ばむばんか惰隠洞

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2012-02-20 [長年日記]

[Day] そしてまただんまりか

週末振ってきた仕事。一応こっちは土曜日の段階でやれることは全部やったんで、あとは追加で指示ちょうだいねって話なんだけど、梨の礫だわねえ。

[Books] 冬至草

冬至草(石黒達昌/著) 石黒達昌 著
カバーイラスト 鈴木康士
カバーデザイン 岩郷重力 + Y.S
ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
ISBN978-4-15-208735-5 \1600(税別)

抑制が効いた不思議と不安

現役のお医者様にして作家である著者の短編集。表題作、芥川賞の候補作となった「目をとじるまでの短かい間」など6編を収録。

軽石庵さんからJコレ借りて読んでみようシリーズ第6弾。表題作、「冬至草」がなんか読んだ憶えがあるなあと思ったら、ゼロ年代SFベスト集成<F>に収録されていた。しかも自分、この作品を本書の一等賞に挙げておるな。なかなかやるなオレ(^^;)。ってことで「アマチャ・ズルチャ」ではあきらめた(とても個別に感想を書く自信がなかった)んだけど、こっちはきっと書けるはずだ。がんばるぞ。

希望ホヤ

不治の病に冒された娘を助けるために、医学の専門知識など何もない父親が苦闘する物語。専門家故の視野狭窄、素人故の発想の柔軟さがぶつかった末に選択を迫られるのは専門家によるより広義な救済なのか、素人の頑張りによる「個」の救済なのか、そこでたどり着いた結末とは…。苦みの残る結末なのだが、苦くて何が悪い、とも言えるような気はするんだよな。

冬至草

前述したとおりこちらは既読。改めて読んだけどやはり良いね。舞台が北海道と言うとこもあり、荒涼とした静謐感がたいそう魅力的。

月の‥‥

天体望遠鏡で星空を眺めていたら、突然自分の身体に溢れんばかりの月光が流れ込んできたような気がして、その後…というファンタシィ。イシグロ作品の特徴の一つではないかと思うのだが、比較的こじんまりとまとまったお話の中に、結構曰くありげな登場人物が以外に多数登場してくるってところがあると思うのだけれど、本作もそのあたりの巧さが光る。「冬至草」級に気に入りました。

デ・ムーア事件

著者の専門分野の知識が遺憾なく発揮されたような、ちょっとブラック・ユーモア風味の医学SFといえるだろうか。専門職であること、ってところへの「それで良かったんだっけ?」感の想起がテーマ、みたいな?

目をとじるまでの短かい間

芥川賞候補作品、ということで非SFなんだけど、SF短編集に入ったからにはこれもSF(w。そう言う意味ではまあ、ものすごく白い田中啓文、といえないこともないかな(^^;。

アブサルディに関する評伝

「デ・ムーア事件」と対をなすようなお話で、こちらは黒い方がやや増幅されているかな。これも「専門家って」系のお話っすね。

と言うような感じで。おそらく医学の分野でもかなり最前線に近いところで活動されている著者が、医学という特殊技能における「専門家」という一種のノーメンクラツーラに対しての「そのスタンスで良いのかい?」という控えめな異議申し立てと、「医学」が取り扱うヒトの心と身体に関する、「こうだろうと思うけど実はそれはちょっと違うのかも知れない」的な斬り込みの按配が、この人のお話の魅力になっているのかな、と言う気はする。だから劇的にはならない。でもしみじみと不安になってしまう、ような感じだね。

もう一つ、これは著者が意図していることなのかどうか分らないのだけど、一種の石黒ワールドのお約束、みたいなものもあるような気がしてそこもちょっと興味深くって。それはちょっと緩めのスター・システムなんだけど、お話をまたいで「おや、あなたは」と言いたくなるキャラクタがちょいちょい登場していて、そこもちょっと面白い。お話のテーマ的にそう言うキャラが必要だからそんなキャラを配置した、ってだけのことなのかも知れないんだけど、医療関係に強い弁護士さんだったり、天体望遠鏡持ち出す若造だったりするんだけど、特に共通性はないにも関わらず、あちらで出ていたあの人がこっちにも顔出してるなあ感は結構あって、そこもなんだか面白かった。意図していないのかも知れないけれど、それはそれで小説の世界を繋いでいる感じだなあ、と言う気がしてね。

★★★★


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