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ジェイムズ・P・ホーガン 著/内田昌之 訳
カバーイラスト 加藤直之
カバーデザイン 矢島高光
創元SF文庫
ISBN978-4-488-66325-4 \840 (税別)
ISBN978-4-488-66326-1 \840 (税別)
木星から誕生した新星アテナの超接近の影響で壊滅した地球。今宇宙に残る人類は、かつての地球の経済本位の文明を嫌って、土星の衛星タイタン付近に本拠を定めたクロニア人と呼ばれる人々と、かろうじて地球脱出に成功したごくわずかの地球人たちだけだった。それから数年、いまだにその脅威を減ずることなく不安定な軌道を描くアテナと電気的擾乱に満ちた太陽系で、生存のための苦闘は続く。そんな中、壊滅した地球の再調査をめぐり、クロニア人と地球からの脱出組の間で微妙なしこりが生まれつつあった…。
「衝突する宇宙」論でぶいぶい言わしてくれた前作のノリは健在、というかさらに加速。太陽系の惑星たちは勝手気ままに軌道を変え、「こう考えればすべての辻褄が合うんだよ!」 「な、なんだってーーーー!?」の連続で、こりゃ確かにamazonのレビューじゃ評判悪く、そもそも本書の解説(堺三保氏)がほとんど解説の体をなしてないあたりも、みんないろいろ困っちゃったんだろうなあ、などと要らぬお世話を焼いてしまったり。
お話は、前作「揺籃の星」がホーガン的「悪魔のハンマー」の上巻部分だったとしたら、今回は下巻のパートにあたるところを、実にホーガンらしく描いていく。で、SF的な構想の大きさって点ではホーガンとニーヴンには(まあ土俵が違うんだけど)それほど差はつかないと思うんだけども、ストーリーテリングのシビアさってところではかなりパーネルさんに分がある感じで、言ってしまえばこのお話は、張った伏線の回収や最終的なクライマックスシーンに至る流れ、クライマックスでの見せ場の描写など、いろんなところがヌルいと言う感じ。ついでに言うならある意味ホーガンが理想としているはずの世界観に、自分で「あ、でもやっぱこれちょっとヤバいかも」と思い至りながら、そこにはきっちりした解を思いつけないままお話の幕を引いちゃった感じもあって、そこももうちょっと、どうにかならないかな? とは思った。
でも好きなんだけどね(^^;)。
ホーガンって人は基本的に、人間も科学もとっても素敵で良いものだ! ってポリシーを無邪気なくらい信奉している人で、それ故に甘いだろそれはとか、どうにも食い足りないところも多々ある訳なんだけど、それでもついニヤニヤしながら読んじゃう私はどこに出しても恥ずかしくないホーガン贔屓。科学が発達しすぎるといろいろ困ったことが起きるけれど、それでもそれを解決してくれるのは、やっぱり科学なんだ、って思想がとても好きなので、それを臆面もなく書いてくれるこういう人はある意味貴重なんじゃないかと思ってしまう。こいつもSF業界ではもはや定番化しようとしてる、全三部作を銘打っているんだけど、肝心の三作目はまだ執筆もされてないってことなので、またしばらく待たされることになるようだが、まあなんだ、肩すかしと紙一重の楽天的大団円を期待してのんびりとお待ちしますですよ。
★★★☆
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