ばむばんか惰隠洞

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2005-05-13 [長年日記]

[web] 使い回しには気をつけて (23:05)

JTのサイトに行って、検索窓に"F1"と打ち込んで結果を見る。検索結果は3件、うち上位二つは"What's New in MILD SEVEN F1 Team"。ほうほうと思ってクリックする。結果……ハァ?

迂闊だなJT。

[Books] SOS宇宙船シルバー号 (24:45)

本書カバー 光瀬龍 著
三省堂 SF傑作短編集 12
1977年11月初版 時価

なんとかしなければ……。いまのうちになんとかしなければ。

「ボーイズライフ」誌などに発表された、光瀬龍のジュヴナイルSF短編集、表題作他8編収録。

商売ものに手を付けちゃったシリーズその2。表題作の「SOS宇宙船シルバー号」の初出は1965年の「ボーイズライフ」誌らしい。さすがは吾妻さんが修行の糧にしただけの雑誌ではあるな。ちなみに1965年、と言われては私もまだ6歳、「ラット・パトロール」に夢中になってた頃だよなあ(それはそれで歪んでるな)。

さて日本SFの流れってものを考えてみるならば、その流れの根底にあり、かつ欧米SFと明らかに一線を画するものとして、より身近な危機感と無常観、って物があったんじゃないか、特に初期の日本SFを支配していたトーンというのはそれだったんじゃないだろうか、という気はしているわけだけど、ジュヴナイルSFを集めた本書が、基本的にそのトーンにおいて、ジュヴナイルにあるまじき展望のなさと、近い将来への危機感に充ち満ちたものの集大成になっているってあたりでも、その意識が案外的はずれなものじゃあなかったのだなあというあたりの、良い再確認のための材料になってくれたなあという感じではある。

ベトナム戦争は泥沼化し、東西冷戦はいかな快方に向かわない。しかも世の中には今までになかったクライシスとして「公害」と言うモノがクローズアップされつつある。このままでは人類は、程なく自滅してしまうのではないか、と言う危機感が一番大きなものになっていたのが60年代の終盤から70年代にかけてだったのだよね。この時期に青二才をやってた私らは、そらもう簡単に「ノストラダムスの大予言」を信じてしまう連中だったわけだ。

例えば当時のSF映画のタイトルを思い出してみればいい。「ソイレント・グリーン」、「渚にて」、「地球爆破作戦」、「世界が燃えつきる日」、「猿の惑星」、「サイレント・ランニング」、「THX1138 4EB」もこの系統だよな。共通するのは人間に任しておいては地球の将来は暗い、というトーン。これは日本では、第一世代SF作家たちによる無常観溢れる作品群と、第二世代SF作家(山田正紀さんとか、永井の豪ちゃんとかもここに入るんだろうな)による、無常観と、それに対する異議申し立てを併せ持った数々の名作を生む土壌になったのだろうと個人的には思ってる。で、本書。

これは本来、少年少女に夢と希望を与えるべきジュヴナイルであるにもかかわらず、そのトーンは限りなく暗く、重く、そしてしばしば小説として壊れてる。構成の壊れっぷりに目をつぶってまでも、作家が「今なんとかしないとホントにマズいんじゃないか」と思っていたのだろうな、と思わせる作品がいくつも見受けられる。ええ、お話には「伏線」って物が必要でしょう、それをうまく張ってこそ作家でしょう、と言いたくなるくらい出来の悪い小説もこの中には含まれているのですよ。この本が刊行された1977年にこの本を手にとって、読んだ読者にとって、その読後感はそれから四半世紀以上経った今、惰隠洞のオッサンが思う「おいおい、考えすぎだよ」と、さほど変わらないものなのではないかな、と思う。でも。

もとよりこの本に収められた作品たちの、正しい初出の時期というのが今は判らないのだけれど、これらの作品が書かれた、その時ただいまの危機感、無常観、は確かにあったよな、本当に世の中gが何かに心配していたよな、みたいな危機感があったことは私個人は理解できます。それ故小説の作法とかを多少犠牲にしても、読者に「なんとかしなければ……」と思って欲しい、という作家の心情が強く反映されてる本、というところで価値のある本なのかなあ、と。

個人的には、1970年代ってこういう時代だったよなあ感が思い出される、妙に懐かしさ溢れる短編集ではありました。今これを読む人はどういう感想を持つのだろうね。

(★★★)

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
キャプテン・シライ (2005-05-14 06:23)

あ、この本、欲しいです。何時頃店頭に出ますか?<br>って、此処で聞くことじゃありませんよね、失礼しました。<br><br>初出はこちらに<br>http://www.geocities.jp/k2uehara/henkyo/M_list.htm<br><br>労作です。

ROVER (2005-05-14 10:53)

次回の追加を、これらのハードカバー軍団にするか、模型関係がちょっとあるのでそっちにするかで思案中です。<br>ただ申し訳ないんですが、これ、高くなりますよ(^^;)


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ジュヴナイルとしてなかなか良質

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