ばむばんか惰隠洞

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2003-11-26 [長年日記]

[TV] ブラックホーク・ダウン

CS スターチャンネルで「ブラックホーク・ダウン」。2001年アメリカ、監督リドリー・スコット、出演ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー。1993年のソマリアにおける米特殊部隊の大失敗に終ったアイディード将軍急襲作戦を元にした戦争ドラマ。トップダウン型の戦闘指揮の不手際から次々とマズい手を打ち、傷口を拡げる結果になったこの作戦がアメリカに与えた影響は大きかったようで、軍ではこの後、トップダウン型の戦闘指揮から、個々の兵士に大きな権限を与えた戦闘方式の模索が始まっている、みたいなエピソードをNHK特集でもやってたな。

さてそういうわけで、アメリカにとっては痛いことこの上ない大失敗だったこの作戦を通じて、リドリー・スコットは………えーと何を言おうとしてらっしゃるのでしょうか?

自信満々で出かけて行ったはいいけれど、見通しの甘さから窮地に陥る米兵たち、完璧なはずの作戦が穴だらけだったことに困惑する上層部、倒しても倒してもゾンビの群れのごとく迫ってくるソマリア人たち。なんかもう、悪い冗談を見てるような気分になっちゃった。どう見てもこの映画、敵も味方も、ええもんも悪いもんも皆等しく、戦争ってのは割に合わんものだよ、と言っているように見えちゃったなあ。悲惨な戦いから帰った兵士が「俺たちは仲間を見捨てない」とか何とか言って映画を終えておきながら、続くテロップで「この二週間後、クリントン大統領は軍のソマリアからの完全撤退を決めた」なんて入れて見せたり、どうも意地の悪い冗談につき合わされたような感じがしちゃうんだよね。

[Books] 星海の楽園 知性化の嵐(3)

本書カバー デイヴィッド・ブリン 著/酒井昭伸 訳
カバーイラスト 加藤直之
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011460-9 \920(税別)
ISBN4-15-011461-7 \920(税別)

一定期間の"休閑"を宣言され、あらゆる知的生命体の立ち入りを禁じられた第4銀河系の惑星ジージョ。だがいつの頃からか、自らの種族を捨て、密かにこの星に暮らす知的生命体たちの姿があった。ヒトを含む七つの種族は、いつか来るであろう"贖罪の日"のために、科学文明を捨て、密やかにこの星で繰らしていた。あらゆる記憶を奪われた一人のヒトを乗せた宇宙船が不時着するその日までは。彼を追うかのようにジージョには銀河航行種族のひとつ、ローセンの巨大宇宙船が飛来し、さらにローセンのそれをはるかにしのぐ巨艦"ポルクジイ"を持って、強大なジョファーもまたジージョの空を圧する。突如現れた強大な宇宙航行種族たちの目的、それは密かにジージョの海に逃げ込んでいると見られる伝説の地球の宇宙船、"ストリーカー"と、その積荷。全宇宙航行種族の"始祖"に繋がるかも知れない重大な手がかりを持ったかもしれない"ストリーカー"をめぐって、宇宙の列強種族は共闘と対立を繰り返していたのだ。

度重なる列強の追跡を乗組員の犠牲とクルーの機略でくぐり抜けてきた"ストリーカー"は、今度もまたジョファーの裏をかき宇宙への脱出には成功したが、度重なる逃避行で艦もクルーも疲弊し、後方からは圧倒的な武力を誇る"ポルクジイ"が迫る………

「変革への序章」「戦乱の大地」と続いた「知性化の嵐」シリーズ完結編。重々しく始まった第一作、惑星ジージョを舞台にした冒険と、懐かしのストリーカーとの再会で盛り上がった第二作、そして三作目はとてつもないスケールの宇宙SF。いやもう、うぉもしれぇぇぇぇっ!

 前作までの展開でいくつかのグループに分かれて宇宙に飛び出すことになった"ストリーカー"のクルーたちとジージョからの冒険者たち、追跡する覇権種族、彼らが赴く先に待ちかまえるのはダイソン球をもしのく巨大宇宙構造物、クリスウェル構造体、酸素種族とは全く異なる行動原理を持つ水素系生物の光球、機械生命体の工作艦、宇宙航行種族の列強たちをもしのぐ"超越者"と呼ばれる知的生命体。そしてそれらのとてつもないスケールを持ったSF的アイデアの大群が、"ストリーカー"の行く先々で想像を絶する姿を見せ、想像を絶するスケールのカタストロフに見舞われる。わたしが長いこと、スペースオペラで最大級のスケールを持った作品だと思ってた「第二段階レンズマン」を、ついにそのバカバカしいぐらい巨大なスケールで凌駕した作品が現れたなあ、という感じ。でたらめなスケール感ってことなら、「ハイペリオン」シリーズすら凌いでるんじゃないかと思っちゃう。

これだけでも存分に楽しめるところに持ってきて、本作から新登場の繰り言の多いネオ・チンプ、ハリーと彼が調査員として赴く"観念が形となる"、E空間、などというアイデアまでぶち込んでくれちゃって、嬉しくなって来るじゃないか、しかもさんざん待たされ続けた"ストリーカー"の逃避行にも、ついにゴールが見えてくるとあっては、涙なしには終盤読めやしませんや。しかもこれだけサービスしてくれた上で、さらに続編への期待も持たせるエンディングを用意してくれてるんだもんなあ。

キャラクタを少々増やしすぎて、何人かの登場人物に関するエピソードが薄いとか、まあ多少不満もあるんだけど、それでもあの"スタータイド・ライジング"の物語にようやく、ひとまずの決着がついたことを素直に喜びたい気分。他の人は知りませんがわたしゃ存分に燃えまくって読書させていただきました。ステキ。

ということで、まさかこいつから読み始める人はいないだろうと思うけど、「知性化の嵐」3部作の前に、ぜひ「スタータイド・ライジング」を読んでおいて欲しいところです。盛り上がり方が違います。ついでに「サンダイバー」を読んでおくといやが上にも盛り上がるのでぜひ。普通の書店で見つからなかったら、古書店をご利用くださいませ(w*1

(★★★★☆)

*1 「サンダイバー」、売れちゃいました。あしからず。


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