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2005-05-24 [長年日記]

[Books] 幻想と怪奇 宇宙怪獣現る (23:51)

本書カバー 仁賀克雄 編
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
カバー写真 ©Brenda Chrystie/CORBIS/amana images
ハヤカワ文庫NV
ISBN4-15-041079-8 \740(税別)

温故知新のオーソドックス

1976年刊行のオリジナル・ホラー・アンソロジー「幻想と怪奇」全三巻の新装版のうちの一冊(第二巻)。ゼナ・ヘンダーソン「なんでも箱」他全11編を収録。

基本的にサブタイトルに惹かれたわけで。怪獣・化け物テーマのホラー、アンソロジーなのかと思って買ったわけだけど、テーマとして明確に「怪物」があったと言えるのかどうか、ちょと不明瞭。まあどの作品にも、その根底には怪物的な何かが潜んでいる、とは言える訳だ。デカいもの、不気味なものばかりじゃなく、ありふれて見えるものの裏に潜んでいるかも知れない、怪物的なものもあるのだよと言うことですな。

刊行時期が1976年ってところからしても判るとおり、収録されている作品は50年代の作品群が主流。ゆえにその全体的なトーンは実にオーソドックス、というところ。とんがった世界観やシビアな世界観から来る"怖さ"より、あくまで"日常"のありふれた営みの中に知らぬ間に入り込んでいた何か、みたいなものが醸し出す怖さ、を演出した作品が並んでいる。このオーソドックスさを好ましいと思うのは、あっしも歳食って先鋭的なものよりも安心して楽しめるものを求めるようにあっているって事なのか。ホラー小説を安心して読む、てのもなんか矛盾した話のような気はしないでもないですけど。以下、収録作品ごとに一言コメント。

こおろぎ(リチャード・マシスン)

ちっちゃいのがわらわらやってくるのはやっぱり怖いよなあ、な作品。怖さの動機をなすものが、どうしようもなく不条理なまま取り残されてるのがまた、古風なホラー風味があって結構。

なんでも箱(ゼナ・ヘンダーソン)

アジマニアなら先刻承知。もちろん原作はいきなり殴りかかったりはしないのでだいたいあんしん(何が)。

それ(シオドア・スタージョン)

B級モンスター・ホラー映画の原作に持ってこい、って感じ。そこはもちろんスタージョン、凡百のモンスターホラーでは終らせないのだけれど。

ルーシーがいるから(ロバート・ブロック)

妙に「こういう話、他でもあったよなあ」感に満ちあふれた品。こう、日本製コミックでこういうの読んだ憶えがあるような無いような。短く、鋭いがゆえにコミックのモチーフとしても有用ってことなんだろうな。

その名は悪魔(ヘンリー・カットナー)

怪物、と言う言葉から一番ほど遠いイメージを持つ存在、に見える無垢な子供たち。そんな子供たちが共有する秘密とは…。訳がやや固いのが惜しいなあ。それがなければ本書の白眉だったのに。

埃まみれのゼブラ(クリフォード・D・シマック)

SFだけに可能なスラプスティック。実にこの、古き良き50年代SF短編って感じ。

トランク詰めの女(レイ・ブラッドベリ)

「その名は悪魔」と好対をなす作品、なれどこれもちょっと訳が良くない感じ。少年の妄想が織りなす得体の知れない怖さ、みたいなものがうまくでていないかなあって感じがある。

裁きの庭(デイヴィッド・イーリイ)

いわく付きの名画をめぐるショートホラー。これはなかなか。きゅっと締まった良い短編だと思う。怪物度はやや低めだけどね。

ハリー(ローズマリー・ティンバリー)

ふむ、これもコミックとかテレビドラマで妙に見たような覚えのある作品ですな。他の人がモチーフとして使いたくなるくらい優れた作品である、と言う証明なのだろうけども。

かたつむり(パトリシア・ハイスミス)

「太陽がいっぱい」のハイスミスがこんな南洋怪獣ものを書いていたとは驚きだ。これもB級映画にしたら楽しそう。

宇宙怪獣現る(レイ・ラッセル)

トリを飾るのはシネマテーマの愉快怪獣もの。これは逆に、AIPなんかのB級モンスター・ホラーを幾つか知ってると楽しめそう。パルプ雑誌のスペース・オペラネタで大笑いのコミックを一本上げてくださった星野さんに、こいつもコミカライズして欲しいような気もするな。

てな感じで。楽しめたのは確かなんですが、一部の作品では少々読みにくい、と感じる作品もあったのは少々残念かも。SF系の作品を訳してるのが深町眞理子氏とか永井淳氏といったなじみのある訳者さんだったことがこっちには有利に働いた、ってだけのことなのか、それともホントに訳のレベルに結構差があったと言うことなのか、さてどっちなんでしょ。全体としては大満足、には一歩届かなかった感じ。

(★★☆)

[Day] 鍛えてないから、そうなるんだな(ヒビキさんの声で) (24:32)

脳を鍛える大人のDSトレーニング(Nintendo DS公式)。ううむ、おじさん初めてNDS買った方がええのやないやろか、と思ってしまった。いやもうオジサンのオジサン化って、オジサン本人にはものすごく切実な問題なのよね。

こいつ導入して、脳味噌鍛えた方が良いのかしらん……。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
ASA (2005-05-25 16:47)

幻想と怪奇、なつかしいです。本屋で見つけて2冊衝動買い。創元の怪奇小説傑作集とか、また読みたくなりました。<br>古典なので、あちこちでいろいろ使われてると思います。「ポオ収集家」に入ってるP.K.ディックのやつはJoJoの女教皇だし。<br>ハイスミスにはもういっこ、ちっさいカタツムリの話があって、イイ感じにイヤな話です(笑)<br>カタツムリ嫌いらしい。

ROVER (2005-05-25 23:03)

なるほどー、一番SF成分多そうなヤツを選んで買ってみたんですけど、別の本にディックが入ってるのか。そりゃ読んでみたいな、ってその前に未読の本がいっぱいだぁ(^^;)。


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