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青池保子「『エロイカより愛をこめて』の作り方」(マガジンハウス)。これもなかなか、鈴蘭台の田舎では見かけない本でして。古本市があるってんで三宮に出かけたついでに確保。
実に淡々と語り口から、この人の職人としての真摯さがうかがわれますな。久しぶりに少佐の髪を三つ編みにしてみるチビ猫、のマンガも読めてお得感ありあり。
そう言えば「エロイカ…」史上初めてジェイムズ君に値切られた人って、樹村みのりがヘルプで描いたデパートの店員だったんじゃ無かろうか、などとどうでもいいことを思いだした。
「モデルアート」と「F1 MODELING」改め「Formula One Profile 2005」というなんだか良くわからん誌名になった本、も査収。「モデルアート」はハセガワ1/32の疾風がメイン特集。んで後者のF1本は、こりゃもう完全に模型雑誌じゃなくなっちゃったな(今までは模型雑誌だったのか、と言われるとそれはそれで辛いもんがあるけど)。今号はリニューアル記念って事なのか、「川井チャンの【F単】Lite」なんて小冊子がおまけについてきてた。ただ、この先買うかどうかは未定かも。ワークさんでは(流通が変わるらしくて)扱わないって事なんで、取り置いてもらえないというデメリットもあるしなあ。どうしよ。
コリン・ウィルコックス 著/宮脇孝雄 訳
カバー 山本福成
文春文庫
ロンリーハンター
容疑者は雨に消える
子供たちは森に隠れる ISBN4-16-723508-0
女友達は影に怯える
署長は最後に狙われる
父親は銃を抱いて眠る
依頼人は三度襲われる
殺し屋は東から来る
ロックシンガーは闇に沈む ISBN4-16-723510-2
脅迫者は過去に潜む ISBN4-16-723511-0
暗殺者は四時に訪れる ISBN4-16-723509-9
フランク・ヘイスティングス。かつてはプロ・フットボウラーとしてそれなりに知られ、その縁で社交界の名士の娘を妻にめとり、明るい未来が拓けているかに見えたこの若者は、試合中のアクシデントで選手生命を絶たれ、その後は妻の父の経営する会社の広報担当として第二の人生を歩むことになる。だがその生活は彼にとってあまりにも虚飾に満ち、どこにも生き甲斐を見いだせないものでしかなかった。いつしか酒に溺れ、妻との間も疎遠になり、やがて訪れる破局。すべてを一旦投げ打って、生まれ故郷であるサンフランシスコに戻った彼が選んだのは、警官という生き方だった。そして今、彼はサンフランシスコ市警殺人課のチーフとして、様々な難事件にあたる日々を送る…。
商売物に手を付けてますが(^^;)。
先日買い取らせていただいた本の中に、ヘイスティングス物がまとまって入っていたんで、本国での刊行第一作、「ロンリーハンター」を読んでみたらこれが面白くって。思わずそれ以降のシリーズを、本国での刊行順に読んでいったわけで。ここんとこ本の感想がなかったのはそう言うわけです。まったりと11冊、読み続けてたわけですな。
私、たぶん探偵小説より警察小説の方が性にあってるんだろうな、と思う。アーチャーさんやスペードさんやマーロウさんやスペンサーさんの活躍もいいけど、それ以上にフロストさんやリーバーマンさんやスキナー署長が頑張るのを読むのが楽しい。何でかはわかんない。警察内部にいる人の方が、より理不尽な縛りとかに苦しめられることが多くて、そう言うところで苦労する主人公たちの方に余分に感情移入できる、のかも知れない。あとはやはり、「組織」の部分の面白さ、というのは一匹狼の探偵小説ではなかなか味合うことができなくて、そう言う部分の描写が結構私、好きなのかも知れない。このシリーズにはその辺の匙加減のうまさがかなり感じられる。ヘイスティングスの同僚で、経験豊富な警部、フリードマン、ヘイスティングスの部下、ぱっと見は役に立つとは思えないが。なぜか強運を引き当て続けるカネリ、対照的にダウナーなキャラのカリガン、出世欲むき出しのマーカム、と言ったキャラクターがうまい具合に立っててシリーズ物を読む楽しみを満喫できる。そう、シリーズ物の楽しさってのは、こっちが知ってるあのキャラクタが、この局面でどういう動きをするのかな? を楽しむところも大きいわけで、そこら辺、このシリーズの作者は良くわかっているなあと思わせられる。わかりすぎててくどい、と感じることもあるけれど。
あと、このシリーズはすべて宮脇孝雄氏が翻訳されているのだが、この訳もいい。宮脇氏と言えば最近では、「死の蔵書」などのジェーンウェイ物の訳者でもあるわけだけど、その20年以上前に、すでに今のダニング作品などで見られる主人公の造形(いや、訳者が作っているわけではないですが)スタイルの一端が見えてくるあたりもちょっと興味深いな、と。何より読んでるうちに、「未読の作品が訳出されないかなあ」と思ってしまうんだからこれはやっぱり著者の力と同じくらい、訳者の能力もすばらしかったと言うべきなのでしょうな。以下、各作品の私なりの寸評。
ヘイスティングス初登場。この時点ではまだ彼は警部ではなく巡査部長。いわゆるフラワー・ムーブメントがまだ過去のものじゃない頃のお話。この時点で考えるフリードマン、動くヘイスティングス、みたいな作業分担は見えつつある。ヘイスティングスの過去の傷にも言及がある。
ヘイスティングスの恋人となるアン登場。愛すべき脇役、カネリも。シリーズ序盤の佳品。
精神に障害を負った人物(と、それに接する社会)が大きな意味を持ってくる作品。これはシリーズ屈指の傑作だと思う。
ヘイスティングスの恋人、アンをつけねらうストーカーの影。というかこの作品が上梓された頃、「ストーカー」なんて言葉自体が世の中には広まっていない。ある意味時代を先取りした作品?
「組織」の、なんだかわからんめんどくささやいやらしさをその底に秘めた社会派サスペンス、かな。
スペンサー・シリーズで言う「晩秋」ですか。終盤はしょり気味なのがちょっと惜しい。
プロンジーニの創作したヒーロー、「名無しの探偵」との夢の共演。なんだけど、個人的に警察の人と私立探偵がいたら、まずは対立して欲しいよなあと思っていたものだから、最初から協力体制で事に当るヘイスティングスと「名無し」ってのはそりゃちょっとイマイチなんじゃないかなあ、と思った。あと、せっかくの競作なんだから、「名無し」はヘイスティングスの描写をし、ヘイスティングスはその逆、なんて形もありだったんじゃないかと。
政府をゆるがしかねない特ダネをつかんだ、らしいはぐれジャーナリストの殺人事件を担当するヘイスティングス。社会派方面に向いてはいるんだけど、これはちょっとツッコミが浅いかも知れない。
人気の絶頂だが、その実この先は下り坂だろう、と思われる女性シンガーが殺害される。ショウビズとカルトを絡めた異色編。本編とは別に、ヘイスティングスとアンの関係に動きが見えてくるのが興味深いかも。
大統領すら一目置かざるを得ない大物上院議員に届いた脅迫状とは…。後半のヘイスティングスもののなかでも完成度の高い作品ではないだろうか。かなり大きなスケールの舞台づくりなんだけど、各登場人物のキャラクタの掘り下げに抜かりがないあたりは好印象。
日本の読者向けに「週刊文春」に先行で掲載された作品。かなりダメ。「ヘイスティングス」もののいいところを忘れて、いたずらに大きな見せ場を作ろうとしているだけのような気がする。序盤はかなりいい感じなだけに、クライマックスがそれでええのんか? って気がするんだよな。
てな感じですか。私がお奨めするなら、まず「ロンリーハンター」を読んで、気に入ったら「子供たちは森に隠れる」を読んでみてくださいな、って感じかな。ってどれを読むにも古本屋頼み(^^;)?
(★★☆)
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