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お昼前に家を出たら、結構良い感じの青空に、びみょーんと伸びて行く飛行機雲。こういう風景を目にしてしまうとつい、「突っ込んできます! 途方もない巨大な!!」とかつぶやいて、その後勝手に照れてしまう自分がかわいいというか、バカだなあと言うか。
ここんとこずーっと引きこもりだったので、久しぶりに街に出かけて、あちこち覗いたり、ちょこまかと買物したりして機嫌良く帰って参りましたです。
ロバート・B・パーカー 著/加賀山卓朗 訳
カバーデザイン 戸倉巌(トサカデザイン)
ハヤカワ文庫HM 110-50
ISBN978-4-15-075700-7 \840(税別)
ボストン郊外のハイスクールで起きた銃乱射事件。二人組の犯人は教師と生徒7人を殺害、8人を負傷させ、人質を取って校内に立てこもった。警察の説得により犯人のうち一人は投降、もうひとりは事件の最中に姿をくらましていた。投降した犯人で、そのハイスクールの生徒である少年の証言から、もうひとりの犯人も同じハイスクールの生徒、ジェレドであることが告げられ、拘束された当のジェレドもまた、自らの犯行を認めている。だが、彼の無実を固く信じる人物が一人だけいた。ジェレドの祖母、リリー。彼女はスペンサーの許を訪れ、孫の潔白の証明を依頼するのだが…
物騒なタイトルだが、若い娘ッ娘の腹をかっ捌いたりするようなお話ではないので一安心。スペンサー・シリーズ第33弾、今回はストーリーのキモになるのがティーンエイジャーってことで、このあたりの少年少女がストーリーに絡んでくる話というと、「ダブル・デュースの対決」なんてのがあったけど、あちらはスラムの少年少女たち、今回は中流より上の層が集う、そこそこ良いとこの坊ちゃん嬢ちゃんがメインってことで、話の雰囲気はかなり違う。場所が基本的にWASPのためのそれなのでホークが全く顔を出さず、スーザンは何やら学会の関係でボストンを離れている関係で、いつものグルメ談義やら何やらが相当控えめになっているあたりも、ちょっとした雰囲気の違いの演出に一役買っている感じか。ま、ホークが出てこない分スペンサーのガードが甘くなってピンチが増える、なんて事はなく、ホークが出てくる必要がない以上、今回のスペンサーのお相手は全体として小物っぽい。
そこらの薄味部分をカバーしようと言うんでもないんだろうけど、本書ではいつものスペンサー・ファミリーの常連さんたちとはちょっぴり毛色の違う、月イチゲスト的なキャラに多作品とのクロスオーバーなんかをかましてきて、そこで読者をニヤリとさせよう、みたいなサービス精神がちょいと見え隠れ。先に挙げた「ダブル・デュースの対決」でちょっと大きい役をもらってた不良が、ここではひとかどの悪党に成長してたり、パーカーの別のシリーズの主人公が、ニュアンスのみにせよ語られたり、ね。
お話の流れ自体は正直相当ヌルく、メリとハリの落差もそんなに感じられないお話で、これが若手作家の初期作品だったら「出直しといで」ってことになるんだけど、そこはそれ、それなりに続いているシリーズ物の特典として、足りないところは読んでるこちらがそれなりに補完して、無理やり楽しみどころを見つけていけるおいしさは確かにあるよな。あと、本作に限って言うならお話の舞台となるハイスクールの学生たちの描写が、現在ただいまの我が国の同年代の少年少女の生態とかなり近い物を感じてしまって、やっぱ「最近の若い者は…」って感慨は古今東西、どこでもそこそこ共通するんだなあ、なんて思っちゃった。
本書は「スペンサー」のアフター菊池光第一弾。読後感としては「生真面目」ってところだろうか。テイブルもオヴンも出てこないが、パーカーの会話主体でそぎ落としたような文体はそれなりに継承されているんじゃないだろうか。ちゃんと「アン・ハ」は継承されてるあたりはちょっと嬉しかったですよ。
★★★
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