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山本弘 著
カバーイラスト 開田裕二
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDRER WORKZ。
創元SF文庫
ISBN978-4-488-73701-6 \860(税別)
太古のパラダイム・シフトは地球に怪獣たちという異形の存在を具現化させた。怪獣たちが巨大な自然災害と同等に扱われる世界。中でも世界の怪獣災害の5%強が集中する日本は怪獣大国と呼ばれていた。その日本で怪獣災害の最前線に立つ組織、気象庁特異生物対策部、通称気特対。彼らは怪獣たちの出現情報に接すると直ちに現場に急行、怪獣の種や生態の分析を担当して有効な対策を担当部署に進言する。限られた予算に無理解なメディアや大衆の批判といった逆風の中、日々奮闘する彼らだったが…。
"MM"とは"モンスター・マグニチュード"。頻発する怪獣災害に対して、出現した怪獣たちのサイズや行動特性に応じて、それらが人間たちの社会の中に入り込んだときに予想される災害規模の指標となる等級。怪獣たちが居ることが当然の社会であれば、それは一つの自然災害として分類され、事前、事後の対策などもきっちりと法制化され、対応機関などもしっかりと組織されているだろう、という部分をしっかり描き込み、その上で「それは無いだろう」的様々な要素に一つずつ、「いやそれにはこういう理由があって」という解釈を被せていって、ウソと真実をごちゃ混ぜにしてお話は盛り上がっていく。
序盤はいかにも山本弘的な、アイデアの面白さとそのアイデアを成立させるための論理の、軽めのアクロバットをたたみ掛けながら、最終話に向けての伏線なども張り、最後の最後でかなりの大ネタが炸裂する。正直序盤は「ああ、いつもの」的ノリで読み進んでいったのだが、怪獣が普通にいる世界についての、ラストのネタ開陳でかなりニヤリとさせられた。ネタバレになっちゃうかな、アリス・ドライブの正体を知ったときのびっくりニヤニヤ感にかなり近い物がある、みたいな。
そんなSF的大ネタをかましつつ、いつもの山本弘的、特定世代的についニヤニヤしてしまう小ネタなども油断無く仕込まれていて楽しめる。まあ自分的にはしばしばニヤニヤではなく舌打ちが先に来るようなネタなんかも挟まってることがあるんだけど、本書に関しては幸いなことに舌打ちは……あ、やっちゃったか、最後に(w。
著者がそう思って書いたのかどうかは知らないが、いわゆるトンデモ本たちに対して、と学会の会長でもある山本弘氏が「トンデモ扱いされたくなかったら、これぐらいやってみたらどうだい?」的な挑発をしかけているのかな? とも思った。トンデモがトンデモなのは、最初の段階でそこはヘンだろう、という話題があったときに、一方的な思い込みから最初の検討を簡単にスルーしてしまい、話がどんどんおかしな方向に暴走して行ってしまうのを、誰もおかしいと思えなくなってしまっているからだと思うんだが、本書では基本トンデモにも程があるネタを、それがトンデモに思えないような理由付けを大量に持ち込んで、事の真偽はともかく、少なくともこの作品世界内ではお話には完全に筋が通っている。ここまでやったら誰もトンデモとは言わねえぜ、なメッセージも込められているのかな、なんて。
ああでもトンデモ本って、書いてる本人にはトンデモ書いてるなんて自覚は無いんだよなー(w。
そこはどうでもいい話だから措いといて、ちりばめられた小ネタの数々(だいたい判ったつもりなんだけど、ビルの上で暴れる巨大カマキリってなんだったっけなー、絵は何となく浮かんでるんだけど…)と、ラストに控えし大ボラでニヤニヤできる楽しい本。相変わらず幼女をハダカにひんむいていろいろやらかす、著者の外道っぷりも健在でございます(w。
★★★★
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