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クリストファー・ナトール 著/月岡小穂 訳
カバーイラスト 鈴木康士
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012206-5 \1220(税別)
「ネルソン作戦」を成功させ、地球に帰還した地球軍艦隊。だがそこで彼らが目にしたのは異星人の別動部隊によって完膚なきまでに叩きのめされた地球の姿だった。彼らがまた来襲したら、今度こそ地球は潰滅する。ここに至り人類は、異星人の中にも存在していると思われる非戦派とコンタクトし、和平を結ぶ努力をすべきとの結論に達した。人類の外交団を迎え、ふたたび<アーク・ロイヤル>艦隊は太陽系を後にする…。
んでここに、前巻ラストのあたりで撃墜されたいわくありげなパイロット、チャールズのその後や、一瞬の気の緩みから何者かに弱みを握られる羽目になってしまった戦闘隊司令官シュナイダーのエピソードなんかが絡み合い、お話は異星人との戦い、さらに人類側にも潜んでいるらしい敵対勢力の暗躍に、スミス提督らが立ち向かう、という流れになっている。「ボライソー」だとボライソーが提督に、色々あったけど気持ちを通じることになったヘリックが艦長になったあたり、という大変わかりにくい例えですいませんが、まあそんな感じ(^^;
前巻で明らかになった、異星人にも主戦派と非戦派が居るらしい、と言う展開、前巻では戦死扱いに思われたチャールズ(その正体は実はやんごとなき身分の人だったのですが)が非戦派とのコンタクトに成功し、さらにその非戦派の元にはそもそもの人類と異星人との戦争の発端となった事件の関係者も混じってて、という流れ。ここに人類の方も一枚岩じゃなくて、ってなスパイスがかかってるような構成、と言えるかな。
そこらの匙加減は結構手慣れた感があって前巻ほどには退屈とは感じなかった。ネタバレ気味にいうなら、「ボライソー」で始まって「女王陛下のユリシーズ号」で〆る、ような展開で、そりゃまあ読んでる分には「上がる」よね。ただ、
これ、SFである必要ある?(w。徹頭徹尾見たような展開で、特にSFだから面白い、ってところが見当たらないんだけど。普通に現代を舞台に全く同じ筋立てでお話を起こしても、別に違和感のないお話が出来上がりそうだけど。
エンタティンメントなんてそんなもんだろ、と言われたらそりゃそうかもわからんけど、SFとしてのひねりとかアイデアとか、そういう部分がもうちょっとは欲しかったような気がするな。そういえばこのシリーズ、「異星人」というだけでそこにネーミングもしなかった、ってあたりはある意味新しいのかも判らんけど。
退屈はしないけど、どうだろね、それで? って気もしてしまうんだけどな。
★★★
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