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アンディ・ウィアー 著/小野田和子 訳
カバー 岩郷重力+N.S
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012164-8 \640(税別)
ISBN978-4-15-012165-5 \640(税別)
21世紀終盤、人類は月面にドーム状の複合都市、アルテミスを建造しており、そこには今や2000人を越える人びとが居住し、アルミニウム精製と観光を基盤にした産業に従事していた。そんなアルテミスに暮らす少女、ジャスミンことジャズは、荷物運びと密輸品の差配を生業にたくましく暮らしていた。そんな彼女に降って湧いた大仕事、それはアルテミスに住む実業家、トロンドから持ちかけられたライバル会社に対する妨害作戦。様々な困難や危険が伴うミッションだが、提示されたギャラはジャズが目標としているとある目的のための金額を軽く満たすもの。無理は承知でトロンドからの依頼を請けるジャズだったが…
「火星の人」のアンディ・ウィアー第2作。前作が火星を舞台にしたエキスパートによるサバイバル・ストーリーだったとしたら、今回のお話は月を舞台の困難なミッションを、素人同然の小娘が挑むお話。
素人、とはいえそこは月が舞台。地球とは全く異なる環境で、サバイバルのために要求される知識や技能などは桁違いにハードルは高くって、で、ジャズも当然そこのところのノウハウは一応高いレベルで習得済、というのは必要条件としてアリ。その上でジャズがどうやって困難なミッションに挑み、ちょっとしくじり、その結果見えてきた大仕事の裏の陰謀みたいなものが見えてきて、それに対抗すべくジャズが立てた計画とは、そしてその計画のために集まるチームとは…ってなお話になっている。一種のチームプレイでミッションを実現する、んでもってそのチーム構成にもいろんな事情と関係性を抱えた人間が集まって、ってな形になっていてそこはとっても楽しい。キャラの立て方はかなり巧い人なんだと思う。
その上で最低限のハードSF的描写を盛り込んできているあたりの抜け目の無さも、この人らしいと言えるのかな。空気がない、重力は地球の6分の1、と言う世界で何かをやろうとしたら何に気をつけなくちゃいけないのか、ってなあたりの考察は流石なんだと思う。「思う」って書いちゃうのは実際にどうなのか、ってところを自分たちは明確に判断出来ない(だってバカだもん、オレら)からですね。それでもそこのところの説得力はちゃんとある、と思う。
SF的な考証で盛り上がるんじゃなく、そこはスパイスとして愉しんでもらうとして、あくまで味わって欲しいのはストーリー・テラーとしてのウィアー作品の手筋ってことなのかな、なんて気はちょっとした。「お話」を作りたい人なんだろうね、で、そういう人はオレは好き(w。いろいろダメなところもあるし、全体にやっぱり「軽いな」と思ってしまうところもあるにはあるんだけど、「物語」としてのSF作品としてちゃんと成立していると思う。そこはとても素晴らしいことだと思います。嫌いになる要素があまりない作品、と言えますかね。
基本的に軽く読んで楽しめる作品で、そういう需要も切り離してはいけないと思うのでこれはこれであり。楽しいSFです。映画化やら続編の話もあるらしいのでそちらも楽しみにしたいですね。
一点文句をつけるとしたら、なんで上下分冊にした? ってことですかね。「火星の人」も最初一冊だったものが上下分冊になってたけど、商売上の都合で分けることになったと言うこと? このボリュームなら一冊でまとめてくれた方がよっぽど嬉しいんだけどな…。
★★★★
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