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ジョン・C・ライト 著/日暮雅通 訳
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
COVER PHOTO ゲッティイメージズ
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011638-5 \1000(税別)
自らが全身全霊を打ち込んで建造した巨大な宇宙船、<喜びのフェニックス号>のブリッジにようやくたどり着いたファエトン。だが今、その船の所有権は海王星人、ネオプトレマイオスにある。今、その当人をはじめとする海王星人たちが、<喜びのフェニックス号>を受け取るべく大挙して接近している。この事態を予測し、万全の対策を講じて待ちかまえるファエトンだが…
本来は一冊の長編を想定して書かれた長編、それを三つに分けて刊行されたのがこのシリーズ。本気で一冊にまとめていたら、レナルズも真っ青な分量になっただろうし、おそらく私は途中で投げ出してただろうな。凄まじいばかりのハードSF的アイデアやガジェットたち、複雑に錯綜するシノプシス、お話の展開をブツ切りにして挟み込まれる未来史観への考察等々…。巻を追うにつれて密度の濃さはがんがん高まり、それに連動してお話を読む楽しさはずるずるとスポイルされていくような三部作。力作であることは認めるが、オレには合わない本だ。
三作を通じて、徹頭徹尾面白くない、と言うわけではなく、時々かなり面白いな、と思わせる部分があるのが少々悩ましい。一巻目では「なあ、スペースオペラやろうぜ」的なメッセージ、二巻ではそれまでの全ての特権を剥奪されたファエトンが舐める辛酸の面白さ、そして三巻目では、「全てはエンジニアの視点から解決が可能なんだ」、という視点が語られるあたりに、相当な魅力を感じてしまったものなのだが、そこで発生したヒキが後ろに引っぱられない恨みがつきまとってしまうのだな。いみじくも本作中で、ファエトンの父、ヘリオスがこんなことを言う。
「息子よ、この一連の思考はどこへ向っているんだ? おまえは、アースマインドが道徳性は客観的なものだと思っていることを、証明するつもりなのか? そんなことは、もうわかっているはずだ。彼女は何度となくそう言っている。では、何を? おまえは権威からの論証をしようとしているんだ…(後略)」
自らの構築した未来史を"権威"とするなら、この三部作で著者が試みたものとは、その未来史への論理的な裏付けを必死で構築しようとした、その結果であったんではなかろうか。んでそれは、結果的にヌルい読者を、片っ端から置き去りにして突っ走っていっちゃった作品であった、と言えるかも知れない。
あたしもそろそろ、頭の回転がずいぶん鈍くなっているんで、みずみずしい感性を持った若い(いや、歳は関係ないか)方が読んだら、また違った感想を持つのかも知れない。んでもやっぱり、これはオレにはいろいろ敷居が高いわ。
★★☆
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