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アン・アギアレイ 著/幹遙子 訳
カバーイラスト 前嶋重機
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011808-2 \940(税別)
人類にFTL航行をもたらした超空間、グリムスペース。そこを航行するには、J遺伝子を持つジャンパーと呼ばれる人種が不可欠であり、ジャンパーたちは巨大な企業複合体の寡占状態にあった。そんなジャンパーたちの中でも飛び抜けた実績を誇っていたのがあたし、シランサ・ジャックス。だがその日、あたしとあたしが信頼し、心から愛するパイロットのカイが操縦する宇宙船は着陸に際して信じられないミスを犯し、80名を超える乗客、乗員はあたし以外は全員死亡、あたしも身柄を拘束されてしまい、治療と称する強制的な医療処置を受けている。そんなあたしの元に一人の訪問者が…
先輩女性SF作家たちが送り出したアイデア(マキャフリィの『船』シリーズやらビジョルドの『ヴォルコシガン』やら)を上手いこと咀嚼し直して、ちょっと気の効いたロマンティック冒険SFを作ってみました、って感じか。で、出来上がったものは妙に女「デュマレスト」っぽいものだった、てなところ。「デュマレスト」とは、ストーリーや語り口の感じも設定も全然共通点はないんだけど、まあ多少人より優れたところはあるけれど、際だったスキルも持たない一人の人間が、徒手空拳に近い状態でなんだかぼんやりした目的に向かって動き出すと、ヤケにスケールの違う敵が主人公をつけ狙ってきて、なんてあたりの雰囲気が似ているのかもしれない。あくまで雰囲気です。
デュマレストはそれでも基本、たった一人でさまざまな困難に立ち向かうんだけど、こちらは主人公の魅力というか個性に惹かれ、距離の差はあれども協力してくれる人々が集まってくれるってあたりにちょっと差があるか。ここらは女性作家が描く作品における主人公としてのヒロインが当然持ってるアドバンテージでしょ、なんか文句あるのッ! ってところだよな。文句はないです、基本はツンデレって事ですよね。
お話の展開は、だから良く言ってもハード気味な展開のハーレクインSFって事になる。SF的な要素としては超空間航法に不可欠なJ遺伝子に関連するアイデアが、時折思い出したようにちりばめられる程度で、何か目新しいものがあるというようなものでもない。あ、ジャンパーがその(J遺伝子がらみの)能力を発揮した時に、相方であるパイロットとの間にちょっと特殊な関係性が生まれる、ってところもアイデアと言えばアイデアか。まあこれも、言い方悪いけどハーレクイン方面をちゃんと成立させるためのアイデア、としてしか使われてないってところもあるにはあるけど。タイトルにもなってるグリムスペースが、ラブホのベッド程度の役割しか果たしてないってのはちょっと、どうかと思うよ(w。
そんな感じで、言うてもシンデレラ・ストーリーなので野暮は言わんけど、「闇の船」よりはマシだがやっぱりお話の構成というかバランス配分が上手くない。これは原書からそうなのか、訳でそうなった(登場人物の呼び方が統一されてなかったりするあたりで、微妙にリーダビリティが阻害されてる感じはあるんだよなあ)のかはわからんのだけども。ただ、終盤に登場した敵か味方かシナイダー(や、明らかに敵ですが)的キャラがなかなか良い味だったので、星半分オマケしときます。
★★★
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