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小川一水 著
カバーイラスト 富安健一郎
カバーデザイン 岩郷重力 + Y.S
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031003-5 \880(税別)
人類にとって大きな神秘のひとつであった木星の大赤斑の中に小さな異物の存在が確認されたのは22世紀半ばのことだった。23世紀に入り本格的な調査隊が「ドロテア・ワット」と名付けられたそれに向かう。少なからぬ犠牲を払って知り得た情報は、それが未知の異星生物の遺跡であること、7つの単位系統を持った文明に対応した「何か」であるらしいと言うことだった。おりしも太陽系内に拡がりつつある戦乱の嵐を背景に、何度目かの調査隊は「ドロテア・ワット」の深奥へと向かうのだが…。
お話の本筋はそこからさらに数十年後。人類はいくつかの勢力に分かれ、いくつかの緊張と調和の入り交じった状況下にあり、そんな中に数十年前の「ドロテア・ワット」の異物の存在がふたたびクローズアップされて…ってなお話。異世界冒険SFだった第一作、現代を舞台にしたパンデミック・パニックだった第二作と来て続く第三目はハードよりのスペース・オペラ。そのビジュアルイメージは極めて今風なアニメのそれ。判りやすいイメージの中でくり広げられるのは第一作、第二作の唐突感を埋め、いきなり放り投げられた前作までのいくつかのガジェットやらキャラクタやらの、その出自のとっかかりみたいなものに軽く触れつつ、本筋はあくまでエンタティンメントSFとしての爽快感を失わない。全十作を予定しているシリーズのとっかかりのツカミの巧さはかなりのもので、こうなると続きも出たら読まずにはいられないよな、と思わずにはいられない造りになっていて大変結構。
第一作、「メニー・メニー・シープ」でいきなり出てきたいろいろなワードの根っこの部分が明らかになるという意味でもとても重要なエピソード。ここに第二作の最重要ワードでもある「救世群」に関するネタもちりばめられてて油断できない。大事なネタを少しずつ明らかにしつつ本筋を拡げていく、そこらあたりの手綱の捌き具合の巧さはかなりのもの。その上で(ミリタリ風味の)スペオペとしてもちゃんと成立しているってあたりは大したものだ。
随所で感じる「今風な」アニメのビジュアルイメージがちょいちょい挟まってくるあたりもちょっと楽しく、さて次は何を持ってくるんだろうと言う興味も引っぱってくれる造りになっていて、こりゃまた楽しみなシリーズが始まったものですな、と改めて続きを楽しみに待たせていただきたいと思いますですよ。
★★★☆
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うーむ。良いのですね、「天冥の標」…。Iは読んで、IIは積ん読になっていて、IIIは買うかどうか迷っています。どうも、ソウヤーと同じく今まで肩透しばかりだったので。<br>良作が読みたいという欲求は近頃ゼロでして「とんでもないものを読みたい」欲求をかなえてくれる小説が読みたいのでした。「ハンターズラン」は男性視点のルグインっぽくて現在3回目再読中です。
実はIIが以外にヒキが強かったので、まずはそちらを読んでみていただいたらと。IとIIの乖離感に対する興味が次に続けば、IIIも楽しめるのではないかと思います。<br>III単体でもエンタティンメントとしてそこそこ良い感じなんですけどね。