た目のボリュームってそれなりに読み手に与える印象の差、みたいなものに違いができて、で、それが結構本を読む、って行為の楽しみの一つとも言えるんじゃないかと思うんだ。ぶっちゃけ「分厚い本を見たらこっちも覚悟するよ」ってこと。
650ページオーバーの「戦いの虚空」、これは「アンドロイドの夢の羊」より100ページボリュームがある。これだけの厚さの本を手にしたら、読むこっちは勝手に、これはかなりずしんと来るお話を読ませてくれるのだろうな、って期待をしてしまうのだよね。だけど「戦いの虚空」って本は、感想で書いたとおり比較的ライトなお話を集めた結果「厚くなっちゃった」本なの。で、ここに自分は何とも言えんがっかり感を持ってしまうのだった。この厚さでこの程度の読後感かよ、と、ね。
ただここでふと思ったことがあって、これ、紙の本で読んだら「(物理的に)重い割に(内容は)軽いなあ」と思うものが、Kindleなどの電子書籍で読んだら、物理的な重さの問題は無い話になって、(物理的に)軽いデバイスを利用して、内容的には軽いけど、それなりに量のあるもの、をストレス無く読める環境ができたから、こういうのもアリなんじゃね? って状況ができてしまった、ということなんだろうか、と。
簡単に良いか悪いかを決めつけられるものではないと思うけど、自分はまだ、本を手に取ったときの重さを、その内容の重さに関連づけて読んでいきたい気はします。「戦いの虚空」は、手に取った重さと読んだ内容の重さのバランスが、自分にはどうにも納得できなかった、って事なんですね。
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あー、スコルジーはその感じがありますねぇ。厚みに深さが伴わないという。私が「戦いの虚空」を読んだのはけっこう前なのですが、読んでる間はそこそこ面白かった印象があるのですけど、もはやどんな話だったかほとんど覚えてません…。レナルズ作品やキャンベルの「月面の聖戦」なんかはさらに以前に読んだにも関わらず、覚えてますもんね。まぁ覚えられないってことではミエヴィルとかバチカルビもそうなので、なんだろう、強烈な印象が残らない本が増えているのですかねぇ。
面白いんですけどね。本になったら印象結構違う、って事もあるんだなあと思った事でした。ミエヴィルもバチガルビも溜まってるんですが、その前に、次はヴィジョルドですかねえ。あ、ウィリスの文庫も結構出てるんだなあ(^^;。
ですねぇ、「(紙の)本」という形そのものにも意味を見出してしまうということかもしれません。あ、ヴィジョルドと言えばこの3月に新訳「外交特例」が出ますね。その前にヴィンジの「遠き神々の炎」の続編を読まないと…。<br><br>ウィリスはどうも合わないんですよねぇ…。いろいろ絶賛されている(らしい)「航路」が徹頭徹尾、只のバカがアタフタする話にしか感じられなかったり。正直、今まで一つも面白いと思ったことがないので「航路」以降は買わずにいます。読ませる力はあるので読んじゃうんですけど、なんだろう、グッと掴まれる所を見いだせないという感じです。
あー、ヴィンジも出てますねえ。割と苦手なんだよなあ(^^;