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ジャック・キャンベル 著/月岡小穂 訳
カバーイラスト 寺田克也
カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012095-5 \1000 (税別)
突如出現した謎の「黒い艦隊」。それはなんとアライアンスが極秘裏に建造していた、完全AIコントールの無人艦による艦隊だった。アライアンスにとって究極の守護神となるはずだった黒い艦隊がなぜ、アライアンスの惑星を攻撃したのか? しかも黒い艦隊のAIには、これまでの"ブラックジャック・ギアリー"の戦闘データが記録されているという。いわばみずからの分身と戦うことになったギアリーたちは……。
アムロの戦闘データをGMとかじゃなくマラサイあたりに搭載しておけばティターンズ最強だったんじゃね? 的な。ある意味最強の敵と戦うことになったギアリー一党の戦いを描く本巻は、一冊の大部分が宇宙戦ということになっていて、そういう意味では読んでて楽しいところばかりが盛り込まれている。これまで変幻自在の作戦で劣勢をはね返してきたギアリーだったが、今回は少なくともこれまでに使った手はすべて封じられている上に、相手の艦は最新鋭、こちらは連戦の疲れもたっぷりという状況下で逆転の秘策はあるか? というね。
キモになるのはAI故の融通の効かなさと、人間が設定した「知能」ゆえのアルゴリズムの齟齬、というか非ノイマン型コンピュータが根本的に抱える、矛盾にどう対応するか、という部分をどう解決しようとしたのか、というところになるのかな。本書でも軽く触れられているけど、
大昔のプログラミング言語をご存じですか? 単純でした。"XならばYである"というもので、この条件のときは、こうしろというものです。しかし、人間の思考を複製するとなると、"Xとは何で、XがYならばどうなり、Zとは何か?"といった考え方が必要になるでしょう
まああれですね、HALのパラドックス的な何かが、黒い艦隊に不可解な行動をとらせることになっちゃった、と。そこらの案配は悪くないと思うし、戦闘シーンの迫力も安定の面白さ。中盤のヤマ場におけるギアリー最大のピンチも抜け作としか思えないオチでぎりぎり回避、なんてあたりもおもしろい。ちょっとアニメっぽいなあ、なんて思うところも多々あるけど、単品としての面白さは充分にあるとは思う。
ただし、これをシリーズものの一冊として読むならば、この展開はあまりに唐突すぎると思う。アライアンス・シンディック間の長い戦いと、その陰に潜んでいるらしい謎の種族、その他の異星人たち、彼らが残したオーバーテクノロジーの秘密、といった、これまでに撒かれてきたいくつかのポイントが、割と雑にほったらかされてしまい、突然なんか別種のものが割り込んできた感じがするのだね。艦これの終盤にはいふりが乱入してきた、みたいな。ずっとこのシリーズを楽しんできた人ほど、「あるぇ?」って事になってしまうんじゃないかな。
本シリーズ、本書で一旦終了し、続いては前史に当たるお話を予定しているそうだけど、そっちである程度、投げっぱなパートに言及されたりするんだろうか。それはそれでスター・ウォーズのEp1~3みたいなことになっちゃったりしない? 的余計な心配もしてしまうわけですが(^^;。
★★★
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