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パルシネマしんこうえんで「マイ・ブラザー」(→公式サイト)と「ハート・ロッカー」(→公式サイト)。先週見るつもりだったんだけど、いろいろあって週明けまでずれ込んじゃった。さて。
「マイ・ブラザー」(DVDイメージは英語版です)は、厳格な父を持つ兄弟。兄は海兵隊の優秀な兵士にして良き夫(ちなみに奥さんはアミダラ姫)、良き父。弟はけんかっ早いはみ出し者。つかの間の休暇で戻ってきた兄の最初の用事も、銀行強盗を働いて収監されていた弟を受け出しに行くことだった。ぎこちない家族の会話ののち、ふたたびアフガンに赴いた兄だったが、彼の乗ったヘリが撃墜されたという知らせが家族の元に届く。悲嘆にうちひしがれる妻と娘たちを見て何とか力になろうとするダメ弟の努力がようやく実を結びはじめたころ、死んだはずの兄が奇跡的に生還するのだが、彼の心には簡単には拭えない傷が刻み込まれていた、てなお話で、まあ「ディア・ハンター」っぽいところを多く持ったホームドラマといえるか。極めて優秀な兵士が、その優秀さゆえに極限状況下でそのアイデンティティを破壊されてしまう、という過程の描写はかなり怖いが、兄サイド、弟サイドのお話のバランスがややいびつなところで、佳作とは言えるが名作とは言えない、ような作品であったかも。
オスカーを元夫の「アバター」と争ったって事で話題になった「ハート・ロッカー」。こちらはイラクを舞台に、爆発物処理チームの戦いを描く。主人公のジェームズは極めて優秀な爆発物処理の専門家。常に危険と隣り合わせの任務をこなしていく彼のチームだったが、とあるミッションでジェームズの中にはちょっとしたしこりが生まれて…みたいな。「マイ・ブラザー」に「ディア・ハンター」の雰囲気があったとすれば、こちらに感じられるのは「フルメタル・ジャケット」のそれか。一方的に全く異なる環境に放り込まれた人間が、どこまで変わってしまうのかってあたりの描写は、後々考えてみるとかなり怖い。
手持ちカメラを思わせる微妙な映像のブレ具合や爆発シーンの瓦礫をパーティクル扱いする表現手法など、見るべきところはたくさんあるし、お話の奥に潜むテーマの怖さも充分なんだが、ジェームズの行動を追うことに主眼を置いたが故に、映画のいろんなところにかなり大きめな穴が開いたまま、お話を先に進めて行ってしまった感も無しとはしない。いろいろ「バカだろ、それは」って言いたくなるシークエンスが挟まってしまって、そこで少々興が醒めてしまう部分もあるのだな。そのあたりがちょっと残念だったかも。
戦場という環境が人間にどういう変化を強要してしまうのか、というテーマを描いたという点でどちらの映画もそれなりに健闘していたとは思うんだけれど、血縁者、知人と言った身近な人が実際に戦地に送り込まれることなんてないという、ある意味外様にいる人間からしてみれば、そもそもそんなところに善男善女を送り込む理由を造ってしまった人々の責任は問わないで良いものなのか?ってところへの疑問は拭えない。「個」の辛い話はたくさんあるが、その「個」が生まれる元となった元凶に、何か言うべき事はないのだろうか、とこの手の作品を観るといつも思ってしまうのだよな。そこに踏み込むことなく、個々の事例ばかりをピックアップするだけで、何かのエクスキューズが成立するという風潮ができてしまったら、それはそれで困った状態だと思ってしまうわけなんだが。
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