ばむばんか惰隠洞

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2010-05-24 [長年日記]

[Day] 南大阪ドサ周りツアー

今日は堺行き。なんでこんな雨風強い日に出かけなければいけないのか。こっちにはさほど影響はなかったけど、鈴蘭台-谷上間で土砂崩れが起きて、午前中は神鉄、三田方面が運休だったようで。夕刊見たら、あっしもお世話になった自動車学校の教習車が、ごろんと線路まで落っこちちゃったみたいだね。相変わらずあのあたり、雨に弱いですな。

それはともかく、駅、または駅の売店あたりで傘のお預かりサービスってやったらそこそこ良い儲けになったりしないものだろうか、と思った。家から駅までは傘が必要でも、そこから電車に乗って街に出てしまうと、傘って単なる邪魔物になってしまうんだよな。だったら街に出る前に傘をどこかに預けてしまえば、身軽に動けて良いし、うっかり傘を忘れてしまう事もないと思うんだけど。

オレ、いっつも移動中にどこかで傘を置き忘れちゃうんだよなあ。

[Books] アードマン連結体

9784150117559 ナンシー・クレス 著/田中一江・他 訳
カバーイラスト Stephan Martiniere
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011755-9 \940(税別)

「ベガーズ・イン・スペイン」に続く日本版オリジナル短編集。表題作他7編収録

「プロバビリティ…」シリーズ(ムーンサンスペース)がこちらとしては今ひとつな読後感だったのにくらべて、思いのほかオーソドックスな作りで好印象だった前集に続くオリジナル短編集の第二弾。今回も粒ぞろいでなかなか結構。それではタイトルごとに簡単な感想を。

ナノテクが町にやってきた(田中一江 訳)

夢のハイテクが導入された事で小さな町に起こる波紋。未来技術とモラルのせめぎ合い、と言ったあたりがテーマか。こういう話、他にもあったような気がするんだが思い出せない。雰囲気だけならシマックの「都市」で、まだ町に人間がいるころの時代のお話が持ってた雰囲気に通じるものがあるような、ないような。

オレンジの値段(中原尚哉 訳)

クローゼットの衣類をかき分けて進むとそこは1937年。極めて限定されたタイムトラベルを背景に語られる、現代社会のひずみに一石を投じようかどうしようか、みたいなお話。こちらも根っこの所に、モラルにまつわるお話が絡んでいる。「最近の若い者は」テーマ、とも言えるかな。

アードマン連結体(田中一江 訳)

高齢の理論物理学者、アードマン氏を悩ます突然のショック症状。それは彼一人に起こっている事では無く、同じ街で暮らす80歳以上の人々の多くに共通して発症している事柄だった…。人生の終盤に差しかかった老人たちの思念に一種のファースト・コンタクトテーマが被さる、ちょっと変わった作りの「種」を描くSF。終盤相当壮絶な事が起きてるはずなんだが、読み味はかなり静謐な感じ。これはこの短編集全体に共通して漂う雰囲気と言える。

初飛行(中原尚哉 訳)

この短編集的にはちょっと珍しい、スペースオペラ風味の掌品。ま、ネタは正直途中で比較的あっさり割れちゃうんだけど、ショート・ショート的オチの効かせ方が良い感じ。

進化(佐田千織 訳)

アフター・ホロコースト……いや、ビーイング・ホロコーストとでもいうのかな。「ナノテクが町にやってきた」が先進技術が比較的小規模なコミュニティに波紋を投げかける話だったとしたら、こちらでナノテクの役どころを演じるのはバイオハザード。「ナノテク…」が少々狂騒的な雰囲気をたたえているのに対して、こちらは少々終末への不安感から来る、昏い雰囲気の方がやや強調されている感じ。

齢の泉(小野田和子 訳)

功成り名も財も充分すぎるほど築き上げた一人の老人。今はただ静かに人生を終えるだけだ、と思っていた彼にふたたび灯をつける事になったとある事件とは…。突然がんばるジジイのお話のバックで、不老不死に関するSF的なアプローチが試みられるような作品。長めなお話だが良い感じにコミカルで楽しめる。

マリゴールド・アウトレット(嶋田洋一 訳)

ある意味非SF作品、とも言えるか。無理やりこじつけるならインナーワールドSFってことになるのだろう。自己本位に過ぎる両親によって結果的に虐待といえる仕打ちを受け続ける事になる子供の救済までの物語。短い物語ながら、というかむしろその短さが、ラストの哀しさを強調する。

わが母は踊る(小野田和子 訳)

本格SF仕立てであるが故に、むしろこの作品集では異質に思える作品だったりする。クレメントやフォワードが書けばハードSFになっていたであろうテーマなんだが、それがクレスの手にかかると少しニュアンスの違う作品が出来上がるんだった。

てな感じで。全体的にエッジなところで華麗に踊ると言うよりは、オーソドックスなSFのスタイルを一番下のレイヤーに敷いて描かれる、クレスが見ている今とこれからの人類の行く先、みたいなところにフォーカスを合わせた作品が並んだ様な短編集と言えるだろうか。基本的に女性、老人、子供たち、それも社会的にあまり恵まれていない環境に生きる事を強いられている彼/彼女たちが、いかにして世界と折り合いをつけ、自分が置かれた環境を乗り越えていくか、という所に主眼が置かれているように感じられた。どちらかと言えば弱い立場にいる彼らの物語は、それ故に静かで、もの悲しい読後感を読み手に与えてくれる。しみじみとした読み味の本をお求めならおすすめです、これ。

割とどうでもいいかも知れないけれど、この作品集に登場する善男善女たち、みな最初の出会いは絶対に成就しないのだな。ここら辺にもクレスのポリシーみたいなものが加味されてたりするんだろうか…。

★★★★


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