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2014-05-24 [長年日記]

[Books] NOVA 9 書き下ろし日本SFコレクション

NOVA : 書き下ろし日本SFコレクション 9(大森望/編集) 大森望 責任編集
カバー装画 西島大介
カバーデザイン 佐々木曉
河出文庫
ISBN978-4-309-41190-3 \950 (税別)

今様ゆえに、軽さも今風

日本SF第一世代から第六世代まで、デビュー年に半世紀の開きのある作家たちが集った(大森望氏の「序」より)オリジナル探検集。12編を収録。

というわけでいつものヤツ。なのでいつものように行きまっせ。

「ペケ投げ」眉村卓

「聊斎志異」から話の端緒を得た、かも知れないお話とのこと。うん、「SFマガジン」ってよりは中間小説誌のSF特集、みたいなときに目にするお話のような。さすがの第一世代的な端正なお話。キャラクターはペケを投げ、作者はわりにオチを投げてくる(w。

「晩夏」浅暮三文

このシリーズではときどき出てくるタイポグラフィSF。すっとぼけた軽口SFなんだけど、その背景にはちょっとした戦後カルチャーへの俯瞰がある、と見せかけてる気がしないこともない。

「禅ヒッキー」斎藤直子

いきなりサポートセンターのブースから脱出不能になってしまった僕と先輩。その裏にあったのは…。サポセンで繰り広げられる禅問答、ってところはまあ面白い。それが不条理ギャグでもスラプスティックでもなく、なんか中途半端にニヤリとした方が良いのかな、的なところに落ちる、あたりでなんとも評価に困る系。

「本能寺の大変」田中啓文

読む前に目に入ってくる信長勝つか? 明智勝つか? 世紀の大決斗っていうアオリで何が起きるのかはある程度予想はできようってもので。で、その予想から何か突き抜けたモンがあるかといえばそういうモノでもなく。笑いが取れたらいいってものでもないだろ。

「ラムネ氏ノコト」森深紅

坂口安吾の似たタイトルのお話を元ネタに語られるヴィクトリア朝風味の科学譚。科学の探求がいつしかもっと普遍的な、クリエイティヴィティ論に転化していくあたりはちょっと良いかも。

「サロゲート・マザー」小林泰三

タイトルの通り、代理母にまつわるお話なんだけど、そこの所の需要、というところに実は結構大きなSF的アイデアは仕込まれている、と思う。あと随所で登場人物が繰り広げる哲学的なダイアローグが意外に深い、と思った。

「検索ワード:異次元」「深夜会議」片瀬二郎

とある事情で二本立てとなっている。ここのところの事情は大森さんの解説を乞ご参照。どちらの作品もいわゆるJホラーの文法を正しく小説に反映させたものであると思った。特に「検索ワード…」のほうが素晴らしくJホラーしてますね。

「スペース蜃気楼」宮内悠介

宇宙の取り立て屋シリーズ第三弾。なんだろな、「マルドゥック・スクランブル」のあのクライマックスシーンに被せて語られる、「経済SF」みたいなものが形作られつつあるのかな、なんてことをちょっと思った。ゲームの規則的な面白さもあると思う。

「メロンを掘る熊は宇宙で生きろ」木本雅彦

なんだか良く判らんタイトルですが、お話的には至極まっとうな宇宙SF。古風ともいえる造りで逆に楽しめた。ちなみにメロンを掘る熊、という良く判らんキャラの元ネタはこういうモノらしいです(w。

「ダマスカス第三工区」谷甲州

ガテン系ハードSFシリーズ最新作。いつものように面白く、そしてちょっと尺が足りない感じがする。もうちょっと読みたいんだよなあ。

「アトラクタの奏でる音楽」扇智史

深度のある検索空間、ってのはかなりSFしてるな、と思った。TwitterとかFacebookとか、「ほーむぺーじ」のレベルから先に行ったweb環境、というか(オレは良く知らんけど)LINE的な何かの延長線上にある末来感をベースにした青春ストーリー、みたいなものか。言っちゃ悪いが最近の売れ線である「百合」までフォローしているあたりは抜かりがないというか。世界観を提示する、という意味合いにおいては本書の白眉はこれのような気がする。ラノベのノリとSF的な見たこと無かった感、の融合がかなりいい感じで実現できていたのじゃないかしら。

ということで、少々辛めですかね。多分これは、発表された短編群からチョイスして編まれたアンソロジーではなく、書き下ろしである、というところに原因があるような気はする。どうしたって「守り」に入って書かれた作品が中に入ったりすることはあるだろうなあ、と思えるわけで、そこは汲んであげようよ、って気もしないことはない、かも。そこのところの物足りなさは書き下ろしアンソロジーだと避けられない危うさであるのかもしれないね。

★★★


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