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深堀骨 著
カバーイラスト 土橋とし子
カバーデザイン 岩郷重力
ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
ISBN978-4-15-208508-5 \1700(税別)
何かが普通とはちょっと違うおかしな人が集まり、おかしなことが起きる街、柴刈天神前。この街では「バフ熱」なる奇病が流行り、コインロッカーは溜息をつき、マンホールの蓋が人間に秋波を送ってくる。そんなおかしな世界で起きる、ちょっと変わった連作短編集。8編収録。
軽石庵さんからJコレ借りて読んでみようシリーズ第5弾。んまあ「不思議」で落ち着く系統の作品、といえるのかな。不思議なのは言語の感覚というか言葉の使い方。自由闊達というか無責任というか、そんな感じで言葉がくり出されてくる。そこを楽しいと思うか、何が起きているんだろうかと思うかで、本書の読後感はかなり変わってくるんじゃないだろうか。自分にとって、この言葉遊びはかなり辛い方。ちょいちょい面白いことが起こっている。おかしな方向にお話を持って行き、おかしな展開がおかしなまま、何もわからんままにお話が終わる、と言う短編を連続して読まされるってのは、それはそれでなんだか楽しいけど取っかかりが掴めないままそれを強いられるのは正直かなり堪らん。津田文夫さん(続・サンタロガ・バリア)はこの作家を攻撃性のない筒井康隆
と表現されていたけれど、自分的にはむしろ三池崇史版の「ヤッターマン」を観たときの感想に近いものを感じたかも知れない。出来の悪い創作落語をいきなり目前に出された感じ、だな。
時々とても面白い。でも全体としては申し訳ないけど乗れない(読み切るのに4日かかったんだぜ)。自分の中の活字を目から受けとって、それを脳内で音に変換する力、ってあたりで決定的に足りないところが発生してしまったのかも知れないな。なのでこれ、上手な人の朗読で耳から入ったら、かなり楽しめるモノになっていたんじゃないかな、と言う気はする。チョーさんあたりが朗読してくださったら、大喜びで聴けたんじゃないかって気はするのだね。本として読むのはちょっと辛い一冊でございました。
★★★
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