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唐澤俊一 編・著
アスペクト
ISBN4-89366-368-2 \1400(税別) →amazon
昭和のガメラシリーズやTVシリーズの「コメットさん」、「ウルトラマン80」、「刑事犬カール」など数々のヒット作を送り出した映画監督、湯浅憲明氏が語る映画人としてのキャリア、作品に対する思い。「ガメラ対ギャオス」、「ガメラ対バイラス」を実際に鑑賞しながらのテキスト・コメンタリー(?)付き。
商売ものに手をつけるシリーズ。職人監督としてその名も高い湯浅憲明氏の映画造りに対する思い、自身が経験してきた映像作品造りの現場でのさまざまな体験談や回想を交えての聞き語り。潮健児氏の本でも感じたけれども、こういうメインストリームからは微妙に外れているけれど、知られざる人気者にして玄人好みなキャラクタに対する探求本のようなものを企画・制作させると唐澤のお兄ちゃんは大変良い仕事をなさると思う。どちらもインタビューイの個性が際だっていて、かつ話し上手なところも助けになっていると思うけれども。
つねに万全とは言えない制作環境の中で、それなりの結果を出さなければいけない立場というのは、ある意味日本の特撮の本丸というべき東宝-円谷のラインでは考えられないぐらい厳しい条件が前もってハードルとして存在しているわけで、そこをいかに克服、あるいは回避して行くか、ってところが職人の腕の見せ所、と言うことになるかと思うが、そこで湯浅氏が強調するのが、どれだけ事前に計算をきっちりやっておけるか、と言うところ。予算、納期、スタッフをしっかり頭に入れておき、その中でできることをきっちりやり遂げることが何より重要である、と言いつつ、脚本家に対してはぶっ飛んだ発想を求め、監督としてやるべきことは脚本が要求してくることを、限られた条件下でいかに実現するかである、とするあたりに、サラリーマンでも芸術家でもない、「職人」としてのプライドがあるのだと思う。東の横綱ともいうべき「ゴジラ」に対しても、倒すべき相手ではなく、お互いが狙うところは違うのだから、そこを追求したらいいんじゃね? 的な鷹揚さとそれなりの矜持のようなものが混じったコメントも興味深い。
ガメラ映画の誌上コメンタリもなかなか興味深いんだが、「対ギャオス」と「対バイラス」で、コメントの量が二つの作品の予算の格差とおおむね同じような比率だったりするところで、お家の事情ってのはやっぱり大きなファクターになってしまうよなあと思い知らされてしまうあたり、何だかんだ言っても日本の映画産業が、作り手の矜持や熱意とは別のところに小さくない問題を抱えていることだなあと思わされたことでした。
★★★☆
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いつも貴重なガメラ文献情報を頂き、感謝しております。『ガメラ医師のBlog』管理人のガメラ医師です。<br>「ガメラを造った男」の書評、たいへん面白く拝読いたしました。唐沢俊一さんについての評価や、誌上コメンタリーと制作予算の相関など、極めて鋭いご意見に思わず膝を打ったりしておりました。(ハタ!<br> 毎度のご連絡となりますが、拙Blog25日の更新、<br>ガメラ:昭和(湯浅)版視聴記など 2008/07/25<br>http://blog.goo.ne.jp/gameraishi/e/1e3bcd6bb10c4d3064cdfaa0954f0e8d<br>にて、こちらの書評をご紹介させて頂きましたので、ご報告申し上げます。どうか今後とも、宜しくお願い申し上げます。<br> これではこれにて。m(_ _)ノシ
いつもどうもですー。私は昭和のガメラでは「対バルゴン」がすごく好きなので、そこのお話をもうちょっと聞きたかったなあ、と思ったりもしましたです(^^;)が、なかなか良い本ですよね。