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ジャック・キャンベル 著/月岡小穂 訳
カバーイラスト 寺田克也
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
1.反逆の騎士 ISBN978-4-15-011900-3 \1000 (税別)
2.星々を守る盾 ISBN978-4-15-011972-0 \1200 (税別)
百年に渡る長い戦いは、シンディックにとって必ずしも望んだ形とは言えない形で休戦を迎えた。"ブラック・ジャック"ギアリー率いるアライアンス艦隊によってほぼ完敗の形で戦いが終わったシンディック星系の各地で、これまであたりまえだったシンディックによる支配体制に異を唱える人々が現われ始める。複数のジャンプ・ポイントが集中し、宇宙航行における重要なハブとなっていたミッドウェイ星系でも、地上軍の指揮官だったドレイコンと、機動部隊の司令官であるイケニを中心に、シンディックの軛を断ち切り、独立した政治形態を作り上げようとしていた…。
「彷徨える艦隊」シリーズと同じ時間軸で語られる敵方、シンディックサイドのお話。本編サイドではディフォルメされた共産主義体制的な描き方をされていたシンディックだけど、もちろんどうしようもないヤツもいれば立派な人物もいるわけで、そんな、ちょっと思考停止状態にあった体制下にあってそれなりに開明的な思考を持つ二人の軍人、ドレイコンとイケニを主人公に、シンディック勢力下でも地勢的に重要な位置にあるミッドウェイ星系を、どうにかしてシンディック支配から逃れ、独立した星系として新たな政治体制を確立していこうとする姿が描かれる。
きわめて硬直した政治体制下で、ある意味思考停止した状態に慣れてしまった人々に、新しい、開けた考え方を授けていくことの難しさ、あたりがお話を通しての面白さの根底になっている、といえるか。もちろん思考停止というのはギアリーが登場する前のアライアンス側でもご同様だったのだけれど、まさにその、ギアリーさんがいないが故にシンディック側の状況の厄介さは根が深い。ここをドレイコンとイケニがどう克服していくか、が見せ場になる訳。で、更にここに、いかにも共産主義体制的な、どこに密告者や裏切り者がいるか判らない的な疑心暗鬼の要素がスパイスとして加味されて、お話にいい感じの先の見えなさも追加されていると思う。ジャック・キャンベル、やっぱ腕あるよね(w。
ドレイコン、イケニともにきわめて優秀かつ忠実な副官が付いていて、二人の苦闘を支えてはくれるんだけど、シンディックという体制が植え付けた疑心暗鬼もあって、完全には信頼できない上に、副官たちにもそれぞれなにやら事情や思惑、対立感情のようなものもある様子。ここらあたりがお話にいい具合に奥行きを作ってくれている。特にドレイコンの二人の副官、マーリン、モルガン両大佐の関係性がかなりおもしろく、かつちょっとびっくりさせられたりもする。
その上で本編の方でもあった、主人公に絡んでくる女性関係的なドロドロ感のようなものを、しっかり外伝の方でも継承しているあたり、キャンベルさん、こういうの好きなのかなーなどと邪推もしちゃったりして(^^;。本編でのギアリー、デシャーニ、リオーネのドロドロ・スタイルが、こちらではドレイコン、イケニ、(有能だが今のところ底知れない感もあるドレイコンの副官)モルガン大佐の三角関係にしっかり移植されてるあたりは結構楽しいな、と。
お話は2巻までで、とりあえずミッドウェイ星系の独立と最低限の防衛体制は整ったけれど、先のマーリン、モルガンの関係性など、獅子心中的な諸々はまだ未解決。この先、このあたりが少しずつ解きほぐされていくんでしょうが、これ、もしかしたら結構な大河ドラマとなり、最終的には本編と融合するような形になっていったりするのかもね。本編共々、続きが楽しみです。
★★★☆
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