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ロバート・B・パーカー 著/加賀山卓朗 訳
カバーデザイン 戸倉巌(トサカデザイン)
ハヤカワ文庫HM
ISBN978-4-15-178654-9 \900(税別)
出だしはありふれた浮気調査のはずだった。依頼にやってきた男が醸し出す雰囲気のどこかに、何か感じるものを得たスペンサーは、普通であれば請けないようなありふれた調査に乗り出してみる。妻を愛している男にとっては気の毒なことに、浮気は事実だったのだが、単なる色恋沙汰とは別なところで、浮気相手の男にはなにか不可解なところがあった…。
スペンサーシリーズ、多分第35弾。妻の浮気の相手が実は思想的にやや偏った人物で、妻との接触も色恋沙汰以外の目的もあったのではないか、とスペンサーが疑いを持った時にはすでに手遅れで、殺人事件が発生してしまってさあ大変、と。
女を食い物にしてのし上がろうとする外道野郎に、かつてのスーザンとの一時的な危機的な状況を重ね合わせたスペンサーは、やらんでも良い捜査活動に踏み込んでいき、その捜査の流れに沿って、いつものようにスーザンとのセラピーだか禅問答だか分からん会話が挟まれつつ、いつものメンバーもぽろぽろと顔を出して、特に主人公が挫折するような描写もなく、とっても強いスペンサー軍団が下衆野郎を叩きのめしておしまい、というお話。
カバー裏の惹句とか読んでみると、それなりに巨悪に立ち向かうスペンサー達、みたいな図式が見えてくるけどそこはスペンサー、実はそんなに大きくも厳しくもない展開で、「まあスペンサーだわな」としか思えない出来、って事になっている。
本書では、かつてスペンサーとスーザンの間で発生した危機的状況が、今回の依頼者や倒すべき相手との関係性にオーバーラップし、そこでスペンサーとスーザンの間にも新たに語り合うテーマが生まれて、という流れがまあメインということになるんだけど、ここのところの説得力がまるでないってあたりが残念というか、それがスペンサーらしさだって言うか。
たぶん本書で打倒すべき相手、って存在の実在感とか悪いヤツ感ってあたりの表現がかなり下手なものだから、なんでこんなヤツのためにスペンサーはしゃかりきになっているんだろう、というかそもそもスペンサーはこれ、真剣なの? という流れのまま、お話が最後まで行ってしまうのが良くないんだろうな。元の文からそうなのか、訳でそうなってしまったのかはわからないけど。
ま、「いつものスペンサー」。本編がどうであれ、大部屋俳優さんたちのキャスティングで楽しめちゃう東宝特撮映画ファン的気質のある人なら、これもまあ楽しめるんじゃないでしょうかね(なんつー喩えだ)。
★★★
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