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エリザベス・ベア 著/月岡小穂 訳
カバーイラスト 前嶋重機
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF ISBN978-4-15-011663-7 \860(税別)
統合中国による小惑星落下によるトロント壊滅の悲劇を過去のものと割り切ることも出来ぬまま、ジェニーたちの苦闘は続いていた。突如現れた、物言わぬ2隻の異星人の宇宙船、一度は恒星船を失うことになってしまった統合中国からの策謀、そしてカナダ国内にもジェニーたちとは敵対する勢力が暗躍する。激変する地球環境に何とか歯止めをかけようとする全人格AI<リチャード>の計画は成功するのか、トロント壊滅の悲劇の裁きは、誰が責めを負うことで決着するのか。さまざまな思惑と出来事が錯綜する……。
基本的には前作の感想で軽く予想したとおりの展開で、クライム・アクション的展開だった第1作、宇宙SF風味に、近未来の社会情勢への考察をブレンドしたポリティカル環境SF風味(なんだそりゃ)がまぶされていた第2作ときて、3部作のとりあえずの完結編となる本作では、ファースト・コンタクトSFのテイストと、前巻からのポリティカル・サスペンス、それからさらに電脳SFの風味なんかもちょっと強調されていて盛りだくさん。盛りだくさんなのは良いんだけど、その盛りだくさんぷりが逆に、どこにもフォーカスがあってない、少々散漫な読み味の作品を作ってしまったような気がしないでもない。
このシリーズの1作目は、特に目新しい部分はないんだけれども、ハイテク戦争で傷を負った、世間的には英雄扱いされてもおかしくない戦士の内面的な葛藤や、あまり良い具合には進化していない近未来の昏い部分でうごめくキャラクタたちの動きがそれなりに印象的に描かれていてかなり魅力的だったと思う。続く2作目では、宇宙SF的なテイストと近未来の国際情勢に少し考察を加えた描写が追加され、いろんなところが平均的に少々書かれ足りていないな、とは思うもののまあ、続きをちょっと気にするぐらいの牽引力はあったと思うんだが、完結編になる本作では、いろんな事に決着をつけた上でそれなりの見せ場を用意しようと欲張ったあげく、見せ場たちのそれぞれが惜しいところでそれなりのレベルにも達していない作品になっちゃった、ような気はする。
基本的に、SFとして目を剥くようなアイデアやヴィジョンを用意してくれている作品ではないので、お話のきめの細かさでそこをカバーしなくちゃいけないタイプの作品ではないかと思うんだけど、そこの所に全然神経が行き届いてない本、というか。第1作がそれなりに面白かっただけに、巻を追うごとに面白くなくなっちゃった感じのシリーズ。いろいろともったいない感じは残りますな。
★★☆
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私は第1作を買ってなかったので、3作目が出てからまとめて購入しまして、一気に読みました。<br><br>3冊シリーズと思って時間を置いて読んだらたぶん面白くなくなっちゃう感じというのは判りますね。<br><br>まとめて1作って思うと、どんどん枝葉末節を捨ててく感じで却ってそこが気持ち良かったっす(^^;。
ああ、確かに通して読んだらまた印象は変わるかもしれないですね。んじゃ「ハイドゥナン」は4冊出揃ってから読んでみまっさ。<br>とりあえずジェニーちゃん(^^;)は、最後にどうなったらおめでとう、なのかがさっぱり見えない(環境問題なのか、中国対カナダの覇権争いなのか、全人格AIと世界電脳の行く末なのか)のが問題だよなあ、とは思いました。
あー、私は1冊目の時点で「話を追う」のをやめちゃってたかもしれませんね。ジェニーちゃんは狂言廻し扱い(^^; 個人的には「通訳欲しかっただけだったんかい!」ってのがツボにハマって後は全部許しちゃいました。<br><br>「ハイドゥナン」…、、どうも読もうと云う気が起こらないんですわ。近頃のハヤカワJA、神林も含めて、買ってもまるで読んでなかったりします。なんだろなぁ。