ばむばんか惰隠洞

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2010-07-12 [長年日記]

[Chinema] 宇宙ショーへようこそ

画像の説明 スタッフ
監督:舛成孝二
脚本:倉田英之
音楽:池頼広
撮影:尾崎隆晴
編集:後藤正浩
出演
黒沢ともよ
生月歩花・鵜澤正太郎・松元環季・吉永拓斗
藤原啓治・中尾隆聖・五十嵐麗
公式サイト:http://www.uchushow.net/index.html

山あいの寒村に暮らす子供たちの夏休みの定例行事。それは子供たちだけの一週間の合宿。今年も夏紀、周、清、倫子、康二の5人は休み中の小学校に集まって、一週間の合宿が始まった。だが、今年の合宿はいつもとちょっぴり違っていた。合宿最初の行事は、夏紀がついうっかり逃がしてしまった、学校で飼っていたウサギのぴょん吉の捜索。だがそこで見つけたのはミステリーサークルと、その近くで傷ついて横たわった犬、のような宇宙人だったのだ。ポチと名乗る宇宙人から、傷の手当てのお礼を申し出られた子供たちが選んだのは、生徒が減りすぎて修学旅行が中止されてしまった清にとっておきの修学旅行をしてもらうこと。それを受けたポチは、みんなを宇宙旅行へといざなうのだった…。

「R.O.D」などの舛成孝二監督の劇場用アニメーション新作。自分はOVA版の「R.O.D」ぐらいしか知らなかったので、スタイリッシュと妙に所帯じみた部分が良い感じに混ざり合った作品を作る人、ぐらいのイメージしか持ってなかった。んでもってそういう部分ももちろんあるんだけど、それ以上にこの作品を通して見て感じられるのは「ド直球」。で、その直球勝負を成立させるために持ち込まれるディティルへの並々ならぬ執着心に感心させられつつ時にちょっぴり辟易もする(苦笑)。

お話そのものは極めてシンプル。子供たち(だけ)、夏休み、不思議な出会い、と来たらもう自分の中でのジュヴナイルの必要条件の大部分を満たしてくれているわけだけど、その不思議な出会いから始まる不思議な物語を成立させるための前準備の念入りさにまずは驚かされる。5人の子供たちがこれから始まる冒険を前に、それぞれそこまでにどんな事を見聞きして、どんな思いを持っているのかを実に丁寧に描き込むところからお話が始まるわけで、その丁寧さに好感を持ちつつも、同時にそこはやや冗長にすぎ、かつ(最後まで見ると)描き足りなかったところがあったんじゃないのかな、と思えるところがあってそこが少々残念だったかな。

136分というちょいと長い尺の作品(公開館が少なめなのは、もしかしてこの尺の問題だったのかしら)で、かつ、決して無駄なところがあったとは思わない反面、でもどうにかしたらもう少し切れたんじゃないかと思えるところもあったりして、そのあたりがちょっと歯がゆいのだった。そこは切って、代わりにあれやこれについてちょっと言及してくれたら、と思える部分があちこちにあってね。

と、先にダウナーな事を書いてしまったのでここからは全力で褒める(もちろん基本気に入っているんだよ。子供たち、夏休みと来たらオジサンが反応しないわけがないじゃないか)。先に長いと書いたけれど、それでもお話の造りはすばらしくしっかりしている。ホントは当たり前のことなんだけど、ばらまいたネタをちょいちょい撒きっぱなしのままで終わらせる映画の多い昨今、張ったネタには全て説明をつける、という姿勢はすばらしい。前述した、そこをもうちょっと言及してくれたら、って恨みもなくはないけど総じてすばらしい。

絵とお芝居もすてき。子供たちを演じるのが子役さんって事でかなり心配だったのだけれどそこも杞憂。ナチュラルなところと訓練されたところが良い感じにミックスされ、大変結構(スチームボーイとか、ホントひどかったんだぜ)。

何より自分がジュヴナイルにこうであって欲しい、と思っている条件のかなりの部分をしっかり満たしてくれているあたりでかなりポイントが高い作品になっていると思った。そこまでは行けないかな? と思っていたコイバナのパートまで実は抜かりがなく、しかもそのパートがかなりおいしく出来てるあたりもポイント高い。康二君のエピソードはステキすぎます。

自分としてはもう少し切るべきだったと思える作品だけど、それでもここまで見せてもらったら文句はない、と言うかいろいろあるんだけどそこは下げても良い。若干我慢しなくちゃいけないパートがあるので正直「全員見ろ!」とは言いづらいけれど、うーんそうだな、細田守作品が好きな人、「ちゃんとしたジブリアニメ」のようなものを見たい人にはかなり強めにお奨めできる作品なのじゃないだろうか。オレはとても好きです。これを好いてくれる人がたくさんいてくれることを望みます。夏休みの課題映画、大きい子供たち向けって感じでね。

(★★★★)

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
TUX (2010-07-13 02:50)

●やぁ、乱土さんならこんな風に喜んでくれるだろうなあと思ったまさにその通りに喜んで頂いて、お誘いした甲斐がありました(笑)<br><br>●いやもう誰が何と言っても康二くんですよ、康二くん!(笑)<br><br>>正直「全員見ろ!」とは言いづらいけれど…<br><br>●いや、ココに来られる方は「全員見ろ!」でよろしんじゃないでしょうか(笑)

rover (2010-07-13 23:22)

話題ばかりが先行した腰砕け作品かなあ、なんて先入観を持ってたのでTUXさんが褒めてなかったら行く気起きてなかったでしょうね。お誘いありがとうございました、ホントに。


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