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「イノセンス」公開に併せて、CS 日本映画専門チャンネルでやってた押井守監督作品一挙公開、いくつか鑑賞。みたのは「紅い眼鏡」、「ケルベロス 地獄の番犬」、「トーキングヘッド」の三本。シゲさん出ずっぱりです。
押井作品は二作目で本性を現わす、と私は思っているんだけど、そういう意味では「紅い眼鏡」に続くこの映画、予想通り作家の趣味全開の困った映画、であると同時にどう見ても押井守以外にこれは撮れねえよなあ、というような映画になってて興味ぶこうございました。相米慎二もかすむような長回しの連発、しかもどう見てもこれ、監督でもカメラマンでも登場人物でもなく、犬の視点からの画像を延々と見せられるわ、犬と並ぶ押井作品名物、不味そうな食い物は続々登場するわ、たぶん押井の中ではヌーヴェルバーグや日本の無国籍アクション映画を自分なりに解体して、再構築したつもりなんだろうけど、できあがった物は(貧乏故の悲しさで)寒いギャグでしかなかった、様ないくつかのシーンとか、「おいおい」と思ってしまう映画になってます。なってるんですが困った事に、苦笑しながら最後までつき合ってしまうんですな、私(^^;)。
「紅い眼鏡」の続編って事で「地獄の番犬」などというおどろおどろしいタイトルついちゃってるけど、オープニングに現れる文字は「STRAY DOG」。群れからはぐれた痩せ犬のお話なんだよね。「イノセンス」同様、タイトルで失敗したんじゃねーかこれ、などと思わなくもない。「ストレイ・ドッグ」だったら客ももうちょっと覚悟して鑑賞しただろうにな(w。
残りの二本も、まことに押井らしくて、これはまともに三本ぶっ続けで見たらきっと精神のどこかがおかしくなりそうな気がしたので、ちらちらと見るにとどめました。そのうちゆっくり見直そうと思いますけど、「トーキングヘッド」は、これは映画青年としての押井守の映画論を詰め込んだ物って感じですな。金子修介が映研に入ってきたなり、すぐに映画を撮ろうと動き始めたのを見た押井先輩は、「なんだこいつは」と思ったそうですが、そういう、思想先行型の映画青年がやりがちな映画だなあ、という感じで。
菅浩江 著
カバーイラスト 菊池健
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030753-9 \760(税別)
地球軌道上を周回するオーストラリア大陸ほどもある小惑星。そこは古今東西、人類文明が今に至るまでに産み出してきたありとあらゆる芸術品を一手に収容する巨大博物館だった。その名を"アフロディーテ"。絵画、彫刻と言ったいわゆる美術品をはじめ、一流のパフォーマンスを演じる舞台芸術、さらには自然科学の分野からも貴重と思われるさまざまな標本も、ここには次々と所蔵されていく。膨大な人類の遺産を適切に分類、保管するためにこの博物館の学芸員たちは、高性能のコンピュータと自らの脳を直結し、膨大なデータベースにアクセスすることで日常の業務をこなしていく。そんな中、美術、パフォーマンス、自然科学それぞれを扱う、それぞれ女神の名前を付けられた各部門よりさらに一段高いアクセス権限を持つ部署が、"美の男神(アポロン)"と名付けられた一種の総合職だった。学芸員、田代孝弘が所属するのがここ。だが彼の毎日は、上級職とは名ばかりのうんざりするような各部門で発生するトラブルの調停役ばかり。今日も田代の元には、無理難題を言いつける上司からの呼び出しが…
リリカルでちょっと皮肉、んでもなぜかとても優しい「そばかすのフィギュア」を含む短編集、「雨の檻」以来の菅浩江作品だったりする。どうもJA系は手薄になってしまってよろしくないですな。ようやく星雲賞受賞作品を手に取っている私、出遅れてるにも程がある。
さてこの連作短編集、比較的長期にわたってぽつぽつと発表されてきた物なのだけれど、で、書き下ろしも一編含んでいる物なのだけれど、一編ごとの完成度もさることながら、一つのシリーズとしての伏線の張り具合も巧妙で、毎回田代にふりかかる無理難題を楽しみつつ、なかなかその姿を見せない田代の新婚の奥さん、シリーズ序盤から"アフロディーテ"のスタッフを悩ませている、ある芸術品が最後にどういう形でお披露目を迎えるのか、と言ったシリーズ構成のうまさもあり、ついついもうひとつ、と読み進んでいきたいと思ってしまう魅力に満ちた短編集になっている。私個人としては、田代君の奥様のキャラクタにもう少し手がかりがもらえたら、彼女に感情移入する余地ができて、ラストでもう何割か、余分にほろりとできたんじゃないかな、とも思うのだけれども、昔懐かしいSFってこういう展開だったよなあ、って気もするから、これはこれでまあいいか。
「雨の檻」において「そばかすのフィギュア」が、世の中のオタク男子に与えた「救い」の大きさはいかばかりの物であったか、と思う私がこの連作集で一番好きなのは、いうまでもなく、同じようにオタク男子に「キミはそれでもいいんだよ」と言ってくれるように思える「きらきら星」なわけですが、そこからラストに向かって進んでいくお話のキイ・ワードもちょっといいですね。ひねちゃってるオジサンであるわたくし的には、ラヴ・ソングは「きらきら星」でカタを付けて欲しかったような気もしますけど、トータルで行くならこの流れなんでしょう。愛らしく、かつSFである事を隠さない、良い連作集でございました。
ところで「解説」読んでたら著者の菅浩江さん、小学生の時にたまたまTVで見た「宇宙戦艦ヤマト」で、科学的なパラダイムが面白くて、自らもSF創作に手を染めた
そうですが、ふむう、"アフロディーテ"の大きさがオーストラリア大陸ほど、ってのはもしかして(^^;)…。
(★★★★)
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