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だらんま、までは行きませんが(富山弁)。普段twitterとかあんまり見ないので、やることが全くない一日、togetterのまとめで目についたのをちらほら見てた。んまあまとめる人がいるって時点で恣意的な味が加わってしまうのはしかたがない所だとは思うけど、それでも(ほんとにtwitterでどういう動きがあるのかが判らないんで)いろいろ新鮮だった。今ごろになって仕入れた情報。
ぐらいかしら。特に日垣隆氏のぶっ飛び具合はすごいなあと思った。自分は2000年代前半にこの方の本を何冊か読んで、それなりに面白いと思いつつも、辛口というか、ぶった切り系の評論家の寿命みたいな物があるんじゃないかなあみたいな事を書いたけど、この人はこっちの予想を軽く飛び越えて、剣客から辻斬りにジョブチェンジした感じ。どういう損得勘定があってこうなったのかしらね、とかちょっと思ったことでした。
ディック・フランシス&フェリックス・フランシス 著/北野寿美枝 訳
カバーデザイン bookwall
カバー写真 アフロ
ハヤカワ文庫HM
ISBN978-4-15-070743-9
名前がメイスンで職業が弁護士と来れば、知り合いは皆、私のことを「ペリイ」と呼ぶ。本当の私の名前はジェフリイ。プロ騎手を目指していた頃もあったが、今の私の戦いの場所は馬場ではなく法廷だ。その日も出走を心待ちにしていたレースをキャンセルし、勝ち目の薄い裁判の被告側の弁護人として法廷にいた。判決は予想どおり被告人に懲役8年の有罪判決を言い渡し、裁判もレースも終りになったはずだった。だがその日の被告と私は、さほど間を置かずに再会することになる。しかもその再会はかなり暴力的な物だった。
次男、フェリックス氏を執筆スタッフに加えた新生競馬シリーズとしては三作目になる本作、今回の主人公は法廷弁護士兼アマチュア騎手。このシリーズが法廷物のテイストを多めに持ち込んできたのは初めてかな? ただ、事件の背景にあるのは、主人公にも関わりの深い競馬界で起きた殺人事件。アマチュア騎手としての競馬との関わりと、弁護人としての活動がいい具合に結びつき、ぎゅっと締まった面白い作品になっている。
このシリーズの常で、さほど登場人物が多くないことから、半ば当てずっぽうでもミステリ側のオチ的な部分にはそれなりに予想は付くし、それはまあそんなに外れていない事が多いわけだけど、一種の倒叙ミステリ的な面白さと、冒険小説的な部分の味付けが大変上手なので、ちゃんと楽しめる。法廷シーンのやりとりなんかは、原告対被告、双方の弁護人の丁々発止のスリル、とはまたちょっと違ったところで、かなり良い感じのテンションを提供してくれてるな、と。そういう意味では人気シリーズの新作として、まずは基準のライン(競馬シリーズの平均偏差はかなり高めだと思うけどね)は軽々とクリアしているとは思った。
その上で、これは解説の三橋曉さんが書かれていることで、真相がそうなのかはわからないのだけれど、親子合作となった本シリーズ、基本的に執筆をしているのは息子のフェリックス君で、ディック父さんは助言を与える立場に引いているんじゃないか、と言う話があって、確かに本書でもラストシーンなんかは、ディック・フランシスだったら、とある人物がとある結果になってしまうまでの流れなんかは、違う表現をしたかもしれないな、と思う所は無くもない。実際のところはどうなのだろうね。
もう一点、全体的に「競馬シリーズ」だよな、と思いつつもどこか妙に、「競馬…」にしては微妙に、でも全体に文体がマイルドになったな、って印象はある。それが原文のテイストなのか訳が変わったことによる変化なのかはちょっと判らないけれど、そこの所に微妙な違和感を感じなかった、といえば嘘になります、ってところはあるか。これはまあ、しかたないところではあると思うけれど。
ちなみに本書では、「オックスフォード」など、「フォード」表記が「フォド」ってなっている。ここら辺が訳者さん的マイブームだったりしたのかな。
★★★☆
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