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一週間分。また「甘々と稲妻」録り損ねた(つoT)。「アクティヴレイド」、難民による不法移民問題に斬り込んだかなりビターなエピソード。へたにハッピーエンドに落とし込まず、苦いままお話を投げてたのはなかなかのもの。「マクロスΔ」、ウィンダミアのいい人、林檎の木を守って戦死(南無~)。「クロムクロ」、ようやくエフィドルグが本気出してきた。あと、鬼さんが意外と軽いキャラだった。「ソーマ」、何かのバトル終了、ソーマくん敗北の味を知る、的な。でも割とカラッとしているのは良いね。「ガンダムUC」、フル・フロンタルとの決着付く。んと、(原作小説では)こんな感じだったっけか?
「ジュウオウジャー」、戦隊シリーズ累計2000回記念を前にゴーカイレッド登場。子供時代版とは言えトッキュウジャーの5人も登場という豪華版。アクションがキレッキレかつフレッシュで見応えありましたな。「ゴースト」はいよいよ終盤、なんだけどタケル、マコトにいちゃん、アラン様の三本のお話がうまく融合してくれない、という恨みもちょっぴりあったかも。「七つの大罪」、まあ、ちゃんとしてるとは思います。
「真田丸」、有名な犬伏の別れのエピソード。大変結構でしたが番組終了から15分後の「NHKスペシャル シリーズMEGA CRISIS 巨大危機」、司会進行が有働アナで「地球オワタ」と思ったのはオレだけでは無いはずだ(w。
最初の一か月に関しては充分元は取ったと思う。んでこの時点でダウンロードはしたけど読み切ってない本が何冊かあるのでもう一か月は続行することに。とはいえこのシステム、月額980円で本を10冊置いておける倉庫を借りる、というシステムがお得、と考えられる人じゃないと美味しくないかもしれん。ラインナップが重要なんだけど、このままだと自分もひかわきょうこのマンガ作品をいつでも読めるようにするために月980円を支払う、という形になってしまいそうな気がするので先行きどうなるか、かなり不透明ではあるんですが。
ハヤカワが参入してくれたらずいぶん事情は変わると思うんだけどねえ…。
マーク・ホダー 著/金子司 訳
創元海外SF叢書 上下合冊版(Kindle Unlimited)
アフリカ探検で名を挙げたサー・リチャード・バートン。その探検の最中に起きた諍いを解決するため、かつての盟友にして今は最大の論敵となってしまったジョン・スピークとの討論の場に臨んでいた彼の許に驚くべき知らせが。スピークが銃の事故で危篤状態に陥ったというのだ。手を尽くしてスピークの入院先を捜索するバートンだったが、ようやく探り当てた病院では彼の身体はすでに家族によって引き取られたという。割り切れぬ気持ちのまま、街をさまようバートンの前に人間とも怪物とも付かぬ奇怪な影が立ちふさがり、意味のわからぬ警告を発するのだった…。
わずかに異なる時間線の上にある19世紀の英国を舞台に、その時代の著名な人物たちが若干立ち位置を違えた設定で丁々発止を繰り広げる、という設定はまあ類似品もあると思うけど、ここにスチーム・パンクの世界観をかぶせてきて、かつここに、邦題でも触れられている(原題は直訳したら「バネ足ジャックの奇妙な事件」なんだけどね)のでネタバレとも言えんだろうから言うけど、時空に関する仕掛けも絡んでくる、という構成はちょっと新しいか。
序盤はどちらかというとゴシック・ホラー風味でお話は進み、読んで行くに従って徐々にこの作品世界が微妙な時間改変SFの風味やスチームパンクの要素も備えたお話なんだ、ということがわかっていく、という過程は比較的ゆったりしたペースで語られていて、ここのところの味はSF感というよりはどっちかというとホラー風味のファンタジー的なスタイルでお話が進んでいくのだが、これが後半戦に入ると一転、割にSFっぽさ、とりわけ「時空」にもまつわるSF的な味付けも強めな、乱暴に言っちゃえばスラプスティック風味が強い物に切り替わり、読んでるこちらは若干目を白黒させることになる。前半のやや重たいけれどもそれなりに読み応えがあると思えていたお話が、後半では一気に、やや軽いかな? って気もするノンストップ・アクションになだれ込む感じ。
そこを楽しめるかどうか、ってところになるんだと思うけど自分はそれなりに楽しめた。成功者と冒険者、どちらを選ぶかの岐路に立つことになったバートン卿、彼とコンビを組む、酒とSMプレイに耽溺する売れない詩人アルジーことスウィンヴァーン、敵方に配置されているのはダーウィン、ブルネルをはじめとする近世の産業・文化の大立者たち、というわけで「R・O・D」もかくやという偉人軍団相手の大立ち回りが楽しめる。キム・ニューマンの「ドラキュラほにゃらら」シリーズにも通ずる、あの人がこのお話ではこんな事やっている、でニヤニヤ出来る要素も満載で、かつその件についてちゃんと「補遺」でサポートしているあたりも狙っているんだろう。
書店で見かけたときに、その新書サイズの押し出しとタイトルで、これはかなりヘヴィー級な本なのでは? と思って敬遠したんだけど、で、正直そこで敬遠したのは正解だったと思うけど、この(Kindle Unlimitedで読める)スタイルでならばお買い得感は満点だし、実際読んでみても充分に楽しめた。続きもしっかり確保してますよ(w。
★★★☆
倅からまわってきたコミック二冊。一つはお馴染み堀越耕平「僕のヒーローアカデミア」(10)。うんまあ盛り上がってるけどおっちゃんもうおっちゃんなんや。キャラが多すぎて誰が誰やら、何がどうなってるやらよぉ判らんことになってんねん。
んでもう一冊。横田卓馬「背筋をピン! と 鹿高競技ダンス部へようこそ」(1)。競技ダンス、というとても珍しいテーマに挑戦した青春マンガ、というジャンルになるか。「ジャンプ」では割に珍しいタイプ? 作者の横田さんという方、大変失礼ながら全く存じ上げないお名前だったのでその旨倅に伝えたら、「webで『痴漢男』とか描いてた人やで」ですと。また懐かしい名前が出てきたなー、というか倅が「痴漢男」知ってたほうが驚きだったわけですが(^^;。
たしか「痴漢男」の連載終了近くのタイミングで、作者自身がプロを目指すことは述べてたと思うので、そういう意味では良かったなあと思うし、きっとすごく頑張ったんだろうなあと思う。おめでとうございます。……とはいえ作品自体は手堅い造りだし、絵も(そりゃ『痴漢男』は10年くらい前になるもんね)とてもキレイだと思うけど、残念ながら大ヒットまでは、行くのかなあ……。
広島25年ぶりのリーグ優勝、おめでとうございます。もうぐうの音も出ない戦いっぷりでございました。日曜の朝日朝刊に載っていた丸選手の手記がなかなか味わい深かったですな。
新井さんが広島に復帰した去年のキャンプで「新井さん、どのツラ下げて帰って来たんですか会」を開きました。石原さんが中心になって宮崎・日南の焼き肉屋で。以前から人柄は知っていたけど、同じ球団になって接する時間が多くなって、より新井さんのよさが見えてきたなあと思います。こういうことをさらっと言えるチームってのは、やっぱり良い雰囲気なんだろうなぁ、と思う。翻って今、うっとこはどうなんだろうってのは言わない約束と言うことにして欲しい(つoT)。
一週間分。「甘々…」、アジを調理する話。すいません、お魚苦手なんで。ってアジって赤身のお魚なんですね(そこからかい)。「アクティヴレイド」、都知事が実はラスボスなんじゃね? ってのを匂わせてくるお話。「マクロス」、また捕まっとる。
ちょっと飛ばして「ガンダムUC」、本編はともかく最初に挟まる「100秒でわかるガンダムUC」って必要だったか? 最終回の前置きとしてはかなり不適切だったような気が。
「真田丸」、まあ予想はしてましたけどその通り、有働胞すら使わずに関ヶ原の合戦は終了。まあそうなるわな(w。
マーク・ホダー 著/金子司 訳
創元海外SF叢書 上下合冊版(Kindle Unlimited)
ロンドン市内を定期巡邏中だった警官が発見した不可解な異物。それは極めて精巧な、ぜんまいじかけの自動人形だった。相当高度な技術が使われているであろう人形が路上に無造作に置き去られていたのだ。偶然そこに通りかかった王の密偵、サー・リチャード・バートンはこれが何らかのおとりの目的で放置されたものと考え、警官たちとともに周辺の調査を開始すると、案の定……。
こんな出だしで始まるバートンとスウィンヴァーンコンビの大冒険。今回は実際に史実に残るティチボーン事件をきっかけに、前作にも登場した偉人軍団(勝手にオレが呼んでるだけ)の生き残り、新聞少年オスカー・ワイルド、新たに登場する浮浪の哲学者、ハーバート・スペンサーやこちらの時間軸でも名声隠れもないグラッドストン、ビスマルク、レーニン、ラスプーチンといったお馴染みに名前が続々登場。そんな彼らが「こちらの」我々が知っているのとはちょいと異なるキャラクターで丁々発止を繰り広げる。前作が時空を超えてやってきた人物が巻き起こす大騒動だったとすれば、今回のお話は前作のそんなフックを引きずりつつ、展開はスピリチュアル・ホラー風味で始まって、気がつくとお話は前作同様時空がらみの行ったり来たりをベースにした、かなり大規模なゾンビ・パニック・カタストロフ・一方的な階級闘争付き、みたいなものに展開して、さらにここにサイキック・バトル的な風味も加味されてお話はさらに盛り上がる。
今回はそのスピリチュアル風味の部分で、主人公のバートンが割に内省的な方向に踏み込んで、なんて展開で割にお話のスピード感が遅くなったりする部分もあるにはあるんだけど、それでも全体のサービス感はこってりで、読んでて楽しくなれる本になっていると思う。自分の好み的には。続々登場する敵味方の偉人たちのキャラづけも楽しいし。本作でいちばん魅力的なのは浮浪者(にされちゃった)ハーバート・スペンサーでしょうね。それ以外にも前作では敵方にいたはずのあの人とかあの人が今回は、なんて趣向もいちいち楽しい。
前にも書いたけど、キム・ニューマンの「ドラキュラ…」シリーズとかムアコックの「グローリアーナ」とかが好きな人(オレですが)なら存分に楽しめるんじゃないだろうか。続々登場する偉人たち、スチーム・パンクならではの奇っ怪なガジェットのつるべ打ち、ここで語られるもう一つの歴史の流れ等々、ニヤニヤ要素が満載。お話のツメが割と甘いところ(ネルソン提督はバートンとエンジェルさんの指示しか聞かないんじゃなかったかね?)とか、邦題がちょっとネタバレかましちゃってる(まあこれは読んでいくとそうなっちゃう、ってことなんだけど)ところも込みで、自分はかなり好きです、これ。
★★★☆
超絶的に忙しいというわけでもないんだけど、絶妙なタイミングでちょっとした邪魔が入る日々。気がついたら週も後半だ。ってことでいろいろまとめて。
1巻読んだ時点では割と上から目線の感想だったんだけど、倅に「面白かったよ」って返したら「続きあるけど?」って。そういう、親を試すようなことはよせ>倅(^^;
ありがたく続きを読ませてもらったら、なんと言うことでしょう。これ、すごく良いじゃないか(w。
キャラの立ち具合、お話の持って行き方、ダンスというエロくしようと思えばいくらでもそっちに持って行ける題材で、エロさと健全さを絶妙なバランスでキープしてたり、いかにもネット育ちの作者らしい、ネットスラングの上手な使い方だったり、いちいち小技が効いている。
主人公カップルが美男美女でも美女と野獣でもなく、どっちもちんちくりん、ってのも良いね。ちんちくりんなんだけど読んでいくとどうしようもなく魅力的に見えてくる、という(w。その他、ワキもいい味のキャラが続々登場。主人公つっちーのちょっとしたトラウマの元であり、かつそのトラウマを克服してくれた存在でもある、名前もない方言女子もとてもいいキャラ。多分(まどマギの)杏子なんだろなー、なんて思えてしまう。
大変気に入りました。続きもよろしくな(w。
日曜朝の分も拾う。「ジュウオウジャー」、スーパー戦隊2000回アニバーサリー。アクションでちょっとカッコいい動きがあった。格闘の最中、さっと手を出し、敵の直前で止めることで一瞬相手の虚を突くアクション。ネコだましのバリエーションみたいなものかな。なかなか新鮮でした。それにしてもゴーカイジャーは改めて見ても格好良いね。「ゴースト」、いよいよ終盤。単純にみんな改心するんじゃなく、苦渋の選択ではあるけれどもその結果、タケルは父の仇を取ることにもなる、という構成は評価します。
「アクティヴレイド」、ドラマの構造上そうしたいのは解る、がその結婚式は必要だったのか? 「マクロスΔ」、いまさら気がついたんですがOPで三雲さんにオーバーラップする青い髪の女性ってミンメイ? どうにかしてミンメイの遺伝子を引っ張ってきて作られたのが三雲さん、とか言うアクロバティックなネタがラストに向けて待っている、なんて事が……あるかなあ(^^;。
相変わらず深刻なモンスターボール不足で困ってる。とにかくイーブイだのポッポだの、正直ザコ扱いしてるポケモンがかなりの確率で捕獲したボールを破ってくるところでストレス溜まりまくり。スローの技量が良くてもそれが捕獲の時に必ずしもプラスに働かない、という仕様にもイライラ。ここで課金の出番、ってことなんだろうかねえ。今のところはまだ、そっちになだれ込む気はないけど。
最新のアップデートで「相棒」を連れて歩けるようになったようですが、相棒ポケモンは今のところ積極的にモンスター集めに関わるようなものではないんですね。今のところウチでいちばん大きいポケモンさんはこの方かしら。それとは別にポケモンと言えばやっぱこれだろ、ってのはピカチュウくんなので、しばらくは彼を連れてうろついてみようとは思っていますが。
藤浪きゅんは復調できず、メッセも勝てない。そろそろ戦犯捜しが始まる季節かな。今年はどうなるんでしょうね。選手の人心掌握って所に限れば、答えは明白ってことになるのかもわからんけど…。
スタッフ
監督・脚本・原作:新海誠
製作:川村元気/武井克弘/伊藤耕一郎
製作総指揮:古澤佳寛
音楽 RADWIMPS
声の出演
神木隆之介
上白石萌音
長澤まさみ/市原悦子/谷花音
成田凌/悠木碧/島崎信長/石川界人
てらそままさき/大原さやか/花澤香菜
公式サイト:http://www.kiminona.com/
ある朝目覚めたら自分の身体が女子高生のそれになっていた。同じ時、瀧の心が収まることになった女子高生の三葉の心は、瀧の身体に入っていた。突然の事態に混乱する二人。きっとこれは夢の中の話なのだと思い込もうとするが、どうやらこれは現実に起こっているらしい。混乱しつつもお互いにコミュニケーションを取り合い、入れ替わりが起きたときにもそれほど無理なく日常生活を送ろうとどたばたする内に、いつしか互いを憎からず思うようになった二人だったが……
新海誠監督作品、というだけでこちらは勝手に過剰な美術でお話の重要なところが隠蔽されたまま続いていく、ちょっと煮え切らない主人公の、最終的に結構なボリュームの喪失感で幕が下りるような物語、を想像してしまうのだけれど、今回はちょっと毛色が変わってる。
冒頭、男女の主人公のモノローグが交互に語られ、それが最後にユニゾンになって、という流れはいつもの新海作品の乗りで、ここで「ああ、いつもの」と思ったら、そこからの展開はかなりいつもと違う感じで、まずは入れ替わりが発生した瀧と三葉、それぞれのあたふた具合を比較的ゆったりしたペースで描き、お互いが入れ替わっている、ってことを意識した瞬間一転してハイテンポのコミカルな展開(挿入歌も込みで)に移る、という流れは非常に気持ちがいい。
で、そんな楽しい展開のあとに実はのっぴきならない事情があって、そこをどう克服するのか、しないのかというシリアスなドラマが後半に待っている。この構成は大変結構。主となる舞台が山村ということもあり、新海作品と言うよりはジブリのいくつかの作品や、最近だと「宇宙ショーへようこそ」(→マイ感想)的な、なんというか「王道」な展開を、てらいなくやっている、という感じがあり、そこが逆に新海作品としては新しい、という印象を受けることになっているのかもしれない。
喪失感が新海作品のキモ、みたいに思い込んでた側からしたらこれは結構新鮮だった。ハッピーエンドのどこが悪い、といわれたら全くその通りで、本作のハッピーエンド(なんです。これはネタバレじゃないよね)についても、基本的に文句はない。いい話になっていると思う。そこは踏まえた上で、やはりちょっと首を捻るところもなくはない。
例のティアマト彗星の軌道問題は、自分は別に気にならんのでどうでもいいですが、先に書いた過剰な美術に包み隠されたいくつかの問題はやはり引っかかるのでは。入れ替わり、というこの作品の根幹をなす仕掛け、そのメカニズム自体は映画の中で説明されていると思うけど、そのメカニズムのトリガーについての説明はあっただろうかね。組紐が織りなすとりかえばや、はとても面白いと思うけど、それが何が原因で起きたのか、ってところがわりと雑だったのではないかな。そこはあまり踏み込みたくなかった、ってことでしかなかったのかもわからんけど。
とはいえなんだかんだあるけれど、払った金の価値は充分ある映画だったと思うです。以下細かいところ。
新海誠作品の主人公は、多かれ少なかれ(ファンタジイ物とかは別にするとして)新海さんの希望なり、理想なり、願望なりを反映した存在だと思っているので、彼の映画の主役を演じるのは新海誠本人であるべきだと思う(神木君は頑張っていたと思うけど、自分的にはコレジャナイ)。声ってことなら大原さやか、完全にお母さん担当声優の地位を固めたな。あと高山ラーメンのおじさん、いい人すぎ、あんど新海作品ではちょくちょく描かれる、緻密きわまる有人在来線が(シン・ゴジラのあとだけに)ホッペのピクつきが押さえられなかったです。最後に、四葉が元気で何よりだったよ(^^;。
★★★★
今週は実質最終回だった「ゴースト」、んまあいろいろ回収されてない部分はあったと思うけど、「命」は救って欲しいけれど「物質」についてはそこは人が何とかするよ、という「覚悟」はなかなかステキだと思った。ライダーのデザインが最後まで好きになれなかった、って減点ポイントは最後まで拭えなかったんだけど、次のライダーはもしかしたら、「ゴースト」以上にダサくて最後まで好きになれなかった「フォーゼ」を超えるんじゃないかって押し出しで、どうしたもんだか。
マーク・ホダー 著/金子司 訳
創元海外SF叢書 上下合冊版(Kindle Unlimited)
なぜかサー・リチャード・フランシス・バートンは「あの場所」にいた。かつて「バネ足ジャック」と呼ばれた男が突如現れ、幼いヴィクトリア女王を射殺したその時、その場所。そしてバートンの手には本来50年以上先にこの世に現れるはずの物が握りしめられていた。リー・エンフィールド・ライフル銃。その銃が狙うものとは…
というちょっと「お?」と思うような出だしから始まる「大英帝国蒸気奇譚」第3弾。第1弾からちょこちょことは挟まれていた時空がらみ、というか、えーい言ってしまえ、時間SF系の要素が今回はかなり濃厚で、しかもそれが割と唐突に放り込まれてくる。ただそこは結構語り口がうまいので、「ああ、そうなったんだ」的に一旦疑問を棚上げして読み進めていくことができる。そう、このシリーズ、お話の語り口が巻を追うごとに上手くなっていて、第三作の本書は一種その到達点に達しているとも言えるんじゃないだろうか。何よりお話としてすばらしくいい感じにまとまっている。
本書のキイになるのは二人のハーバート。本来のバートンが存在する時間線にいる哲学者、ハーバート・スペンサーと、バートンが跳ばされることになった20世紀初頭の時間線にいるハーバート・ジョージ・ウェルズ。現在のハーバートにはいまだ知られざる秘密が潜み、未来のハーバートにはバートンが飛び越えた歴史の解説者のポジションが与えられている。あと、未来において再会する、とある人物とのブリッジとしての役割も。
最初のキイ・パースン、バネ足ジャックことエドワード・オックスフォードが引き起こした事件。それはバートンたちが生きる19世紀の英国に大きな影響を与え、その状況の修復のためにスチーム・パンク感満載の世界でバートンとスウィンヴァーンが(特に近年の映画版のイメージの)ホームズとワトソン的に活躍する、というお話が第1巻、続く2巻では一転、スピリチュアル方面にシフトしつつ、かなりエグめなスプラッタ・ホラー風味が炸裂、で、一応の最終刊となる本作では、戦争アクションと秘境冒険譚風味満載のアドベンチャー。ここまで語られてきた、未来人たるオックスフォード、19世紀のバートンたち、そして人類を凌ぐ歴史を持っているのかもしれぬ蛇人族。彼らを接ぐ存在となる黒いダイヤモンドの謎とは、改変された歴史は果たして本来あるべきルートに戻ってくることが出来るのか、そしてそのためにバートンたちに与えられた使命とはなんなのか…
とまあかなり盛りだくさんな内容なんだけど、語り口が上手いのか省くところを割と上手、かつ容赦なく省いている(^^;というところからなのか、読みづらいと思うところはほとんどなく、お話の「先を知りたい」と思わせる仕掛けも上手い具合に配置されているのだろう、ストレスなく読み進んでいくことができ、一気にクライマックスまでなだれ込み、そしてラストは……、という流れ。
最終的なお話の落としどころがどういう物なのか、グッドなのかバッドなのか、とかについてはネタバレになってしまうのであんまり詳しく言わないけど、最終的にバートンたちの戦いが導いたものが現在の(読者である我々が生きている)世界に続く時間線なのかもな、という気がした。良し悪しで判断するなら、うーんそれはどうなんだろうね(^^;。
書店での(叢書サイズという)押し出しでちょっと敬遠していたんだけど、実際に読んでみたら思いのほか読みやすく、しかもお話自体が大変面白い、超ハイ・コストパフォーマンスなシリーズでした。とはいえ残念ながら現状このシリーズ、Kindle Unlimitedのラインナップからは外れてしまっているようですね。出版サイドでもこれをKindle Unlimited枠で配信するのは間違ってるだろう、という判断があったのかもしれないね。その判断自体は正しいと思うけど、でも読みやすいスタイルで読めるのなら、お買い得感は最高レベルのシリーズだとも思えるので、これをリスト落ちさせるのが良かったのか、悪手だったのか…はちょっと判断しづらいですね。
★★★★
ジャック・キャンベル 著/月岡小穂 訳
カバーイラスト 寺田克也
カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012082-5 \1120(税別)
シンディックからの一応の独立を獲得したミッドウェイ星系。だが、この宇宙で重要なジャンプ・ポイントを持つこの星系を奪回しようとするシンディックの動きは止むことがない。さらにシンディックから離脱して独裁者となったハリスの支配下にあるウリンディ星系も、ミッドウェイ星系への侵攻をもくろんでいると思われる。ここに至りイケニとドレイコンは、侵攻するシンディック艦隊を撃退し、さらに限りある戦力を割いてウリンディ星系への侵攻を企画するのだが…
前作でひと息ついたとは言え、イケニとドレイコンを取り巻く状況は相変わらず厳しい。何しろこちらはギアリーたちアライアンス勢力とは違い、体制に叛旗を翻して独立した、という時点でとにかく使えるリソースの量に限りがある上に、これまでとは全く違う政治体制をベースにいろんなことをやっていかなくてはならなくなった、という事情が引き起こすさまざまなトラブルにも対処していかなくてはいけないわけで、とにかくお話のはじめから登場人物に用意されている縛りのキツさが本編以上なのね。で、これがドラマを面白くする上でとても良いスパイスになっているんだと思う。
一種の洗脳状態だったシンディックの「人民」たち、というのは言ってみれば現状、北の首領様に率いられている国家のカリカチュア。ここからどう、いわゆる自由主義的な国家の運営スタイルを導入し、浸透させ、強化していくか、というのがお話のキモになっていくんだと思うけど、そこの所の描写はまあ、悪くない。現実世界だったらそう上手く行くんだろうか、と思える所もいくつかあるんですがそこはまあ、お話ですから。
そこらあたりの予想通り感、が無いとは言えないけれども、それでもこいつはやっぱり読んでる間は文句なしに楽しめる一作になっている。本編の方がSF的な味付けをストーリーラインに入れ込んだことで、少々とっちらかり方向に迷い込みそうな危惧が湧いて来つつある、って心配はあるのだけれど、外伝側はそこをあまり考慮しなくて良い分、本来のミリタリSFのあるべき姿をかなり忠実に実現させてみせた作品に仕上がった、と言えるのかもしれない。多分ミリタリSFが背負うべき世界観の重さ、みたいなのはこのあたりが重量制限いっぱい、ってことなのかもしれないな。
そのうえでシリーズを読んで来ている人へのサービスも抜かりなく、本作でも「あの人」は結局どうなったかな? ってヒキはちゃんと作ってくれてるあたりは大変結構。ネタバレになったら申し訳ないので「モルガンさん」だけ言っときますね(^^;。ここにもう一匙、追加があることを期待していますよ(w。
★★★☆
太田直子 著
光文社新書(Kindle Unlimited)
字幕制作者として20年のキャリアを持つ著者による、字幕つくりに関するあれこれ。主に愚痴、まれに成功話。
Kindle Unlimitedで何冊か押さえてた新書シリーズから。著者は自分が観たヤツだと「ヒトラー ~最後の12日間」の字幕を担当された方。もちろん「おっぱいぷるんぷるーん!」の方じゃないよ。同じ意味であっても発音も長さも構造も異なる外国語を、「1秒間に4文字」の制限の元で文字情報に変換する、という字幕制作にまつわるさまざまなエピソードが語られる。語られるのは字幕制作の方法論であったり、字幕にまつわる様々な、字幕制作者対営業サイドで発生する軋轢(と、それに対する悪態の数々)。で、言うまでも無いけど面白いのは後者。
そういう事もあるだろうな、と何となく思ってはいたけれど、字幕で「ん?」と思うことはちょくちょくあるが、それは必ずしも字幕制作者の能力が足りていなかったから、とは限らないと言うことが良くわかる。たとえばどうしても字幕の表示の制限上、多少おかしくなっても詰め込まざるを得ないとき(それ故に、ここでアクロバティックな省略が上手く行ったときはガッツポーズのひとつも出るんだろう)とか、字幕制作者側からすれば蛇足に過ぎないことや、意味的に逆になりかねない表現などを、営業側が無理矢理入れさせようとしてくるなんて事が往々にして起きているらしい。そのたびに著者の悪態はキレを増す、という仕掛けになっている(w。
その他、字幕にとどまらず日本語の表現全般にわたる、「ここがおかしいんじゃないか」、「この使い方はどうなんだ」的なお話や、この手の話なら必ず出てくる禁止用語問題など、言葉を扱う専門家による、映画にとどまらず日本語全般に対しての軽めの異議申しての数々が、まあ与太話レベルの乗りで次々と飛び出してくる。そこの所のテンポや語り口がとても活きのいいものになっているので、読んでる間は充分楽しい。ただ、それがおおむね「うんうん、そうだろうねえ」のレベルに収まっているので、何かとてつもなく新しい切り口の字幕論、みたいなものには出会えない。あと、決して低く見ているわけではないのだろうけど、何となく吹き替えに対して字幕の方が上、という目線も感じられてそこもどうかな、とちょっとだけ思った。まあこれは字幕制作者ゆえの矜持、とも取れはするけれど。
一点興味深い部分があって、それは例の「ロード・オブ・ザ・リング」のなっちの字幕問題で、そこは同業者ゆえって所もあるだろうけれど、難解であったり、その作品の熱心なファン以外には理解不能な箇所の字幕化においては、むしろ一見さんの客にもある程度意味が通る字幕を作る必要があり、それはしばしばファンの神経を逆なでしてしまいがちだけど、そこでファン側の要求を完全に満足させることは無理ですよ、と。
そういう不具合(と言っていいのかな)が今やネットであっという間に拡散されてしまうので、必要以上な「叩き」が起きてしまうのだろうけど、字幕を作る側にもいろいろ苦労はあるのを判ってくださいな、と言う主張はもちろん理解できます。自分も「指輪」の時より「ファイヤーフォックス」の時に「戸田奈津子ゴルァ!」って思った口ですから。
でもさあ、なっちにはまた別の問題があるんじゃないか、って気もするんだけどな(^^;。
★★☆
ピアース・ブラウン 著/内田昌之 訳
カバーイラスト 緒賀岳志
カバーデザイン 岩郷重力+A.T
ISBN978-4-15-012075-7 \980 (税別)
ISBN978-4-15-012076-4 \980 (税別)
ゴールドを頂点に、14のカーストに分類された<ソサエティ>と呼ばれる未来の人類社会。最下層のレッドからとあるレジスタンス組織との接触で人工的にゴールドとして生まれ変わり、この社会組織の破壊のための獅子身中の虫となることを選択したダロウ。いくつかのトラブルも克服し、ゴールドのエリート養成校でトップの地位を獲得した彼は、さらに上の地位、宇宙艦隊指揮官を賭けたテストに参戦する。最終局面に至るまで、勝者のポジションを維持し続けていたダロウだったが……
前作の感想を読んでいただいたら判ってもらえると思うんですが、かなり面白いとは思いつつ、特に前作では後半にかなりテンションダウンというか、割に飛ばし気味に読んで行ってしまった弊害が本書の出だしで降りかかる。前作の後半に登場する何人か(結構多い)のキャラクタが本書では軒並み重要なポジションにいるキャラになってしまっているものだから、本書の序盤、続々登場するキャラクタ達に思わず「どなたでしたっけ?」と思ってしまうんだった。ここをどう克服するか。えーい知るか、で読み進んで行ってみたら案外それで間違いなくて、いつの間にか何となくスジとキャラの辻褄は合ってきて、最終的にそこの所の良く判らん感は解消されてしまっていたのでまあ良かったか。ストーリーテリングが設定を超えて説得力をアピールしてきた、と言うことになるんだろうか。
お話自体は、SFとして特に何か新しい物があるわけではない。未来社会が色分けされたカースト制に支配されていて、それを快く思わない向きがある、ってあたりがまあSFっぽいといえるか。ただまあそこはあくまでバックグラウンドで、お話自体は意外にオーソドックスな人間同士の駆け引きだったり気持ちの動きの方にウエイトが置かれている、とは思う。SFとして何か強烈にアピールする物、ってところは案外薄い。んだけど「お話」としたらこれは結構高いポイントつけても良いんじゃないかな、って気にはなるんだな。
物語のキモってのは最終的に主人公がどんな障害にぶち当たり、そこでどれだけ挫折し、そこからどうやって立ち直り、逆襲に転じるか、って所にあると思うんだけど、そこの所の流れが本書、非常に念入りで、かつスムース、そしてお話のヤマとタニの間の振れ幅もたっぷりある。結果相当なページターナー・エンタティンメントのできあがり、と。
自分を自らがいちばん忌み嫌う支配者階級の一員に改造し、彼らの世界に入り込み、溶け込んで、自分の影響力を発揮していく過程で、最初は昏い情念のみで突き動かされていたダロウが、多くの経験から徐々に、より広い視界を得て深い思想を得ていく様は少年の成長物語としても立派なもの。当然そこで生まれる友情や愛情、それから裏切り、と言った要素も抜かりない。大変良く出来てます。続きが楽しみだ。
★★★★
日本の週刊少年マンガ誌の草分け、「サンデー」と「マガジン」。その創生から隆盛、そしてさらに強力なライバルの登場による大きな転機を迎えることになるまでの15年を豊富な取材で生き生きと活写。
2009年の刊行なので少し古い本なんだけど、Kindle Unlimitedで入手可能だったので読んでみた。いくつかは知っていたし、そのいくつかよりも多くの、今まで知らなかったエピソードが満載で、サンデー、マガジンと同い年の自分としてはなかなか感慨深い物もあるし、週刊マンガの両巨頭が、ともに横綱の地位を明け渡さざるを得なくなる時がくるまでの物語はとても興味深い。
何もない状態から週刊少年マンガ誌、を作る時にサンデーは最大のネームバリューである手塚治虫を獲得に走り、マガジンはバリューの不足を企画で補う。出だしのこの差はしばらくの間、サンデー有利に働くのだけれど、マンガの文化がある程度飽和しかかってきたときに、トラッドであろうとするサンデーに対し、マガジンの「企画」攻勢が逆襲の牙を剥く。そしてその中心にいたのは大伴昌司だった、と言う展開はSF者的にちょっと胸が熱くなる。
マンガの神様を迎え入れ、トキワ荘チームの漫画家さんを揃えたサンデーの、マンガを読んでもらう雑誌としての王道を行く構想と、マンガ部分の手薄な部分を企画で補填するのだが、そのネタが「怪獣」であったことがマガジン側の形勢逆転の口火になったこと、両誌を読みながら育った読者が青年層になったときに、それまでの少年マンガに飽き足らなくなった層をどう拾うか、と言うところでの小学館と講談社の戦略の違い、とか、一ツ橋対音羽のスタンスの違いも面白かった。
出だしで差をつけられたが故により頑張らないといけなくなったマガジン側にややボリュームが割かれていることと、仕方がないけど戦記ブームとそこから派生した「サブマリン707」それから一回りして登場する松本零士の「戦場まんがシリーズ」って、少年マンガ史の中でどんな意味があったのか、ってあたりの記述があったらさらに嬉しかったんだけど、そんなとこまで手を出したらやたら分厚い本が出来ちゃうだろうから、まあこれはこれでいい案配なんでしょう。
いずれにせよ横綱相撲を繰り広げていた両誌の間にいきなり割って入ってきた、新しいコンセプトの少年誌がたちまち市場を席巻し、ともに後塵を拝し、さらに多様化するメディアの中で少年マンガという物自体が全体的に退潮傾向に呑み込まれる、と言うのが現状なわけだけど、はたしてこの先、黎明期から隆盛期の両誌を支えた様々な名物編集者がまた登場するのか、気にかけておきたいところではありますね。
前にも紹介したけど。マガジンの逆襲の立役者、三代目編集長内田勝氏と大伴昌司氏を扱った本。Kindle無料本なので興味があったら是非。
★★★☆
山本弘 著
創元SF文庫(Kindle Unlimited)
子供の頃、死んだ祖父が残した膨大な蔵書の蔵で遊んでいた僕は、一冊の本のタイトルに何か惹きつけられる物を感じた。そのタイトルは「フェッセンデンの宇宙」。時が経ち、自分のことを僕から俺と呼ぶようになった頃、ビブリオバトルの資料集めに立ち寄った市立図書館で偶然であったクラスメートの女子。地味でぱっとしたところなど何もないその女生徒、伏木空が手にしていたのは少し意外なことにSF小説だった。
帰り道の同じバス、地味だと思っていた空が滔々と語るSFの話の中に、俺はかつて祖父の蔵で目にしたあのタイトルをふたたび聞くことになる…。
自分が大好きな本を一冊、それはどんな本でどこが面白いのか、を5分のディベートで説明、観客がより読みたいと思った本は何なのかを競うのがビブリオバトル。これ自体は本当にあるイベントで、実際著者の山本氏や解説を書いてる池澤春菜嬢も体験しているそうだ。読書離れの進む昨今、面白い本を一冊でも多く紹介し、実際に手にとってもらう助けになってもらおうという試み。その基本的なルールをベースに、ちょっと風変わりなメンバーが集まるBISこと美心国際学園のビブリオバトル部の面々と、新しくメンバーになるSF少女、空とのふれあいから、ビブリオバトルを極私的な目的のために利用しようとする一団とのバトルへとお話は流れていく。
「読んで欲しい本を紹介する」のがメインテーマになるので、本に関する蘊蓄がてんこ盛り。ビブリオバトル部の面々がそれぞれ得意テーマを持っていて、それぞれのテーマで相当突っ込んだ紹介が次々とたたみかけられるわけだけど、本作のメインになるのはSF大好きな空とノンフィクションをメインに読んでいる俺こと埋火武人。特に空のお話が多めになるので次々と紹介されるのはSF小説の数々。なのでそれなりに年だけは取っている上に古本屋なんかをやっているSF者の自分としては、「ああ、まあね」って感じの反応しか返せないのがちょっと残念か。こんなオッサンじゃなく、山本さんが本来想定しているであろう、本書の登場人物たちに近い年齢の人たちならば、また違った反応が返ってくるし、それによってそれらの本たちを「読んでみようかな」と思う人が出てくるのかもしれない。それは大変良いことだと思うよ。
お話はジュヴナイル、ライトノベル、ヤングアダルト小説、なんでもいいけどそういう方面の小説の王道中の王道、いけ好かない奴をぎゃふんと言わせる過程で、淡い恋も進展して、というもので、その点について予想を超えるような物は特にないけれど、ちゃんとまとまっていて悪くない。本来「本の楽しさ」を伝えるためのビブリオバトルを通じていけ好かない奴を懲らしめる、と言う過程は、ビブリオバトルの精神に反するんじゃないかな、ここをちゃんと叱られなかったらいかんよな、なんて思いながら読んでいくと、ちゃんと青二才どもを叱ってくれる大人もいてくれてそこも良かった。ちょっと文章が自分の好みよりは平坦というかのっぺりした感(特に空ちゃんパート)があって、そこはちょっと惜しいな、と思うけど、総じて愛らしい作品に仕上がってはいると思う。
ただし、
最近の山本弘作品に共通する、何かを書きすぎる傾向は本作でもかなり顕著で、今まではそれがいわゆる「トンデモ」方面に対する文章の飽和攻撃だったわけだけど、本書ではそこにプラス、ネットで公開される同種のテキストに対しての反駁になっていて、で、それがなんとも残念なことに、小説として全く整形されていない、いってしまえば山本さんがTwitterやTogetterのコメント欄で書いてる文章と大差ない物が並んでしまっている。結果、基本は愛らしい小説なのに間でしばしば小説世界から引き剥がされ、山本弘のナマの主張を読まされる羽目に陥り、なんとも言えん不快感が募ってくるような造りの小説になってしまっている。非常に残念だと思う。
蛇足でもう一点。先に叱ってくれる大人がいるのは良い、と書きましたがその大人、朝日奈先生がらみの終盤のエピソード。
「あまり薄い連中とつるんでも楽しくないからな。どうせなら濃い話がしたい。そう、たとえば……」先生はちょっと考えて言った。「小金井」
「はい」
「『仮面ライダー響鬼』は全何話だ?」
ミーナは一瞬、ぐっと詰まったように見えた。だが、自信に満ちた声で力強く答えた。
「全二九話です!」
「いい答えだ」先生はにやりと笑った。
うん、アンタとは友だちになれない。
★★☆
今季の終盤戦もぽちぽちと。「甘々と稲妻」、終了。大変プリティでした。続きはコミックスで、ってことかな。一応2巻までは押さえてるんですが、続きも買っちゃおうかねえ。「マクロスΔ」、風の歌い手と星の歌い手、どっちが上なんでしょう。「アクティヴレイド」、本筋とはあんまり関係ないけど、いくら糸レベルの細さとは言え、重力と遠心力がつり合ってる距離から地上に降ってくるカーボンナノケーブル、なんの災害も発生しないで済んだのかしら。「食戟のソーマ」、んまあいい最終回だった、と言えるのでは。
「ジュウオウジャー」は巨大クジラさんが仲間になってくれる話。「ゴースト」は次のライダー、エグゼイドへのブリッジ。次のライダーはゲームがベースのチームバチスタ、みたいなノリなのね。さらなるレベルアップでエグゼイド・エグゼスになったりするんでしょうかね。
「真田丸」は久々に有働胞炸裂しまくり。本多忠勝、加藤清正、さらに昌幸パパまでロックオン、割をくって信繁君は幸村になれそうでこの時点では成りきれないという。史上稀に見る、軽妙なのに妙に引っかかりの多い大河路線突っ走ってますね。まあ「新選組!」も思い返してみたらそうだったんだけど。
Kindle Unlimitedを2か月利用して、さて9月もそろそろお終いだけどこいつを継続したもんだかで思案中。一か月980円で利用できる読み放題の本が10万冊超、というのはかなり美味しいサービスに思えるんだけど、10万冊の中に自分が読みたい本がどんだけあるのか、ってところが結構重要。で、キックオフから2か月で自分が読めたのは、「千津美と藤臣君シリーズ」1と2、「女の子は余裕!」、ひかわきょうこの短編集あと2冊、創元で「軌道学園都市フロンテラ」、「大英帝国蒸気奇譚」3冊、(以上上下合本版)「BISビブリオバトル部」、光文社新書で「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」、「ふしぎなふしぎなふしぎな子ども」、「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」、「サンデーとマガジン」、雑誌で「Mdn」とか「CG WORLD」の「シン・ゴジラ」とか「君の名は。」特集のイシューとか、ここまでは完全に元は取れてるんだよね(w。
ただ、この先もこの調子で読む本があるのかと言えばそこはかなり微妙。「海軍反省会」のシリーズとかにはちょっと食指が動きかけるんだけど、これもぜんぶが読めるわけじゃないし、それ以外に読みたいな、と思える本が見つからないのも確かなところで。
Kindle Unlimitedのサービス側が検索しにくい仕掛けになっている、ってのもあると思う(書籍のジャンルだけじゃなく、書籍の形態で検索できたらありがたい。文庫、とか新書、とかで検索対象を絞り込めたらかなり違うと思うんだ)けど、それでも一気に読みたい本が減ってしまったなあ、という感じはある。この先に追加されるタイトルにもあんまり魅力的な物は見当たらないし。
ここらで脱落、ですかねえ(^^;。
九月も末だっつーのに何なんだこの蒸し暑いのは。こんな日に限って文庫本で30冊の注文をいただいて、本を発掘するだけで汗だくに。しかもどうしても見つからない本があるものだから、一旦気分転換のつもりで買い物に。したらスーパーに向かう道すがら、ちょっと勾配のきつい下りカーブのある路地の前に警察の車両が止まってて、電光掲示板に「事故」のサイン。ちょっと前にカミさんが買い物に出かけてたこともあって、「こりゃカミさん事故に巻き込まれてたりして」なんて無責任なこと考えながら下り坂を下りていくと、路面にチョークで印しつけたりしているお巡りさんたちに混じってカミさんの姿が(^^;。
聞いてみると自転車で下り坂を降りてたら、向こうから来た車にぶつけられて自転車大破、ってことになってしまったみたい。まあこっちは無関係なので、「お疲れ」って声かけて自分の買い物しにそのまま買い物して家に戻ったんだけど、一応事故なので警察まで出頭していろいろ話をしたりしてたみたい。遅れて家を出た自分より小一時間遅れで家に戻ってきたカミさんによると、一応示談で話はついて、ぶっ壊れたカミさんのチャリを弁償するってことで話はついたようで。
カミさん的には向こうのドライバーさんについてる弁護士だか税理士さんが結構ネチネチと言ってくるタイプの人で相当ムカついたようですが、電チャリ新調してもらえるんだからまあ良かったんじゃないかしら。怪我もなかったようだし。
そういう事もあるんだなあ、と思った一日でした。
終了したのが二本、「マクロスΔ」、「アクティヴレイド2nd」。どちらもかなり良かったと思う。「マクロス」はとにかくお話をタイトにまとめてきた感じがあって、そこが好印象。前の「F」がとっちらかってた分、いろんな所がちゃんとまとまっていた感じで、そこはとても良かった。ツッコミどころは満載だったんだけどね。
「アクティブレイド」2期は1期とのつながりを上手に処理した感じで結構楽しかった。1期のラスト、凛(ボス)の「お仕置きね」ってセリフが、目標だったミュトスがバードの裏切りによって先に罰を受けてしまっていたものが、今期のラスト、そのバードに対して(ボスの妹の)陽が痛快にお仕置きを完遂する、という流れは大変結構でした。しばしば絵がちょっと残念画質だったのが勿体なかったな。
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