ばむばんか惰隠洞

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2004-05-24 この日を編集

[TV] 定期視聴番組

「頭文字D Second Stage」、「光と水のダフネ」、「特捜戦隊デカレンジャー」、「仮面ライダーブレイド」、「ふたりはプリキュア」、ほんでもって月曜時代劇も。

いやー、デカベースクローラー、かっこええなあ。あのオモチャはかなり遊べそう。だいたいあの手のちっちゃいクルマをどんどん積み込めるクルマって、子供は大好きなんだよね。うちの倅も3つか4つぐらいまで、大好きだったぞ、6台乗せられるトミカのトレーラーとか。良い狙いだよなあ。

「ブレイド」はえー、東映公式によりますと、次週が3話続いたレンゲル話、怒涛の完結編だそうで。うふふ、珍しくワシの予想、当たるかもな。

「プリキュア」は、わはは、農作業でときめく、というシチュエーション一発で楽しませて頂きました。あとはあれかな、キリヤくんは白の人を好きになって、んで自滅しちゃうってことなんでしょうかね。

んで、今週の一等賞は「水戸黄門」。いやー、痛快娯楽アクション時代劇になっておりました。面白かったー。でもこれ、もしかして黄門様史上最多死者発生エピソードじゃないですか? お娟姉さんは刃の方で斬ってたし、鬼若はザコ忍者の首をゴキっとやっちゃってるように見えたんすけど。


2005-05-24 この日を編集

[Books] 幻想と怪奇 宇宙怪獣現る (23:51)

本書カバー 仁賀克雄 編
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
カバー写真 ©Brenda Chrystie/CORBIS/amana images
ハヤカワ文庫NV
ISBN4-15-041079-8 \740(税別)

温故知新のオーソドックス

1976年刊行のオリジナル・ホラー・アンソロジー「幻想と怪奇」全三巻の新装版のうちの一冊(第二巻)。ゼナ・ヘンダーソン「なんでも箱」他全11編を収録。

基本的にサブタイトルに惹かれたわけで。怪獣・化け物テーマのホラー、アンソロジーなのかと思って買ったわけだけど、テーマとして明確に「怪物」があったと言えるのかどうか、ちょと不明瞭。まあどの作品にも、その根底には怪物的な何かが潜んでいる、とは言える訳だ。デカいもの、不気味なものばかりじゃなく、ありふれて見えるものの裏に潜んでいるかも知れない、怪物的なものもあるのだよと言うことですな。

刊行時期が1976年ってところからしても判るとおり、収録されている作品は50年代の作品群が主流。ゆえにその全体的なトーンは実にオーソドックス、というところ。とんがった世界観やシビアな世界観から来る"怖さ"より、あくまで"日常"のありふれた営みの中に知らぬ間に入り込んでいた何か、みたいなものが醸し出す怖さ、を演出した作品が並んでいる。このオーソドックスさを好ましいと思うのは、あっしも歳食って先鋭的なものよりも安心して楽しめるものを求めるようにあっているって事なのか。ホラー小説を安心して読む、てのもなんか矛盾した話のような気はしないでもないですけど。以下、収録作品ごとに一言コメント。

こおろぎ(リチャード・マシスン)

ちっちゃいのがわらわらやってくるのはやっぱり怖いよなあ、な作品。怖さの動機をなすものが、どうしようもなく不条理なまま取り残されてるのがまた、古風なホラー風味があって結構。

なんでも箱(ゼナ・ヘンダーソン)

アジマニアなら先刻承知。もちろん原作はいきなり殴りかかったりはしないのでだいたいあんしん(何が)。

それ(シオドア・スタージョン)

B級モンスター・ホラー映画の原作に持ってこい、って感じ。そこはもちろんスタージョン、凡百のモンスターホラーでは終らせないのだけれど。

ルーシーがいるから(ロバート・ブロック)

妙に「こういう話、他でもあったよなあ」感に満ちあふれた品。こう、日本製コミックでこういうの読んだ憶えがあるような無いような。短く、鋭いがゆえにコミックのモチーフとしても有用ってことなんだろうな。

その名は悪魔(ヘンリー・カットナー)

怪物、と言う言葉から一番ほど遠いイメージを持つ存在、に見える無垢な子供たち。そんな子供たちが共有する秘密とは…。訳がやや固いのが惜しいなあ。それがなければ本書の白眉だったのに。

埃まみれのゼブラ(クリフォード・D・シマック)

SFだけに可能なスラプスティック。実にこの、古き良き50年代SF短編って感じ。

トランク詰めの女(レイ・ブラッドベリ)

「その名は悪魔」と好対をなす作品、なれどこれもちょっと訳が良くない感じ。少年の妄想が織りなす得体の知れない怖さ、みたいなものがうまくでていないかなあって感じがある。

裁きの庭(デイヴィッド・イーリイ)

いわく付きの名画をめぐるショートホラー。これはなかなか。きゅっと締まった良い短編だと思う。怪物度はやや低めだけどね。

ハリー(ローズマリー・ティンバリー)

ふむ、これもコミックとかテレビドラマで妙に見たような覚えのある作品ですな。他の人がモチーフとして使いたくなるくらい優れた作品である、と言う証明なのだろうけども。

かたつむり(パトリシア・ハイスミス)

「太陽がいっぱい」のハイスミスがこんな南洋怪獣ものを書いていたとは驚きだ。これもB級映画にしたら楽しそう。

宇宙怪獣現る(レイ・ラッセル)

トリを飾るのはシネマテーマの愉快怪獣もの。これは逆に、AIPなんかのB級モンスター・ホラーを幾つか知ってると楽しめそう。パルプ雑誌のスペース・オペラネタで大笑いのコミックを一本上げてくださった星野さんに、こいつもコミカライズして欲しいような気もするな。

てな感じで。楽しめたのは確かなんですが、一部の作品では少々読みにくい、と感じる作品もあったのは少々残念かも。SF系の作品を訳してるのが深町眞理子氏とか永井淳氏といったなじみのある訳者さんだったことがこっちには有利に働いた、ってだけのことなのか、それともホントに訳のレベルに結構差があったと言うことなのか、さてどっちなんでしょ。全体としては大満足、には一歩届かなかった感じ。

(★★☆)

[Day] 鍛えてないから、そうなるんだな(ヒビキさんの声で) (24:32)

脳を鍛える大人のDSトレーニング(Nintendo DS公式)。ううむ、おじさん初めてNDS買った方がええのやないやろか、と思ってしまった。いやもうオジサンのオジサン化って、オジサン本人にはものすごく切実な問題なのよね。

こいつ導入して、脳味噌鍛えた方が良いのかしらん……。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

ASA [幻想と怪奇、なつかしいです。本屋で見つけて2冊衝動買い。創元の怪奇小説傑作集とか、また読みたくなりました。 古典なの..]

ROVER [なるほどー、一番SF成分多そうなヤツを選んで買ってみたんですけど、別の本にディックが入ってるのか。そりゃ読んでみたい..]


2006-05-24 この日を編集

[web] しゅうえいしゃぁぁの、ざっしですっ♪ (11:17)

赤尾晃一の知的排泄物処理場経由で、出版社占い。いってみよー。

1959年09月06日生まれのあなたは

集英社タイプ

「あなたは集英社タイプです!集英社は、小学館のエンタテインメント部門が独立して発足した会社です。「ジャンプ」「マーガレット」などの漫画雑誌を始めとして各種雑誌に強く、歴史は浅いですが、今や大手出版社の一角を占めています。集英社の代表的雑誌である週刊少年ジャンプのテーマである「努力、友情、勝利」の通り、情熱的で竹を割ったような、さっぱりした性格が身上のあなた。親分肌的で太っ腹な性格を慕ってくる人はきっと多いことでしょう。しかし、やや性格には不安定さが見られ、喜怒哀楽の激しい面があります。そうした面からか、強力な味方に恵まれる反面、人と敵対することも多くなりがちです。あふれ出る感情をうまくコントロールして、物事をもっと理性的に考えることが重要です。また、体育系なノリが前に出すぎて、やや押し付けがましいところもありますので、注意してください。代表的な刊行物:週刊少年ジャンプ、別冊マーガレット、non-no、週刊プレイボーイ、すばる」

うーん、"体育会系なノリ"なんてのは、オレには一番縁遠いもののような気もするんだけどなあ。主観と客観が正反対、なんてのは、まあよくあることではあるんだけれども。

[web] おー (23:06)

やわらか戦車 5だー。今度はお唄バージョンだー。

[web][SpFX] いい時代なんだかそうでもないんだか (23:20)

もひとつ赤尾先生のところで知ったネタ。今やセブン12話すら、Youtubeで鑑賞できちゃう時代なんですなー、はあ(複雑なため息)。

私も「セブン」の12話ってのは、別に必死こいて隠さなくちゃいけないようなものでもないとは思ってる。思ってるけど作った方が、どんなスカタンな事情であれ隠した方が良いと思ってる間は、そりゃ一応酌んであげた方が良いとも思うわけで。作品について語るのも良いし、「見せてくれ」と要(求|望)するのも一向にかまわんと思うが、そのプロセスすっ飛ばしていきなり出ちゃいかん事になっとるものがwebでほいほい見れちゃうってのはどーなんでしょうな。

汚い隠し立てってものがwebの世界では案外通用しないっ、てのはある意味結構なことだと思う反面、なんつーかこう、世界から「奥ゆかしさ」のようなものがどんどん失われていくような気がして、そこは少々、忸怩たるものを感じざるを得なかったりする。

オマエは見たからそんなコトが言えるんだ、見てないオレらの気持ちになってみろ、と言われるとまあ、返す言葉もないんだが。

そこは分かるんだけど、「伝説」とやらのままにしておいて、見ないで済ますのが一番幸せだよ、ともまあ、思うんだけどね(^^;)

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]

まなたけ [「12わは、なんてかねぇ〜せっくすみたいなもんだよぉ〜やるまえは。すげぇそーぞーしてワクワクドキドキ、どんなだろうと..]

rover [や、セクースは良いものだぞ(^^;)。]

もんちぃ [んじゃ、ばすえのふうぞくぐらいでどや。]

つっちぃ [つか、12話、全然面白くなかった覚えが…。 フィジカル・コンタクトほどのインパクトなんか無いと思われ。(^^;]

rover [むは、そういう意味でも"ばすえのふうぞく"ってのはありかも知れんなあと思ったです。や、もちろん経験した人の話を総合的..]


2008-05-24 この日を編集

[Event] CSアニメコンテスト (25:46)

20回目のCGアニメコンテスト(DoGA公式)。ジョーシンの催し物フロアで開催された第1回は、さすがにあっしも見てないですが、それでも半分ぐらいは参加してるんじゃないだろうか。20回を記念する形で、ここまでのCGアニメコンテストの流れのさわり(のそのまたとっかかり)にもちらりと触れたりもしていたけれど、肝心のコンテストの入選作品の方は、少々物足りなかったかも知れないな。

技術的な側面での、応募する人が持ってるスキルという部分においては、そりゃもうみなさん大変に高いレベルなのであるけれど、なんて言うのかな、あれは4回だったか5回目だったかのオープニングムービー、「カーンの圧勝」(単純にエンタープライズがリライアントに負けて大爆発する、って映像なんだけど、これをX68KのDoGA CGAで作ってたのがあったの。もちろんパーティクルなんて未対応のソフトでね)を見たときのびっくりはいまだに記憶に残ってる。

それからそれに続いて登場してきた由水圭さん、あにてんぷ渡邊さん、腰原とんたん、総合奉仕事業団(ウチの倅も大好きです)、謎のカンフーマスター清家さん、それからもちろんロマのフ比嘉さん、北田・青山の"ワイバーン"コンビに新海誠…。

DoGAの歴史ってのは、その時々の名物キャラとともにあったのだと思うし、彼らとともにアマチュアCGアニメーションのスキルとフィロソフィーは高いところに上がってきたのだとも思うんだけど、で、「寡が成功できるクリエイティヴのための環境」としてのDoGAのサポート体制、というのは、そもそもこのコンテストを立ち上げたときからの、DoGA代表、かまたゆたかさんの野望でもあったわけで、それが着実に実を結んで来ているんだな、というところは実感できるんだけれど、それと引き替えに原初的なパワーみたいなものの方は回を追うごとにソフィスティケートされてきている感じがあって、そういうのも好きな自分としては、少々物足りない気持ちも感じてしまう。

全員が(褒め言葉としての)バカでも困るし、みんながお利口さんでも同様に困ってしまうわけだけど、今は昔のDoGAのコンテストで感じた、何かを突き抜けたいと思う熱さ、みたいなものが少なくなってきているなあという印象もあってちと複雑。今年の上映会、かなり寝ちゃったんだ。昨日歩き回ってバテてたってのもあるんだけど、それだけが理由じゃないと思う。絵的に端正で、メッセージが上品に慣らされてたら、そりゃ見てたら眠くもなろうってものなわけだわな。

CGアニメーションのレベルの底上げ、って目的はかなり達成できた。プロへの登竜門、って位置づけもある程度は実現できた。その反面、なんつーんだろ、リビドーのみで突っ走る(才能の無駄遣い、ってヤツですか)作品にお目にかかれる確率が減っちゃったのは、ちょっと淋しいかなあ、と思わなくもないね。

[Day] つことでミニオフでした

早起きして梅田に出て、TUX導師と待ち合わせ、の時点で雨が降り始めて気分はブルー。結局上映会が終わった時点でも空模様は雨降りさん。仕方がないのでいつもの炉端。途中からは゜んさんにも加わっていただいて楽しゅうございました。久々にちょっとだけだけどカラオケでがなったし。

次回は意地でも屋上でビールを飲みたいもんだぜ。


2009-05-24 この日を編集

[Oldbooks] 今日の軽石庵 (22:56)

航空ファンの群れその惨状威容。段ボール4箱でお送り頂いた「航空ファン」、'70年代と'00年代で170冊ばかり。ウチ的にはここまで扱っていなかった年代の分なので少々嬉しいかも。ぱらぱらめくってたらなんだか面白くて、結局終日読み耽ってしまったぞ。今や世の中では、コンフォーマル燃料タンクを装備したF-16などという奇怪な飛行機が飛んでいるのだな。ここ10年以上、飛行機ネタとか仕入れてなかったんで、いろいろ新鮮でございましたよ。

それにしても今回'70年代と'00年代、30年ほどの隔たりのある同じ名前の雑誌をみて思ったのは、印刷技術ってものすごい勢いで進歩していると言うところだな。近年のグラビアのカラー写真なんて、解像度良好すぎて、逆にミニチュアを使用した特撮写真に見えちゃうぜ(w。

そうそう、今回はCX1のウリの機能、DRモード(絞り値の違う二枚の写真を撮って合成することで、暗い側の映像を鮮明に見えるようにしてくれる)を使ってみた。同じポジションから、左がDRモード、右が通常の撮影。共にISO100換算の感度です。意外に良い感じだなこれ。

[TV] 定期視聴番組 (23:58)

週末編の「戦国BASARA」、「亡念のザムド」、「神曲奏界ikry」、「戦場のヴァルキュリア」、「侍戦隊シンケンジャー」、「仮面ライダーディケイド」、「フレッシュプリキュア!」、「鋼の錬金術師」。やるだろうなあと思ってたことをおおむねやらかしてきた「ディケイド」の響鬼編、まあいいけどねってのと、それはいくら何でも悪ふざけが過ぎるだろ、ってのがヌルくせめぎ合う感じかな。ひさびさにあきらに会えたのでまあいいや、ってことにしておきます。

[F1] モナコGP決勝 (24:18)

タイミングモニタで観戦。んまあ場所がモナコなんでね、予選の結果が猛烈に重要になるのだけれど、ここに来てフェラーリに復調傾向があるのか、単に低速サーキット故にKERSが上手く働いたということだったのか、さてどっちか。マクラーレンとBMWがかなり苦戦傾向なようですな。

蓋を開けてみたらばおおむね波乱もなく、予選の結果が全て、って話になってしまったかも知れない。予算削減の話が何やら賑やかしいけれど、ターボ時代に比べたら明らかにマシントラブルでリタイヤしてしまうマシンが減っているのは、それなりに良い傾向なのかも知れないな。

レースはオーソドックスな作戦を採用し、上手いドライバーが運転しているクルマの順でゴールラインを通った、ような結果に見えた。ブラウンのワンツーに続いたのがフェラーリ、ってあたりは今後のヨーロッパラウンドに期待が持てると言うことなんだろうか。

どういうレースだったのか、地上波で見てみようと思ったんだけども、なんかもっさりした元野球選手が出てきて鬱陶しかったので、テレビ観戦する気は見事に失せてしまいました。


2010-05-24 この日を編集

[Day] 南大阪ドサ周りツアー

今日は堺行き。なんでこんな雨風強い日に出かけなければいけないのか。こっちにはさほど影響はなかったけど、鈴蘭台-谷上間で土砂崩れが起きて、午前中は神鉄、三田方面が運休だったようで。夕刊見たら、あっしもお世話になった自動車学校の教習車が、ごろんと線路まで落っこちちゃったみたいだね。相変わらずあのあたり、雨に弱いですな。

それはともかく、駅、または駅の売店あたりで傘のお預かりサービスってやったらそこそこ良い儲けになったりしないものだろうか、と思った。家から駅までは傘が必要でも、そこから電車に乗って街に出てしまうと、傘って単なる邪魔物になってしまうんだよな。だったら街に出る前に傘をどこかに預けてしまえば、身軽に動けて良いし、うっかり傘を忘れてしまう事もないと思うんだけど。

オレ、いっつも移動中にどこかで傘を置き忘れちゃうんだよなあ。

[Books] アードマン連結体

9784150117559 ナンシー・クレス 著/田中一江・他 訳
カバーイラスト Stephan Martiniere
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011755-9 \940(税別)

「ベガーズ・イン・スペイン」に続く日本版オリジナル短編集。表題作他7編収録

「プロバビリティ…」シリーズ(ムーンサンスペース)がこちらとしては今ひとつな読後感だったのにくらべて、思いのほかオーソドックスな作りで好印象だった前集に続くオリジナル短編集の第二弾。今回も粒ぞろいでなかなか結構。それではタイトルごとに簡単な感想を。

ナノテクが町にやってきた(田中一江 訳)

夢のハイテクが導入された事で小さな町に起こる波紋。未来技術とモラルのせめぎ合い、と言ったあたりがテーマか。こういう話、他にもあったような気がするんだが思い出せない。雰囲気だけならシマックの「都市」で、まだ町に人間がいるころの時代のお話が持ってた雰囲気に通じるものがあるような、ないような。

オレンジの値段(中原尚哉 訳)

クローゼットの衣類をかき分けて進むとそこは1937年。極めて限定されたタイムトラベルを背景に語られる、現代社会のひずみに一石を投じようかどうしようか、みたいなお話。こちらも根っこの所に、モラルにまつわるお話が絡んでいる。「最近の若い者は」テーマ、とも言えるかな。

アードマン連結体(田中一江 訳)

高齢の理論物理学者、アードマン氏を悩ます突然のショック症状。それは彼一人に起こっている事では無く、同じ街で暮らす80歳以上の人々の多くに共通して発症している事柄だった…。人生の終盤に差しかかった老人たちの思念に一種のファースト・コンタクトテーマが被さる、ちょっと変わった作りの「種」を描くSF。終盤相当壮絶な事が起きてるはずなんだが、読み味はかなり静謐な感じ。これはこの短編集全体に共通して漂う雰囲気と言える。

初飛行(中原尚哉 訳)

この短編集的にはちょっと珍しい、スペースオペラ風味の掌品。ま、ネタは正直途中で比較的あっさり割れちゃうんだけど、ショート・ショート的オチの効かせ方が良い感じ。

進化(佐田千織 訳)

アフター・ホロコースト……いや、ビーイング・ホロコーストとでもいうのかな。「ナノテクが町にやってきた」が先進技術が比較的小規模なコミュニティに波紋を投げかける話だったとしたら、こちらでナノテクの役どころを演じるのはバイオハザード。「ナノテク…」が少々狂騒的な雰囲気をたたえているのに対して、こちらは少々終末への不安感から来る、昏い雰囲気の方がやや強調されている感じ。

齢の泉(小野田和子 訳)

功成り名も財も充分すぎるほど築き上げた一人の老人。今はただ静かに人生を終えるだけだ、と思っていた彼にふたたび灯をつける事になったとある事件とは…。突然がんばるジジイのお話のバックで、不老不死に関するSF的なアプローチが試みられるような作品。長めなお話だが良い感じにコミカルで楽しめる。

マリゴールド・アウトレット(嶋田洋一 訳)

ある意味非SF作品、とも言えるか。無理やりこじつけるならインナーワールドSFってことになるのだろう。自己本位に過ぎる両親によって結果的に虐待といえる仕打ちを受け続ける事になる子供の救済までの物語。短い物語ながら、というかむしろその短さが、ラストの哀しさを強調する。

わが母は踊る(小野田和子 訳)

本格SF仕立てであるが故に、むしろこの作品集では異質に思える作品だったりする。クレメントやフォワードが書けばハードSFになっていたであろうテーマなんだが、それがクレスの手にかかると少しニュアンスの違う作品が出来上がるんだった。

てな感じで。全体的にエッジなところで華麗に踊ると言うよりは、オーソドックスなSFのスタイルを一番下のレイヤーに敷いて描かれる、クレスが見ている今とこれからの人類の行く先、みたいなところにフォーカスを合わせた作品が並んだ様な短編集と言えるだろうか。基本的に女性、老人、子供たち、それも社会的にあまり恵まれていない環境に生きる事を強いられている彼/彼女たちが、いかにして世界と折り合いをつけ、自分が置かれた環境を乗り越えていくか、という所に主眼が置かれているように感じられた。どちらかと言えば弱い立場にいる彼らの物語は、それ故に静かで、もの悲しい読後感を読み手に与えてくれる。しみじみとした読み味の本をお求めならおすすめです、これ。

割とどうでもいいかも知れないけれど、この作品集に登場する善男善女たち、みな最初の出会いは絶対に成就しないのだな。ここら辺にもクレスのポリシーみたいなものが加味されてたりするんだろうか…。

★★★★


2011-05-24 この日を編集

[Oldbooks] 今日の古本をみて一言

B-CLUB9号1986年のB-CLUB9号。永井豪原作、平野俊弘監督の「マジンガー」のリメイク作品、「大魔神我」なんてプロジェクトが動いてたようで。これは全然知らなかった。どうも諸事情あってこのプロジェクトは立ち消えになってしまったらしいけど、この時のテイストの一部は、「ダンガイオー」あたりに引き継がれたのかもしれないね。

今やったらどうなるのかな。たぶんシロー役はみゆきちだろうなー。

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]

P2 [権利がクリアできなくてしかし企画自体も止められず 結果としてダンガイオーと鋼の鬼に別れた、という噂を きいたことがあ..]

でした [実現してたら、かなりハード路線の作品になってたようですから それはそれで見てみたかったですね。]

TUX [そして後年「真マジンガー衝撃 Z編」で余計もやんもやんした気持ち(爆)になったんですが、田畑由秋先生、余湖裕輝先生の..]

ロドリゲス翁 [この辺は永井豪というよりダイナミックプロがうるさかったみたいですね。のちに江口寿史のキューティハニーとかカーレンジャ..]

rover [こちらでのマジンガーのデザインのオドロオドロさなんかは、何となく「ダンガイオー」に引き継がれたのかな、と言う気はちょ..]


2012-05-24 この日を編集

[Day] バロメータとはこう言うものか

おいしく晩飯をいただいた後(今日はオムそばに発泡酒だったよー)、一服するべえと思ったらタバコの残りがやけに少ない。ここのところだいたい一日一箱ペース(私としては劇的に節煙してるんですよ、これでも)で、晩飯あとなら12~3本は残ってるはずなんだけど、今日は6本しか残ってないよ。

何があったのかなあと思ってみるに、今日はおやつ時に厄介なお仕事相手No.1であるところのTRちゃんから、ほぼ二月ぶりぐらいに電話をもらったんだよなあってところに思い当たった。ずっと面倒見ている企業サイトの追加作業だったんだけど、こちらの知らん間にデータの置き場のレンタルサーバを変更したらしく、こちらからの変更作業が全く反映されないのね。で、こちらからは「繋がらないよ」って連絡入れるんだけどなにせ相手はTRちゃんなので、調べれば済むことをその場の思いつきで「こうやってみたら?」的な役に立たん指示(というか提案だな)メールばかりがやってきて一向にハカがいかないので、そこで多分イライラしちゃったんだろうね。そりゃ吸い込む煙の量も増えようってもんだ。いらつきと吸いすぎた煙のせいで、文字通りムカついた夜でございましたわ。

ただ、たまたまこっちが鼻風邪気味で、喋るのが少々しんどかったもんだから、向こう様的にはこちらがかなり機嫌を損ねているように感じたらしく、明らかに向こうが下手に出てる感たっぷりだったあたりはちょっと楽しかったかも。別に怒っちゃいないんだけどね。でも対応が変わるんならこの先も、基本不機嫌モードで電話に出た方がいいのかしら、とかはちょっと思った。

ま、相当上機嫌な状態でもTRちゃんと話してると、何もしないでもどんどん不機嫌になるんだけど(^^;。


2013-05-24 この日を編集

[F1] がんばれタックン

というネタはカテゴリ的にはF1じゃないんだけど、新しいの追加するほどのことも無いかってことで、「F1を初めとするモータースポーツ」カテゴリの略、ってことにしておいて、A.J.フォイトと佐藤琢磨、インディ500に挑戦(F1通信)。タックンに必要なのはカリスマ性にあふれたリーダーだった、って事なのかしら。第二期ホンダ時代の桜井淑敏さんみたいな人が身近にいたら、F1時代のタクももっと違っていたのかな。何はともあれ現在のところインディ・シリーズのポイントリーダーはタクなんだよね。大したもんだ。

それにしてもアメリカのレースは懐かしい名前がいっぱいだ。フォイトにアンドレッティにレイハル。オレがガキの頃、日曜の朝にテレビでやってたアメリカンレース番組(ストックカーメインだったけどね)のヒーローの名前だよ。みんなお孫さんの代までレースやってるんだな(M.アンドレッティっつーからマイケルまだレースやってんのかいと思ったら、マイケルの息子さんのマルコ・アンドレッティが走っているんだね)。そういうの、ちょっと良いなあと思った事でした。


2014-05-24 この日を編集

[Books] NOVA 9 書き下ろし日本SFコレクション

NOVA : 書き下ろし日本SFコレクション 9(大森望/編集) 大森望 責任編集
カバー装画 西島大介
カバーデザイン 佐々木曉
河出文庫
ISBN978-4-309-41190-3 \950 (税別)

今様ゆえに、軽さも今風

日本SF第一世代から第六世代まで、デビュー年に半世紀の開きのある作家たちが集った(大森望氏の「序」より)オリジナル探検集。12編を収録。

というわけでいつものヤツ。なのでいつものように行きまっせ。

「ペケ投げ」眉村卓

「聊斎志異」から話の端緒を得た、かも知れないお話とのこと。うん、「SFマガジン」ってよりは中間小説誌のSF特集、みたいなときに目にするお話のような。さすがの第一世代的な端正なお話。キャラクターはペケを投げ、作者はわりにオチを投げてくる(w。

「晩夏」浅暮三文

このシリーズではときどき出てくるタイポグラフィSF。すっとぼけた軽口SFなんだけど、その背景にはちょっとした戦後カルチャーへの俯瞰がある、と見せかけてる気がしないこともない。

「禅ヒッキー」斎藤直子

いきなりサポートセンターのブースから脱出不能になってしまった僕と先輩。その裏にあったのは…。サポセンで繰り広げられる禅問答、ってところはまあ面白い。それが不条理ギャグでもスラプスティックでもなく、なんか中途半端にニヤリとした方が良いのかな、的なところに落ちる、あたりでなんとも評価に困る系。

「本能寺の大変」田中啓文

読む前に目に入ってくる信長勝つか? 明智勝つか? 世紀の大決斗っていうアオリで何が起きるのかはある程度予想はできようってもので。で、その予想から何か突き抜けたモンがあるかといえばそういうモノでもなく。笑いが取れたらいいってものでもないだろ。

「ラムネ氏ノコト」森深紅

坂口安吾の似たタイトルのお話を元ネタに語られるヴィクトリア朝風味の科学譚。科学の探求がいつしかもっと普遍的な、クリエイティヴィティ論に転化していくあたりはちょっと良いかも。

「サロゲート・マザー」小林泰三

タイトルの通り、代理母にまつわるお話なんだけど、そこの所の需要、というところに実は結構大きなSF的アイデアは仕込まれている、と思う。あと随所で登場人物が繰り広げる哲学的なダイアローグが意外に深い、と思った。

「検索ワード:異次元」「深夜会議」片瀬二郎

とある事情で二本立てとなっている。ここのところの事情は大森さんの解説を乞ご参照。どちらの作品もいわゆるJホラーの文法を正しく小説に反映させたものであると思った。特に「検索ワード…」のほうが素晴らしくJホラーしてますね。

「スペース蜃気楼」宮内悠介

宇宙の取り立て屋シリーズ第三弾。なんだろな、「マルドゥック・スクランブル」のあのクライマックスシーンに被せて語られる、「経済SF」みたいなものが形作られつつあるのかな、なんてことをちょっと思った。ゲームの規則的な面白さもあると思う。

「メロンを掘る熊は宇宙で生きろ」木本雅彦

なんだか良く判らんタイトルですが、お話的には至極まっとうな宇宙SF。古風ともいえる造りで逆に楽しめた。ちなみにメロンを掘る熊、という良く判らんキャラの元ネタはこういうモノらしいです(w。

「ダマスカス第三工区」谷甲州

ガテン系ハードSFシリーズ最新作。いつものように面白く、そしてちょっと尺が足りない感じがする。もうちょっと読みたいんだよなあ。

「アトラクタの奏でる音楽」扇智史

深度のある検索空間、ってのはかなりSFしてるな、と思った。TwitterとかFacebookとか、「ほーむぺーじ」のレベルから先に行ったweb環境、というか(オレは良く知らんけど)LINE的な何かの延長線上にある末来感をベースにした青春ストーリー、みたいなものか。言っちゃ悪いが最近の売れ線である「百合」までフォローしているあたりは抜かりがないというか。世界観を提示する、という意味合いにおいては本書の白眉はこれのような気がする。ラノベのノリとSF的な見たこと無かった感、の融合がかなりいい感じで実現できていたのじゃないかしら。

ということで、少々辛めですかね。多分これは、発表された短編群からチョイスして編まれたアンソロジーではなく、書き下ろしである、というところに原因があるような気はする。どうしたって「守り」に入って書かれた作品が中に入ったりすることはあるだろうなあ、と思えるわけで、そこは汲んであげようよ、って気もしないことはない、かも。そこのところの物足りなさは書き下ろしアンソロジーだと避けられない危うさであるのかもしれないね。

★★★


2015-05-24 この日を編集

[Day] のらしごと

前日夜半から降雨、なんて予報も出ていてちょっと心配だったんだけど、良い方に予報も外れてくれて朝からマンション住人総出(ウソ、全世帯の6割ぐらい)で共用スペースの草むしり。1時間強の作業で一段落の予定だったんだけど、こういうときにやたら熱心になる人ってのはいるもので、他の住人さんが良いところで切り上げた後も、やたらこだわって作業する人数名。一応こっちは役員なので、そちらの気が済むまでは付き合う羽目に。予定より少々延びましたが、みんなに配って余った缶ビは役得で多めにもらえたのでまあいいか。

そして今、足腰肩が痛く、鎌握ってた右手の握力がやや弱ってる(^^;。

[Anime][SpFX] 定期視聴番組

「終わりのセラフ」、「血界戦線」、「黒子のバスケ」、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」、「仮面ライダードライブ」、「アルスラーン戦記」。若干順番がシャッフルされてる部分もあるけど、「アルスラーン…」は今回でおおむね文庫版第一巻の内容を消化。この先は知らん話になるのでちょっと楽しみ、つか続きも読んどこうかな。今は新書版で出てるんだね。軽石庵さんにもうちょっとあるかと思ったんだけどなー。

その他、土曜深夜は安定して良い感じ、日曜朝は…、うーんどうだろう。「手裏剣」はお芝居が、「ライダー」はデザインがやっぱりちょっと受け入れがたいものがあるんだよなあ。

[Baseball] マケタデー!

DB8-6T。見ても聴いてもいないので何があったのかはよく判らんのだが、危険球で一悶着あったようですな。そこはよく判らんのだけどせっかく出だしでリードしても、その後の追加点が上手く取れず、気がついたらひっくり返されてる、という図式はいつも通りか。今日はそれでも終盤一足掻きはあったみたいだけど。

これで交流戦突入でしたっけか。不安要素しかないねえ。

[F1] モナコGP決勝

こっちも結果しか見てないんだけどバトン8位入賞は特筆すべきなんでは。アロンソもリタイアするまではそこそこのポジションにいたみたいだし。改良が捗ったのかモンテカルロというロケーションが良い方に向いたのか、どっちだったんだろう。なんにせよホンダのインプルーヴが上手い方に向いているんだと良いのだけどね。


2017-05-24 この日を編集

[Anime][SpFX] 定期視聴番組

先週末の分。「進撃の巨人」はバトルの後のひと休み、で次のヤマに向けての繋ぎ回。まあそういうヤツだ、と言うことなんだけどそれでもなんでエレン君はああも狭視界の猪突猛進人間なんだろうね。「月がきれい」は、んだよもう総集編かいな。

日曜朝、「キュウレンジャー」は海の惑星でのニセ救世主騒ぎと地球でのスコルピオ探索編が平行で進んでいく。海側はそうだな、スジは納得できるけど、全体に役者さんのお芝居が著しく説得力を欠いちゃった、みたいな。これは今回に限らないんだけど、本作では(別にこれに限った話じゃないけど)キャラ立ての一環としてそれぞれのキャラに決めゼリフ的な口癖が設定されてるんだけど、これ、総じてスベってません(^^;? 「よっしゃラッキー!」も「キタコレ!」も、話の流れの邪魔になってるような気がするんだけどな。

「エグゼイド」、仮面ライダークロニクルのラスボス、ってのがいて、それに対抗できるのは仮面ライダークロノスと言う存在、ってことだとこっちは勝手に、「ああ、クロノスってのがエム君の最終形態になるんだな」なんて思っちゃうわけだけど、そこはあっさりひっくり返してきたね。クロノスのデザインは非常にヒーロー然として格好良いんだけど、ずっと敵側なんだろうか。

[Baseball] マケタデー!

T1-3G。相変わらず機能しないクリーンナップ。無死3塁のチャンスが3回あって点取れないんじゃなあ。ノーミサンかわいそう。鳥谷の死球も心配だけど、危険球退場で投手交代とか、攻略の好機だってのになあ。明日はメッセ。3タテだけは勘弁してや。


2018-05-24 この日を編集

[Baseball] カッタデー!

T2-0S。秋山好投、今年売り出し中の植田海くんのセフティからチャンスを広げてロサリオ決勝打、という大変結構な勝ち方。まあ欲求不満もたまる展開なんだけど。これでようやっと借金1。さて借金無しの状態で交流戦に進めるかな?


2020-05-24 この日を編集

[Anime][SpFX][Chinema] 定期視聴番組(なのか?)

いろいろ溜まってますね。「かくしごと」「球詠」「Listeners」「波よ聞いてくれ」「とある科学の超電磁砲T」「本好きの下克上」「ケンガンアシュラ」ぐらい? 「かくしごと」、犬を飼う話とお誕生会の話。どちらもほんわかといい感じなんだけど、それとは別のところで何か不穏なお話も同時進行(というか後日譚の形で挟まれているんだけど)していくあたりが、いかにも「絶望先生」の作者らしいな、と。「球詠」「Listeners」「波よ…」、はそれぞれの方向性で面白い。「本好き」「ケンガン」も良い感じです。こんくらいの量ならなんとか追いかけられそうね(^^;。

ニチアサは総集編になっちゃったのね。まあ仕方ないか。

B0851YXLDM先日酔った勢いでTSUTAYAで購入した「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」も観ましたよ。世評があまり芳しくないのでお安い方でいいか、と思ってDVD版で鑑賞。んまあそりゃ言いたいことはわらわらあるけど、それでもまあ終わらせたこと、は評価できるかな。自分はEp.7の時点でなにか距離ができたな、って思った方なので、なんと言うんだろう、「スター・ウォーズ」だから、という特別扱いをする気がなくなっていたんだろうと思う。単体の映画としてそれなりに見せ場満載の娯楽作、としては決して捨てたもんではない、とは思った。何カ所か、ちょっとうるっと来るシーンもあったしね。

[Books] クララ殺し

クララ殺し(小林泰三/著) 小林泰三 著
カバーイラスト 丹地陽子
カバーデザイン 藤田知子
創元推理文庫
ISBN978-4-488-42015-4 \740(税別)

クララが逝った、クララが逝った!

地球では井森、不思議の国では蜥蜴のビルのアーヴァタールとして夢で連結されている若者。今そのビルは不思議の国で迷子になってしまった。ふらふらとさまよい歩くうち、泥水だらけの沼に引き込まれてしまった、と思ったら気がつくと緑豊かな山で気がついたビル。その視界に入ったものは、車椅子に座った金髪の少女だった…。<メルヘン殺し>シリーズ第2弾。

と言う出だしからして、ははーん今度は「アルプスの少女ハイジ」ネタで来るんだな、と思ったらそこからお話はいきなり捻れはじめ、アリス達がいた不思議の世界とは違う、「ホフマン宇宙」と地球が連結している、って事がわかってきて…、と流れていく。「ホフマン宇宙」とはなんぞ、って話ですが、これは巻末に詳しい解説があるのでそっちを読んでいただいて。ざっと噛み砕くと19世紀ドイツの作家、ホフマンの作品群から引かれた世界、キャラクタが重要なポジションについている。自分もよく知らない作家だったのですが、「くるみ割り人形」や「コッペリア」の元ネタ的な小説を書いた人でもあったんですね。

と言うわけでこの「ホフマン宇宙」に迷い込んだビルが出会った少女、クララは当然現実の地球にも存在していて、こちらではくららとして生きていて、どうやら最近何者かに命を狙われているらしい。「ハイジ」であれば「おんじ」にあたるドロッセルマイヤー氏の依頼(強制?)で、くららを狙うものの正体を探ることになった井森だったが…、と言う風にお話は進んでいく。

前作ではやや影が薄い感もあった井森君(なんせ濃ゆいキャラが続々登場するから)だけど、こっちではしっかりキャラが立ってきた感じはある。特にビルになった時のどうしようもない「足りない」感じと、そこに被さる「ホフマン宇宙」の登場人物達との饒舌だけどちゃんとした意味あるのか? 的にたたみかけられる会話が大変楽しい。

その上で前作の感想でも書いたことだけど、徹頭徹尾結構無茶なことをやっていながら、お話の、ことにミステリとしての展開はしっかり筋が通っているのだね。これをSFミステリとしてみたときにはちょっぴり難解なところも混じってくる(井森君への仕打ちのロジックってちょっと解りにくいな、なんて思ったよ)けど、それでもお話を通しての筋はきっちり通っているあたりはなんともお見事。ちゃんとミステリ的に「やられた!」かんを味あわせてもらえるのだね。その上でラストに「ホフマン宇宙」から不思議の国へと帰還するブリッジが用意されているあたりも気持ち良い。大変結構でした。

★★★★


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