ばむばんか惰隠洞

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2011-01-05 [長年日記]

[Day] 仕事トマタ

メールでちょっときつめのこと言うと、返信すらしてこない担当者ってのもそれはそれで新しいような気はするが。フィックスまでそんなに余裕も無いはずなんだが、そんなところで個人的都合でふてくされてて良いのかね。ま、そっちがそれで良いなら付き合いますけど、気がついたら仕事が出来上がってる、なんて事にはなりゃしませんよ(苦笑)。

[Books] オリュンポス

978415011774097841501177959784150117849 ダン・シモンズ 著/酒井昭伸 訳
カバーイラスト 生頼範義
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011774-0 \980(税別)
ISBN978-4-15-011779-5 \980(税別)
ISBN978-4-15-011784-9 \980(税別)

今の先にある神話

数千年先の火星と太古の、しかも別の宇宙を繋ぐ事を可能にした超空間航行技術は、人を神に限りなく近い存在へと変貌させ、その神々の遊びの舞台として、別の地球で起きていたトロヤ戦争への介入を可能にした。だが、頻繁に行われる量子テレポートは自分たちの宇宙に徐々に修復しがたい瑕疵を刻みはじめていた。一方、トロヤ戦争の舞台では、この戦いを記録し、神々にその内容を伝えるために再構成された21世紀の歴史学者、ホッケンベリーの行動が、戦争の推移にホメロスらが記したものとは大きく違う展開をもたらそうとしていた…。

イリアム」から間をおかずに語られる、神話世界と未来世界をSF的アイデアで繋ぎ、こねくり回し、猛烈な勢いでスケールアップして叩き付ける、シモンズ得意の、これはなんて呼んだらいいんだろう、ワイドスクリーン・ブロックバスター、とでも?

限りなく数を減らしてしまった未来の地球に暮らす人間達、多元宇宙との接続、現在ただいまの我々の姿とは大きく異なる存在になった、外惑星に棲む人類の子孫達、何によって産み出されたのかは判然としないが、その出自を偉大な英米文学にたどることの出来る異形の者たち…。次から次へと繰り出されるSF的、文学的なアイデアのつるべ打ちにくらくらしつつ読んでいくと、最後にはなんだか拍子抜けするような結末が待っている。盛り上げるだけ盛り上げて、最後に落ち着くところはそこかよと思いつつ、そこで最後に最大級のカタストロフをあえて持ってきたりしない辺りが、シモンズの腕って事なのかな。なんだかんだとあるけれど、人間ってのは生きるに足る存在なのだし、生きるためにやるべき事をすべてやりきった者たちだけに未来があるのだ、というある意味シンプルなテーマに、ものすごい量の衒学的趣味がまぶされた作品、と言えるかな。

そういう構成なので多分、英米文学に造詣の深い人ほど、この大長編は深い楽しみ方が出来るんではないかと思う。何か原典があったときに、自分みたいなヌルい本読みにはとっさに思い至らない深い背景の部分にまで思いをいたす楽しみ方が出来るような気がする。もちろんそこら辺が良く判らなくても、充分に楽しめる波乱万丈の展開になっているし、訳者の酒井さんの解説も、毎巻かなり助けになってくれるので安心なんだけど。なんというか、エンタティンメント作品でありながら同時に、見る側の教養のレベルにも挑戦してくる作品と言えるわけで、そこの所の油断のならなさなんかもこの作品の魅力なんだろうと思う。

同時に感じるのは、この造りってのは、アメリカにおける「神話」のシモンズなりの一つの回答なのかな、というところだろうか。ファンタジーに常に一定の需要があるアメリカという国、それは国が出来て200年ちょいしかないあの国の国民が、潜在的に自分の国のための神話を欲しているのじゃないか、それ故にどうしようもないファンタジーも乱造されているんじゃないか、米国産ファンタジーにあまりのめり込まない方が良いんじゃないかい? みたいな文章をすこし前に何かで読んだ(誰が書いたのかも憶えてないんですけど)憶えがあって、それ以降(主にハヤカワFTレーベルの)ファンタジーは敬遠する傾向があった自分なんだけど、SFサイドからいきなり、米国人にとって神話ってのはこういうもんだべ、っていう提案がなされたような気分を味あわされた。神話があって、それを元に様々な文豪達がそれを拡張してきた流れとは別のところで、かつての文豪達が拡張してきた物語世界の元になる部分にSF的な味付けを加え、神話自体を再構成して見せた、という…。

そういう意味においてこれはまことに正しいSFって感じ。お話の展開上、重要度が下がったパートへの扱いが少々雑になってしまうところとか、現在、過去、未来を眺めていく上で(読者的に)現在パートへのくすぐりの部分がいまいち上手くないな、と思ってしまうところもなくはないんだが、それでもこの読み応えはただ事ではない。年末年始のお休み期間に一気に読む価値充分の一作だと思う。刺身包丁的なエッジの切れ味ってところの鋭さはそれほどでもないけど、中華包丁的重量感に満ちあふれた一作、って感じだな

★★★★


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