ばむばんか惰隠洞

«前の日(03-24) 最新 次の日(03-26)» 追記

カテゴリ一覧

Anime | AV | Baseball | Books | CGI | Chinema | Comics | CS | Day | DVD | Event | F1 | Games | Hobby | HTML | Kindle | Misc | mixi | News | Oldbooks | PC | Photo | SpFX | Stage | tDiary | Tour | TV | web | 逸級介護士


2004-03-25 この日を編集

[TV] 押井ウィーク…というわけでもないのだけど

「イノセンス」公開に併せて、CS 日本映画専門チャンネルでやってた押井守監督作品一挙公開、いくつか鑑賞。みたのは「紅い眼鏡」、「ケルベロス 地獄の番犬」、「トーキングヘッド」の三本。シゲさん出ずっぱりです。

押井作品は二作目で本性を現わす、と私は思っているんだけど、そういう意味では「紅い眼鏡」に続くこの映画、予想通り作家の趣味全開の困った映画、であると同時にどう見ても押井守以外にこれは撮れねえよなあ、というような映画になってて興味ぶこうございました。相米慎二もかすむような長回しの連発、しかもどう見てもこれ、監督でもカメラマンでも登場人物でもなく、犬の視点からの画像を延々と見せられるわ、犬と並ぶ押井作品名物、不味そうな食い物は続々登場するわ、たぶん押井の中ではヌーヴェルバーグや日本の無国籍アクション映画を自分なりに解体して、再構築したつもりなんだろうけど、できあがった物は(貧乏故の悲しさで)寒いギャグでしかなかった、様ないくつかのシーンとか、「おいおい」と思ってしまう映画になってます。なってるんですが困った事に、苦笑しながら最後までつき合ってしまうんですな、私(^^;)。

「紅い眼鏡」の続編って事で「地獄の番犬」などというおどろおどろしいタイトルついちゃってるけど、オープニングに現れる文字は「STRAY DOG」。群れからはぐれた痩せ犬のお話なんだよね。「イノセンス」同様、タイトルで失敗したんじゃねーかこれ、などと思わなくもない。「ストレイ・ドッグ」だったら客ももうちょっと覚悟して鑑賞しただろうにな(w。

残りの二本も、まことに押井らしくて、これはまともに三本ぶっ続けで見たらきっと精神のどこかがおかしくなりそうな気がしたので、ちらちらと見るにとどめました。そのうちゆっくり見直そうと思いますけど、「トーキングヘッド」は、これは映画青年としての押井守の映画論を詰め込んだ物って感じですな。金子修介が映研に入ってきたなり、すぐに映画を撮ろうと動き始めたのを見た押井先輩は、「なんだこいつは」と思ったそうですが、そういう、思想先行型の映画青年がやりがちな映画だなあ、という感じで。

[Books] 永遠の森 博物館惑星

本書カバー 菅浩江 著
カバーイラスト 菊池健
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030753-9 \760(税別)

地球軌道上を周回するオーストラリア大陸ほどもある小惑星。そこは古今東西、人類文明が今に至るまでに産み出してきたありとあらゆる芸術品を一手に収容する巨大博物館だった。その名を"アフロディーテ"。絵画、彫刻と言ったいわゆる美術品をはじめ、一流のパフォーマンスを演じる舞台芸術、さらには自然科学の分野からも貴重と思われるさまざまな標本も、ここには次々と所蔵されていく。膨大な人類の遺産を適切に分類、保管するためにこの博物館の学芸員たちは、高性能のコンピュータと自らの脳を直結し、膨大なデータベースにアクセスすることで日常の業務をこなしていく。そんな中、美術、パフォーマンス、自然科学それぞれを扱う、それぞれ女神の名前を付けられた各部門よりさらに一段高いアクセス権限を持つ部署が、"美の男神(アポロン)"と名付けられた一種の総合職だった。学芸員、田代孝弘が所属するのがここ。だが彼の毎日は、上級職とは名ばかりのうんざりするような各部門で発生するトラブルの調停役ばかり。今日も田代の元には、無理難題を言いつける上司からの呼び出しが…

リリカルでちょっと皮肉、んでもなぜかとても優しい「そばかすのフィギュア」を含む短編集、「雨の檻」以来の菅浩江作品だったりする。どうもJA系は手薄になってしまってよろしくないですな。ようやく星雲賞受賞作品を手に取っている私、出遅れてるにも程がある。

さてこの連作短編集、比較的長期にわたってぽつぽつと発表されてきた物なのだけれど、で、書き下ろしも一編含んでいる物なのだけれど、一編ごとの完成度もさることながら、一つのシリーズとしての伏線の張り具合も巧妙で、毎回田代にふりかかる無理難題を楽しみつつ、なかなかその姿を見せない田代の新婚の奥さん、シリーズ序盤から"アフロディーテ"のスタッフを悩ませている、ある芸術品が最後にどういう形でお披露目を迎えるのか、と言ったシリーズ構成のうまさもあり、ついついもうひとつ、と読み進んでいきたいと思ってしまう魅力に満ちた短編集になっている。私個人としては、田代君の奥様のキャラクタにもう少し手がかりがもらえたら、彼女に感情移入する余地ができて、ラストでもう何割か、余分にほろりとできたんじゃないかな、とも思うのだけれども、昔懐かしいSFってこういう展開だったよなあ、って気もするから、これはこれでまあいいか。

「雨の檻」において「そばかすのフィギュア」が、世の中のオタク男子に与えた「救い」の大きさはいかばかりの物であったか、と思う私がこの連作集で一番好きなのは、いうまでもなく、同じようにオタク男子に「キミはそれでもいいんだよ」と言ってくれるように思える「きらきら星」なわけですが、そこからラストに向かって進んでいくお話のキイ・ワードもちょっといいですね。ひねちゃってるオジサンであるわたくし的には、ラヴ・ソングは「きらきら星」でカタを付けて欲しかったような気もしますけど、トータルで行くならこの流れなんでしょう。愛らしく、かつSFである事を隠さない、良い連作集でございました。

ところで「解説」読んでたら著者の菅浩江さん、小学生の時にたまたまTVで見た「宇宙戦艦ヤマト」で、科学的なパラダイムが面白くて、自らもSF創作に手を染めたそうですが、ふむう、"アフロディーテ"の大きさがオーストラリア大陸ほど、ってのはもしかして(^^;)…。

(★★★★)


2005-03-25 この日を編集

[Books] お買い物 (22:07)

青池保子「『エロイカより愛をこめて』の作り方」(マガジンハウス)。これもなかなか、鈴蘭台の田舎では見かけない本でして。古本市があるってんで三宮に出かけたついでに確保。

実に淡々と語り口から、この人の職人としての真摯さがうかがわれますな。久しぶりに少佐の髪を三つ編みにしてみるチビ猫、のマンガも読めてお得感ありあり。

そう言えば「エロイカ…」史上初めてジェイムズ君に値切られた人って、樹村みのりがヘルプで描いたデパートの店員だったんじゃ無かろうか、などとどうでもいいことを思いだした。

[Hobby] 模型の雑誌 (22:51)

「モデルアート」と「F1 MODELING」改め「Formula One Profile 2005」というなんだか良くわからん誌名になった本、も査収。「モデルアート」はハセガワ1/32の疾風がメイン特集。んで後者のF1本は、こりゃもう完全に模型雑誌じゃなくなっちゃったな(今までは模型雑誌だったのか、と言われるとそれはそれで辛いもんがあるけど)。今号はリニューアル記念って事なのか、「川井チャンの【F単】Lite」なんて小冊子がおまけについてきてた。ただ、この先買うかどうかは未定かも。ワークさんでは(流通が変わるらしくて)扱わないって事なんで、取り置いてもらえないというデメリットもあるしなあ。どうしよ。

[Books] ヘイスティングス警部シリーズ (25:26)

本書カバー コリン・ウィルコックス 著/宮脇孝雄 訳
カバー 山本福成
文春文庫
ロンリーハンター
容疑者は雨に消える
子供たちは森に隠れる ISBN4-16-723508-0
女友達は影に怯える
署長は最後に狙われる
父親は銃を抱いて眠る
依頼人は三度襲われる
殺し屋は東から来る
ロックシンガーは闇に沈む ISBN4-16-723510-2
脅迫者は過去に潜む ISBN4-16-723511-0
暗殺者は四時に訪れる ISBN4-16-723509-9

クリフ・ジェーンウェイの原型がここに

フランク・ヘイスティングス。かつてはプロ・フットボウラーとしてそれなりに知られ、その縁で社交界の名士の娘を妻にめとり、明るい未来が拓けているかに見えたこの若者は、試合中のアクシデントで選手生命を絶たれ、その後は妻の父の経営する会社の広報担当として第二の人生を歩むことになる。だがその生活は彼にとってあまりにも虚飾に満ち、どこにも生き甲斐を見いだせないものでしかなかった。いつしか酒に溺れ、妻との間も疎遠になり、やがて訪れる破局。すべてを一旦投げ打って、生まれ故郷であるサンフランシスコに戻った彼が選んだのは、警官という生き方だった。そして今、彼はサンフランシスコ市警殺人課のチーフとして、様々な難事件にあたる日々を送る…。

商売物に手を付けてますが(^^;)。

先日買い取らせていただいた本の中に、ヘイスティングス物がまとまって入っていたんで、本国での刊行第一作、「ロンリーハンター」を読んでみたらこれが面白くって。思わずそれ以降のシリーズを、本国での刊行順に読んでいったわけで。ここんとこ本の感想がなかったのはそう言うわけです。まったりと11冊、読み続けてたわけですな。

私、たぶん探偵小説より警察小説の方が性にあってるんだろうな、と思う。アーチャーさんやスペードさんやマーロウさんやスペンサーさんの活躍もいいけど、それ以上にフロストさんやリーバーマンさんやスキナー署長が頑張るのを読むのが楽しい。何でかはわかんない。警察内部にいる人の方が、より理不尽な縛りとかに苦しめられることが多くて、そう言うところで苦労する主人公たちの方に余分に感情移入できる、のかも知れない。あとはやはり、「組織」の部分の面白さ、というのは一匹狼の探偵小説ではなかなか味合うことができなくて、そう言う部分の描写が結構私、好きなのかも知れない。このシリーズにはその辺の匙加減のうまさがかなり感じられる。ヘイスティングスの同僚で、経験豊富な警部、フリードマン、ヘイスティングスの部下、ぱっと見は役に立つとは思えないが。なぜか強運を引き当て続けるカネリ、対照的にダウナーなキャラのカリガン、出世欲むき出しのマーカム、と言ったキャラクターがうまい具合に立っててシリーズ物を読む楽しみを満喫できる。そう、シリーズ物の楽しさってのは、こっちが知ってるあのキャラクタが、この局面でどういう動きをするのかな? を楽しむところも大きいわけで、そこら辺、このシリーズの作者は良くわかっているなあと思わせられる。わかりすぎててくどい、と感じることもあるけれど。

あと、このシリーズはすべて宮脇孝雄氏が翻訳されているのだが、この訳もいい。宮脇氏と言えば最近では、「死の蔵書」などのジェーンウェイ物の訳者でもあるわけだけど、その20年以上前に、すでに今のダニング作品などで見られる主人公の造形(いや、訳者が作っているわけではないですが)スタイルの一端が見えてくるあたりもちょっと興味深いな、と。何より読んでるうちに、「未読の作品が訳出されないかなあ」と思ってしまうんだからこれはやっぱり著者の力と同じくらい、訳者の能力もすばらしかったと言うべきなのでしょうな。以下、各作品の私なりの寸評。

ロンリーハンター

ヘイスティングス初登場。この時点ではまだ彼は警部ではなく巡査部長。いわゆるフラワー・ムーブメントがまだ過去のものじゃない頃のお話。この時点で考えるフリードマン、動くヘイスティングス、みたいな作業分担は見えつつある。ヘイスティングスの過去の傷にも言及がある。

容疑者は雨に消える

ヘイスティングスの恋人となるアン登場。愛すべき脇役、カネリも。シリーズ序盤の佳品。

子供たちは森に隠れる

精神に障害を負った人物(と、それに接する社会)が大きな意味を持ってくる作品。これはシリーズ屈指の傑作だと思う。

女友達は影に怯える

ヘイスティングスの恋人、アンをつけねらうストーカーの影。というかこの作品が上梓された頃、「ストーカー」なんて言葉自体が世の中には広まっていない。ある意味時代を先取りした作品?

署長は最後に狙われる

「組織」の、なんだかわからんめんどくささやいやらしさをその底に秘めた社会派サスペンス、かな。

父親は銃を抱いて眠る

スペンサー・シリーズで言う「晩秋」ですか。終盤はしょり気味なのがちょっと惜しい。

依頼人は三度襲われる

プロンジーニの創作したヒーロー、「名無しの探偵」との夢の共演。なんだけど、個人的に警察の人と私立探偵がいたら、まずは対立して欲しいよなあと思っていたものだから、最初から協力体制で事に当るヘイスティングスと「名無し」ってのはそりゃちょっとイマイチなんじゃないかなあ、と思った。あと、せっかくの競作なんだから、「名無し」はヘイスティングスの描写をし、ヘイスティングスはその逆、なんて形もありだったんじゃないかと。

殺し屋は東から来る

政府をゆるがしかねない特ダネをつかんだ、らしいはぐれジャーナリストの殺人事件を担当するヘイスティングス。社会派方面に向いてはいるんだけど、これはちょっとツッコミが浅いかも知れない。

ロックシンガーは闇に沈む

人気の絶頂だが、その実この先は下り坂だろう、と思われる女性シンガーが殺害される。ショウビズとカルトを絡めた異色編。本編とは別に、ヘイスティングスとアンの関係に動きが見えてくるのが興味深いかも。

脅迫者は過去に潜む

大統領すら一目置かざるを得ない大物上院議員に届いた脅迫状とは…。後半のヘイスティングスもののなかでも完成度の高い作品ではないだろうか。かなり大きなスケールの舞台づくりなんだけど、各登場人物のキャラクタの掘り下げに抜かりがないあたりは好印象。

暗殺者は四時に訪れる

日本の読者向けに「週刊文春」に先行で掲載された作品。かなりダメ。「ヘイスティングス」もののいいところを忘れて、いたずらに大きな見せ場を作ろうとしているだけのような気がする。序盤はかなりいい感じなだけに、クライマックスがそれでええのんか? って気がするんだよな。

てな感じですか。私がお奨めするなら、まず「ロンリーハンター」を読んで、気に入ったら「子供たちは森に隠れる」を読んでみてくださいな、って感じかな。ってどれを読むにも古本屋頼み(^^;)?

(★★☆)


2006-03-25 この日を編集

[Day] にわか物書き (20:25)

署名入りの記事を書いて原稿料をいただく、と言う仕事を先月初めてやってみて、んでその原稿が某所にちゃんと載ってるのを確認して妙な気分。嬉しいようなこっぱずかしいような。

ま、私の趣味とも微妙にシンクロするような仕事だったので勉強になりました。またネタ振っていただいたので、がんばるます。


2007-03-25 この日を編集

[Day] 石川県で地震 (翌日追記)

朝のニュースで知った。能登半島の外側が一番揺れたようだが、高岡市でも震度4。ちょっと繋がりにくかったけど、母親に電話入れてみたら、「高岡にしては揺れたな」というお返事。そう言えば富山県はあまり揺れない地方ではあったかも知れないな、と思った(って、神戸に越したときも、ここは地震なんか無い地方、って思いこんでたのががつんと覆されたわけではあるけれど)。

というわけで富山県の方にはそれ程大きな被害は出なかったようだけど、石川県はかなり大きな被害が出たようで。都市部とは違う苦労があるのだろうなと思う。大変でしょうがなるべく深刻に考えないで、楽な気分で持ち直していって欲しいと思う。

[Books] エンプティー・チェア (翌日追記)

エンプティー・チェア 上(ジェフリー・ディーヴァー/著 池田真紀子/翻訳)エンプティー・チェア 下(ジェフリー・ディーヴァー/著 池田真紀子/翻訳) ジェフリー・ディーヴァー 著/池田真紀子 訳
カバーイラスト 水戸鉄也
カバー装幀 関口聖司
文春文庫
ISBN4-16-770538-9 \714(税別)
ISBN4-16-770539-7 \714(税別)

いつもより多く捻ってます

ノースカロライナ州エイヴリー。リンカーン・ライムは当地の病院が実施する最新の治療を受けるため、当地を訪れていた。自分の意志で動かすことの出来なくなってしまった自らの四肢を、ふたたび動かせるようになるかも知れないというかすかな希望を秘めて。そんなライムの許に一人の訪問者があった。近隣の群の保安官をしているというその男、ベルが語ったこととは、彼の地で発生している若い女性の連続誘拐事件の捜査への協力要請。容疑者はほぼ特定できているのだが、その足取りについて全く有効な推理が出来ない状態となった事件に、ライムの知恵を貸して欲しいと言うもの。ニューヨークにおける知人の親戚でもある人物からの頼みに、最初は不承不承協力していたライムも、やがて狩人の本領を発揮していくのだが…

リンカーン・ライム物の第3弾。今回の舞台は南部諸州のひとつ、ノースカロライナ。偏見なんだろうけれども、南部→KKKみたいな意識が先に立ち、どうにも不気味なところ、という先入観つきイメージが先に立ってしまうところがある。そういえば「脱出」なんぞという怖ーい映画もありましたな。あれはジョージア州だったか。

そんなわけで今回のライムとサックスは、勝手知ったるマンハッタンを離れ、何やら少々怪しげな雰囲気漂う南部にやってくる。最新の分析装置は使えず、ライムの"手足"となって活躍してくれるのはサックスただ一人。あとは頼りなく、頑迷な南部人の助っ人達を相手に、ライムの苛立ちは増すばかり。さらに捜査が進むにつれて、ライムとは全幅の信頼で結ばれていたはずのサックスの心にも迷いが生じてきて…というお話。

前作、「コフィン・ダンサー」が、出だしからでたらめに面白かったのに対してこちらの方は、出だしで語られるのが南部がらみの話であることもあり、妙に昏く澱んだ感じがつきまとい、ちょっと乗り切れないまま話が進んでいく感じ。このあたりのノリは、同じ著者の「死の教訓」をちょっと彷彿とさせる物がある。

そんな感じで序盤は少々、読む側のシフトがなかなか上に上がらないまま読み進んで行ってたわけだが、上巻終盤、ライムとサックスとの間に決定的な亀裂が生じたところからお話は俄然ヒートアップ。ディーヴァー得意の捻りまくった底意地の悪巧みが大炸裂。ディーヴァーだからこのぐらいはやってくれるよな、でまずはふんふんとこちらを知ったかな優越感を与えたところでどかんとさらにひっくり返してくる。ここらのさじ加減、捻りの塩梅の付け方の巧さはさすがディーヴァー。「コフィン・ダンサー」の捻りっぷりも尋常ではなかったが、捻りの数ならこっちは前作以上。ここらはもう、読んでびっくりしてもらうしか。

その技巧ゆえ、逆に鼻についてしまうところも無しとはしないわけだが、それでもこの小説を作る技術はすばらしい。あんしんして楽しい時間を過ごすことの出来る一作であることは請け合いですわ。

B000H1QR8Q

本書とあまり関係はないが、ジョン・プアマンの出世作となったこいつはかなりの傑作。救いのない、重い話なんだけど。ちなみに私はこの映画、厨房の頃、当時のカノジョだった人と観に行った。その後しばらくして破局になっちゃったのは、この映画のせいじゃあないと思いたい。

(★★★★)


2008-03-25 この日を編集

[Comics] お買い物

おせん 其之15(きくち正太/著)Bamboo blade 8(五十嵐あぐり/イラスト)土塚理弘&五十嵐あぐり「バンブーブレード」(8)、きくち正太「おせん」(15)。「バンブー」、アニメの方はあと一回で終わりなので、別な展開になっているんだけど、原作の方はまだ続くので、お話の方もゆっくり目。ようやく石橋先生が受けもっている二校のもう一方が登場して、みたいな。なにかとここまで不遇だった男性陣が、皆さん妙に格好良くなってきてますな。コジロー先生もちょっと主人公(いやいや、主人公はタマちゃんですけど)っぽくなってきてるし、アニメの方でも、スーパーユージが発動してたりしたし。

「おせん」は鹿児島で美味しい鰹節を作ろう編。ってテレビドラマになるのかい「おせん」。おせんさん役に蒼井優、だそうで。うーむそれはどうなんだろう。板場の三人娘のうちの一人、とかだと割としっくり来るんだけどもね。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

ソノヤマ [●蒼井優ちゃんの「おせん」、今週発売のイブニングに写真が載っていましたが、予想を遙かに上回る違和感でした(爆)流石日..]

rover [違和感なのかい(^^;)]


2010-03-25 この日を編集

[Books] ダーティペアの大帝国 ダーティペア・シリーズ 7

ダーティペアの大帝国(高千穂遥/著 高千穂遙/著) 高千穂遙 著
カバーイラスト 安彦良和
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-030991-6 \760(税別)

惑星一つを丸ごとMMORPGの世界に仕立て上げたテーマパーク、"バーバリアン・エイジ"を裏から牛耳って巨額の富を得ようとしている犯罪組織があるとの申し立てを受け、彼の地に送り込まれたWWWCの犯罪トラコン、ケイとユリのコンビ。ゲームマスターのアバターとも言えるドラゴンの助けも借り、この仮想世界でいっぱしの地位を築き上げていたふたりだったが、肝心の犯罪組織の尻尾はなかなか掴めない。そして自分たちが関知できていないところで、"バーバリアン・エイジ"には新しいトレンドが発生していた。聖獣闘戯、と呼ばれるそれは、プレイヤーが自分の技量で勝ち上がっていくのではなく、自分がゲットした聖獣と呼ばれるモンスターを闘わせてランクを上げていくバトルシステム。それはケイとユリが打ち立てつつある帝国のシステムに風穴を開けかねない代物だった…。

ごくごくとっかかりの部分を描いて続いちゃった前巻のオチ担当巻。自分はこのシリーズ、だいたいリアルタイムで読んでいる(まあ文庫になるまでのタイムラグはありますが)んで、こんなものかな、で済むけれど(ほとんど読んでないので実体はわからないんだけど)、いろんな意味でエッジギリギリで飛ばしまくってる作品も多いであろうライトノベルを読み慣れた今の若い読者の方に、これはどう映るんだろう。こう言うのもありですか? もはやこれは古いノリですか? そこらの見極めができないので、さてどう評価したものやら。

オッサン読者的には、ライトなエンタティンメント作品としてまあ読めなくもない。ただ、このシリーズが登場したときにもっていた破壊力とちょっとしたスパイスみたいなものは、完全に賞味期限を超えてしまっていて、今「いぇい!」ってな気分になれないのも確かなところで。

いろいろあるけど一点だけ文句付けとく。二人の超能力、クレアポワイヤンスは少し未来に起こるであろうことの、あくまで抽象的なイメージを見るというもので、特に具体的な何かが見えると言うものではなかったはずで、だからこそそこで、二人が見た予知夢が意味するものはなんだったのだろう、という所での謎解きにお話の流れの上でのスパイスの効果が働いていたと思うのだが、本作でのクレアポワイヤンス、かなり具体的に二人に指示出してるような気がする上に、実はその指示がどうだったのかを著者は作品の中でちゃんと描写していないように思った。それは、ズルです。

手馴れた作家の得意なフィールドでの職人芸ってことで、時間潰しには悪くないけど、なんつーか職人さんが自分が持ってて、間違いなく使える技術だけで組み立てた作品という感じ。安定感はあるが飛び抜けた面白さって部分は皆無だな。

★★☆

[web][Anime] やっぱ根岸さんはすげえな

根岸泉さんの「涼宮ハルヒの消失」評。何と言うか、ふわふわと感覚的な感想文しか書けない自分にとって、根岸さんの評の論理的な筋道の立てっぷりには、「カッコいいなあ」って感想しか出てこない。こういう文章を書いてみたいものなんだが、オレには無理だな。これ読んで「消失」、ちょっと観に行きたいな、って気になったことでした(って神戸国際松竹でまだやってるんだね、ロングランじゃん)。


2011-03-25 この日を編集

[Day] お仕事お仕事

週末に連続して降ってきたお仕事二本、納期は週明けでコーディング14ページ。ただいま一本完了。あと二日、残り7ページ。

ちょっと前なら二日で7ページなんてチョロい仕事だと思ったものだけど、今日の私はできそうに無い感満点だ。なんだろなー、クロック遅くなってるのかなあ。

[TV] ありゃ…

先日のJ:COMへの切替え工事、ちゃんと済んだと思ってたんだけど、居間からのラインはちゃんと映るんだけど,、もう一つのコネクタからのライン、うまく映らないみたい。自分が利用してる方の口なんですけどね、こちらは。工事の時に作業員の方も「フィルタが付けられなかったので切り替えだけやっておきました」って事だったんで、信号が弱いのかもしれない、上に、なにせここはカルガッソー。同軸ケーブルの上には大量の古本が乗ってるんで、ケーブル自体が痛んでいる可能性もなくはないんだよな。

いずれにせよ当分の間、自室のテレビは砂の嵐上映マシンになってしまいそうです。


2012-03-25 この日を編集

[Anime][web] 定期視聴番組

土日の分。「灼眼のシャナⅢ」、「Fate/Zero」、「探偵オペラミルキィホームズ 第2幕」、「モーレツ宇宙海賊」、「特命戦隊ゴーバスターズ」、「仮面ライダーフォーゼ」、「スマイルプリキュア!」、「機動戦士ガンダムAGE」。

土曜深夜はあちこち最終回やら場つなぎ企画やら。「シャナ」は基本ラインが全く見えてこない上に登場人物多すぎて、原作を知らない人間には何が何やらさっぱりわからない話だったんだけど、最終決戦と言うことでいろいろ見せ場が毎回続いたので、割に退屈せずに見れた。でもまあ最終的に落ち着いたのがツンデレカップルが痴話喧嘩をエスカレートさせた末に、自分らにしか解らん理由でイチャイチャモードに戻る話だった、って事でいいんすかね、これ。

「Fate」は再放送かと思ったらそうでもなく、キャラ紹介を兼ねた総集編。それにしてもオープニングが始まると、いるはずのない連中を捜してしまう自分にうんざりだぜ。「ミルキィ」は、結局またアイズ無くしちゃったんだねえ(w。

「モーパイ」は前半の山場。そういえばお姫様は何故に黄金の幽霊船を探してたんでしたっけ? そこをド忘れしてる(何かしら、説明はあったんだよね?)せいで、オチの妥当性に対して盛大にクエスチョンマークが出てしまった。

日曜朝。「ゴーバスターズ」は青の人のウィークポイントが解る回、なんだけどそれって使いようによってはむしろ最終兵器的に使えたりしないのかしら。絶唱、的な(w。赤がフリーズで青が熱暴走と来て、黄色が腹ペコなのはなんか揃ってないなあと思ってたんだけど、これはつまりバッテリーが上がったって事なんだね。自分がデスクトップメインで使ってるせいか、とっさにそこに思いがいかなかったんだぜ。

「フォーゼ」、ライダー世界においては、カニさんは小狡く立ち回ったあげく速攻で退場させられる存在って事なのですね。メテオの正体を知らないのはライダー部の連中だけなんだろうなあ(w。「プリキュア」はキュアキャンディをマジでやるってところに少々驚いた、つかキャンディの方が強いんじゃね?

「ガンダム」、んーとつまりこれはファーストにおいてアムロがランバ・ラルと出会って自らをステップアップさせる(したっけ?)お話をなぞりたいのかな? とは思った。ランバ・ラル=フリット、ハモンさん=ゼハートって事になるんでしょうかね。そのお話の持って行き方の方針自体は悪くないと思うんだけど、その手順が少々杜撰に過ぎないか、と言う気はする。結局アセムのキャラ造形がうまくないと思うんだけど、彼は「出来る」子なのか「普通」なのかが曖昧なのね。Xラウンダーという存在との絡め方を失敗しちゃったんじゃないかという気はしないでもない。そこそこ出来るんだけど決定的な何かがないから、そこをAGEシステムで補完して、みたいな説明があると良かったんじゃないかな。

[F1] マレーシアGP決勝

タイミングモニタで観戦。レース開始後数分でセパンは大どしゃ降り大会でセイフティ・カー導入→赤旗中断の流れ。英語苦手なんでアレですが、バトンがチームラジオで最終セクタは湖みたいだ、とかいってたみたいで、さすがはモンスーン気候地帯。ただそのややこしい地理的条件がドラマを作ってくれたって感じで、再スタートされたレースでは今年は目が薄いんじゃないかと言われてたアロンソがトップに立ち、ペレスも上位をキープ。予選からマシンのバランスが悪かったらしい(タイヤチョイスもあったのかも知れない)可夢偉、どうしようもないなあなマッサ、というチームメイトを尻目にこの二人、走り切っちゃったね。結果はアロンソ、ペレスのワンツー。ラス前5周でのミスはペレスには惜しかったけど、前にいるのはアロンソだもの、そう簡単にはいかなかったでしょうさ。

開幕戦のあとに出た記事で、1オーストラリアGP 6の結論(F1通信)ってのがあって、この中で可夢偉とペレスを比較して、中段グループで攻撃的にレースをするなら可夢偉は得難い存在だけど、トップチームでレースをマネジメントするならペレスの方が上、みたいな記述があって、そういうものなのかなあと思ったものなんだけど、図らずもその疑問に対して「ほらね」と応えをもらったような気分だ。コンディション的な条件もあっただろうけど、ザウバーのマシンでフェラーリよりも、レッドブルよりも、マクラーレンよりも速いタイムを叩き出して見せたのだものね。気が早いけど来年のマッサの去就がちょっと心配になっちゃったよ(^^;。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

taoy@笹塚 [結果だけを後から観てビックリしました>マレーシアGP。ペレスが出来るってことは可夢偉も出来るってことだと信じたい気持..]

rover [いやー、去年はついぞなかった、数字が変わるのを見てるだけで興奮するレース、ってのを久しぶりに実感できました。やっぱF..]


2014-03-25 この日を編集

[Day] 小物たちが騒ぐので

主にTRちゃん。あと買取依頼やら何やらでちょこまかちょこまかと時間取られ中。ここに首が痛いのが直らないのが加わって、わやな週始めでございますよ。

ちょっと厄介な仕事が一つ片付いたので一安心…してる最中にまた新しい仕事が降ってくると言う。しかもこの後にTRちゃん仕事が控えているかも知れないんだよなあ(^^;。

[Anime] 定期視聴番組

先週分も見てはいるんだけど、いろいろ忘れた。「鎧武」のカチドキアームズが派手やなあ、ぐらいか。ってことで日曜深夜から、「ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル」、「のうりん」、「ノブナガ・ザ・フール」、「とある飛空士への恋歌」、「魔法戦争」、「桜Trick」。えーと、その前の「ハマトラ」や「マギ」にもその傾向はあったんだけど、「セシル」、「飛空士」、「魔法戦争」と、軒並み(俗な言葉ですが)作画崩壊が発生しているというのはどうしたことか。というか「セシル」に至っては絵がおかしいとか言う以前に絵が足りない、状態に陥ってたような気が。なんだろね、ペースメーカーに選んだ選手が以外に無能で、序盤飛ばしすぎて後半息切れ、が続出してたりする?

相対的に「ノブナガ」とか「桜Trick」とかがやたら上出来なアニメに見えてしまうってのが困ったもんじゃ。「のうりん」もここに来て意外とまじめな話を持ってきてたりするし。

[web] 誰がどんな情熱で

ああ、「未来への遺産」また見たいなあ、と言う話は全然関係ない。ニコで見つけたこんな動画。

Sorry, sm23098915 was deleted.

ガンプラを使ったストップモーションアニメ、で良いのかな。模型自体はほぼ素組みなんだけど、こうやって動かしてみるとそんなの全然気にならないな。製作者のセンスの勝利、って感じだ。それにしてもなぜWUG?(w

同じ作者さんが他にもいろいろ公開してくれているので見てみると楽しいですよ。タグに「誰がここまでやれといった」ってあってかなり笑った。

B0010S38SM

青二才の頃の自分が毎回夢中で見ていたテレビシリーズ。久しぶりにまたやってくれんかなあ。


2015-03-25 この日を編集

[web][Oldbooks] おおむね復旧

今回は意外とすんなり行ったか。XREAのシステムバージョンアップ、一応ここまでの構造の移植は何とかなった模様。ただ、新規追加分の登録が上手く働いていない。なんでそうなるのか、原因を究明したいが仕事降ってきてるしCinema KOBEの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」も観たいしでちょっとペースダウン。ZenCart自体のバージョンも上げた方が良さそうなんで、いろいろ考えることはありますな。とりあえず最低限の機能は復旧できたので一休み。


2016-03-25 この日を編集

[Day] 会計仕事

マンションの自治会の会計仕事の集計。んまあ基本はここまでのレシートを、ものすごく雑な表計算ソフトに食わせてやればいいのでどうって事はないんだけど、一件引き継ぎまでに確認できない項目があるのはどうしたもんか。引き継ぎは日曜なんだけど、一件入金確認をしなくちゃいけないものがあって、それが火曜日以降ってことらしいのね。

とりあえず引き継ぎでは、それは入金された、と言うことにしておいて会計処理をやっちゃいましょうって事になったけど、数字が違ったらちょっと困るかも。まあ無い話だろうとは思いますが…。

[Baseball] 開幕シタデー

T2-5D。中盤までは活きのいい試合してたと思うんだけど、後半に行くにつれて覇気がなくなっていってた感があるのはやっぱり阪神、ってことなのか。信頼できる捕手と頼りになる巨砲、と言う二点において、決め手がないよねえ。ここをどう補っていくか、かしらね。

[Anime] 定期視聴番組

木曜深夜まで。「このすば」と「アクティブレイド」が終了。どちらも面白かったし、2期があるんですね。

「このすば」はなんとも言えん無責任感が、「アクティブレイド」はなんだろ、「勇者警察パトレイバー」的なノリが結構楽しかった。あと「DimensionW」と「紅殻のパンドラ」が意外とSFしてたり、「GATE」と「無彩限…」もそれなりにちゃんとしてて楽しめておりますよ。「GATE」はこれ、戦費いくらになるんだろう、ってところに思いをいたすと結構怖い話になりそうですが(^^;。


2019-03-25 この日を編集

[Day] 油断は怖いなあ

カミさんの様子を看に行った倅からの報告で、どうやら日曜の夜にカミさん、コーヒーいれに行って給湯エリアでコケちゃったようで、顔にアザこさえ、歯も一本ぐらつかせちゃったようで。相変わらず肝心なところで転んじゃうんだなあと。別に転びたくて転んでるわけじゃ無いと思うけど、この先退院して自宅に戻った時に、家族はどこまで注意しなければいかんのか、ってところで考えさせることやや大。

夕刻には病院の看護士さんからも電話をもらって、転倒の件の報告がありましたが、まあそこは謝罪は不要です。すいませんね、いろいろ気を遣わせて。本人はなるべく早く退院したいと思ってるんで、普通のことができる、ってのを証明したいんだと思います、が、まだ彼女視界狭い感じがあるんでねえ…。

水曜日、相談します。

[Books] 快絶壮遊〔天狗倶楽部〕 明治バンカラ交遊録

快絶壮遊〔天狗倶楽部〕(横田順彌/著) 横田順彌 著
カバーデザイン k2
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031368-5 \800(税別)

愉しき串刺し検索

冒険小説の雄、押川春浪を中心に結成されたスポーツ親交団体、天狗倶楽部。彼らによって野球や学生相撲がこの国に根付くこととなったのだが、その功績もさることながら、そもそもこの倶楽部のメンバー、いずれ劣らぬ奇人変人、豪傑の集まりだった。小説家、押川春浪を起点に小説、野球、相撲、さらには様々なスポーツへとジャンルを移りながら見ていく天狗倶楽部のメンバーとその関係者たちの繋がりを追っていく。

単行本は1999年刊行。ずいぶん時間が経ってからの文庫化だけど、これはもちろんNHKの大河「いだてん」でいきなり一回目から天狗倶楽部の面々が登場し、それなりに話題になった、って事情もあったんでしょう。ま、それでも手軽に入手できるようになったのはめでたいこっちゃ。

横田順彌さんはSF小説の執筆の傍ら、明治、大正時代のSF、冒険小説とその作家たちの研究をずっと続けてこられた方で、例えば「2本SF古典集成」とか、いくつも労作を発表されてるし、その研究からのスピンオフ的な作品として「人外魔境の秘密」とか、いくつかのアンソロジーで発表された短編などもあるんで、なんというか親近感みたいなものはたっぷりある。その上で天狗倶楽部、と言う集団とそこに関わる人びとのキラ星っぷりを改めて確認してみると、結構すごい人がずらっと揃っているのね。出だしから「科学小説」の名付け親が政治家としても高名な尾崎行雄だった、なんて出会い頭のストレートが炸裂したりして(w。

今と違って小説にせよ、その小説の背景になる時代としての特徴だったり、スポーツや冒険に対する選択肢が大変少ないが故に、そこに没入してしまったら最後、その暴走ぶりは今の基準とは比べものにならないぐらい熱く、どうかするとおかしな事になってしまっている、ってあたりが楽しいのかも知れない。細い口から吐き出される水の勢いは強くなる、ってことだよね。

講演がもとになっている分、わかりやすさは抜群でさくさく読めるんだけど、その分研究書的な深みみたいなのはちょっと手薄かも知れない。けどまあこれは、本書の罪ではないよね。かつて明治大正の時代で何か新しいものを求めた若者たちの群像劇。それをぶっちゃけるとエエシのボンがイキってるエピソード大会、みたいな意地の悪い言い方もできるかもわからんけど、でもこいつらのイキリがなかったら、と思うとそれはそれでヤな未来図、ってことになるよねえ。強くお薦めはしませんが、軽い読み物としてはかなり良いです。横田順彌さんには、もっと春浪シリーズを書いて欲しかったな。

★★★


Google search
www.bumbunker.com
Web
2004年
3月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

ここ1週間分の話題

傑作です

懐かしさ満点

妖精を観るには…

ジュヴナイルとしてなかなか良質

バナーが必要ならこちらを
バナー素材

古本屋やってます
特殊古本屋 軽石庵

2003年9月までのサイト

巡回先
ROVER's HATENA

あすなひろし追悼サイト
あすなひろし追悼サイト

twitter / karuishian
«前の日(03-24) 最新 次の日(03-26)» 追記
©1996-2020 乱土 労馬:l-rover@kobe.email.ne.jp