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快楽の都タイスの話題をさらう
そしてこの大混乱の中、「最強」と謳われる剣士ガンダルは一人の軽業師の少女と出会うことに。彼女の名はヴァルーサ、というね。この時点でこのシリーズをずっと読んで来た人間なら「ひえっ」てなもんですよ(w。
著者の円城寺さんは「グイン・サーガ・トリビュート・コンテスト」に応募した作品が評価され、それがきっかけで本書を執筆することになった、というわけで、これは言ってみれば本家公認の二次創作物なわけ。ただしこの二次創作物は恐ろしく出来が良い。自分が栗本薫作品で高く評価する、市井の人びとの生き生きとした描写とか、あのサーガ特有の「なんという…」的な言い回しの挿み方とか、本家の雰囲気のようなものの再現具合は嫌味にならない程度に効いているし、栗本版の正伝と外伝にちりばめられた様々な要素を上手く取り込んで、一本のお話にまとめ上げている。
お話は個人的にすべての「グイン」を通じて最高傑作だと思っている外伝第1作「七人の魔道師」を核に、その前日譚と後日譚を一本のお話にまとめたような構造。これだけでも結構アクロバティックなことやったなー、ってのはリアルで「グイン」読んで来た人ならみんな思うことだと思う。少女時代のヴァルーサとガンダルが出会う、というのは正伝で言う113巻の時代よりさらに十年ばかり前。113巻の刊行は2007年。「七人の魔道師」は1981年。栗本薫が30年のタイムラグの後に登場させたキャラクタ、しかも中原最強の剣闘士という謳い文句しかなかった、さらにそのガンプラのパチものみたいなネーミングセンスに苦笑させられた男、ガンダルにちゃんと血肉を通わせ、さらに30年前にすでにグインの3人の運命の女性の一人であることが定められているヴァルーサと出会わせ、そこから30年前に書かれた物語世界に彼女を送り込み、その冒険を経て彼女に何があったのか、までをお話にする、というのはあれだ、「すごい科学で守ります」級の思考のアクロバットが要求されると思うんだけど、そこを本書の著者の円城寺さんはすばらしく手際よく捌いていると思う。正直感心しました。
欠点も無くはなくて、何よりこの流れであれば最大の山場になるであるべき「七人の魔道師」のエピソードは、すでに栗本さんが書いてしまっているので、そこはオミットせざるを得ないという事情から、人間ドラマの部分に比してアクション面の突き抜けっぷりがやや不足気味なんじゃないかって所はあるだろうな。一番良いところには触れられないのね。そこは残念でした。
とはいえ筋の通りっぷり、あと著者が男性(あとがきで「僕」とおっしゃっているからそうなんだろうと思う)だからなのかエロいところの描写が栗本さんよりも男性読者好みな方に寄っていた(^^;こと、栗本さん以降の、別な作家によって語り継がれるサーガへのブリッジとしての役割を完璧に果たしていることなど、評価できるところはたっぷり。こんなことを言ったら失礼ですが、温帯になっちゃった栗本薫よりはよほど見事に栗本作品世界を再構築して見せた本。お見事、と言わせていただきます。
しかしまいったな、こうなると(非栗本版)正伝の方も追っかけなくちゃいかん様な気になってしまうな(^^;
★★★☆
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外伝楽しめたようでなにより<br>本編のほうが[豹頭王の花嫁]まで出たらすごいことですなあ
おそらくゴールはそこだと思うのですが、どのくらいエピソードを挟んでくるのでしょうね。意外と早めにそこには到達するんじゃないか、って気はしていますが…。