ばむばんか惰隠洞

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2004-07-12 この日を編集

[Day] 脆い大黒柱

6月の頭に、国民健康保険の平成16年度分の保険料の通達があって、文字通りわたしゃぶっ飛びまして。月6万円払えと。 ろく、まん、いぇん? まままま待てい、毎月6万も払っとったらわしゃ死ぬがな。去年までは確か1万5千円に足りんような金額だったではないか。なんでいきなりそんなに取るねん。

まあ言うまでもなくこれは、仕事を辞めたカミさんが、新たに私の扶養家族になったからですな。なまじカミさんの稼ぎが良かったもんだから、こいつからは今年もこんぐらい取ったれー、ちゅうことになったわけで。でもカミさん、当分仕事する気ないもんねー。プーだもんねー。

というわけでこのままでは堪らんので区役所に電話。聞いてみるとカミさんの方が仕事を辞めたことの証明になるものと、あと、私の直近の3ヶ月分の給与明細もって区役所に出頭してくれれば、減免できるかどうか見てみましょう、と。たぶん出来るでしょう、と。

ということでヤマちゃん社長におねだりして(我が社に給与明細などと言う物はない。そもそもときどき給与自体のない月もある(つoT)給与明細でっち上げてもらって区役所に(むちゃくちゃ混んでた。やっぱこのままでは堪らん人たちが大勢いるのだな)。どうやら年間60万の国保プラス介護保険料、32万減免してもらえることになって一安心。すでに6月分の6万は持って行かれてるので、残りを9で割って、おおむね月2万3千円程度のお支払いと言うことに。これならまあなんとかなるかなあ、きっついけど。

ところで。

「正しく10等分して支払うことにして、前に収めた6万からも取りすぎの分を現金で返してもらえると、私とても気持ちの上で豊かになれるんですけど」と区役所のおじさんに聞いてみたんだけど、「それはできませんねー」と笑顔で一蹴されてしまった。ちぇっ。朝三暮四な話ではあるんだけど、お金が戻ってくると人間、とても嬉しい気分になれるのになあ。

[Day] 参院選の結果

朝日新聞的には「自民敗北」なんて見出しが踊っておりますが。社説から論説委員の解説から、こぞって「小泉の驕りに国民がノー」てな論調で嬉しそうに記事書いてますが。

自民党は一議席しか落としてないんだよなあ。相対的に見たら民主が伸びたので、伸び率的に自民の負け、ではあるんだけど、公明が善戦してる以上与党としては「死守」した結果だよね、これは。国民がこぞって自民党に「ノー」といった結果がこれだ、と思ってるのは朝日だけだと思うぞ。そもそも国民はとっくに小泉には愛想つかしてるべさ。小泉に「ノー」といいたい人ってのは、実は今回の選挙に棄権した人たちなのではないのかね。

まあ朝日新聞だからこう書くのはわかる(だてに長年読んでませんよ)けど、政党以上にマスコミも、国民が何考えてるのか、ちゃんと掴めてない気がするよねえ。

ちなみに次の大きい選挙があったときに、また民主が伸びるかと言えばたぶんそんなことはない(よほどの失策がない限り)と思えるわけで、日本人のバランス感覚、これはこれで立派なもんだといつも思うわけですが。

[Chinema] 重い青春群像…になるのかな?

硫黄島の戦いが映画に イーストウッド氏に監督打診(asahi.com)。「硫黄島の星条旗」………、あ、もしかしてこれが原作? だとすると結構重たい映画になりそうだなあ。監督がイーストウッドだと多少は枯れた感じになってくれるのかも知れないけど、ご時世を考えるとやっぱり、過酷な戦場で勝手に自由の戦士だって思いこんで任務を全うするアメリカの若者、の映画になっちゃいそうな気もしてちょっと心配。原作(ちなみに著者はあの有名な写真に写っている兵士の一人を父に持つ人)は決してそういう話じゃないんだけどなあ。

[TV] 月曜時代劇

いやーもう今日は、久美様お歳を召しても凛としてステキだわあ、と。以上。

[Comics] お買い物

衛藤ヒロユキ「がじぇっと」(2)。オジサンの期待を巧妙に裏切りつつ、それでもやっぱり面白うてしかも切ない、良質のジュヴナイルになっておるなあ。ステキだ。

ケイちゃんは「最後のイベント」よりも

これから先もケイタに会えるイベントを選んだんだ!

これでじわっと来てしまう私の涙腺調節機構にも問題なしとはしませんけどね、でもやっぱりいいわあ、上手いな衛藤。


2005-07-12 この日を編集

[web] ネアンデルタール・パララップス (19:23)

「医学都市伝説」で知ったネタ。もとはBBC NEWS。認知考古学的に研究していくと、ネアンデルタール人というのは音楽的センスに優れていて楽しいときにはみんな、歌って踊っていたに違いない、今彼らが生きていたら、きっとロックミュージックを気に入ってたに違いない、んだって。んまあネアンデルタールが良い連中だってのは、オレ達みんなとっくに知ってるけどね(w。

それにしても「認知考古学」って、「心理歴史学」とか「ネクシャリズム」とかに通じるものを感じちゃうな。SFっぽくてかっこいいなあ。

[Books] コカイン・ナイト (24:50)

4102271023 J・G・バラード 著/山田和子 訳
カバー装画 石橋優美子
新潮文庫
ISBN4-10-227102-3 \895(税別)

バラード三題噺の回答編

スペインの高級リゾート地帯コスタ・デル・ソルの一角、エストレージャ・デ・マル(海の星)。悠々自適の隠退生活を送る人々の高級住宅が並ぶこの一角で火災が発生する。一瞬にして隠遁生活を送る英国人家族5人を焼死に至らしめた惨事は放火であった。しかもその犯人は弟、フランクであるという。トラベルライターの私、チャールズは弟の無実を信じて陽光まぶしい太陽海岸に赴いたのだが……。

バラードといえばロートルSFファン的には吾妻さんもマンガにした例の、「浜辺、健忘症の男、銹びた自転車」の三題噺が、読むたびに毎回脳裏をよぎってしまうわけだけれど、この作品は「浜辺、取り憑かれた男、焼け跡の邸宅」の三題をベースに、バラードお得意の終末観と、さながら南米の魔術的リアリズム文学のテイストをほどよくかき混ぜた、ひとつ間違ったら「ブンガク」として徹夜で語れるんじゃないかこれ、と思えてしまうような作品に出来上がっている。序盤が少々退屈なのだけど、その退屈さがいつの間にか「読む」事の快感にじわじわと変わっていくのを満喫させていただける逸品。SFとしてはどうよ、というところはあるのだけれど、最初に引いたとおりバラードは件の退屈なシチュエーションを、「新しい種類の退屈なSF」の実例として挙げていたわけで、そういう意味じゃあこの本も根っ子にはSFがあるのだろうと思う。

どこがSFなのか、といえばそれは、「今に警鐘を鳴らす」というところでこれは正しくSFしているのだろうなあと思う。本作の刊行は1996年。この時点でバラードは、「全部あるけど何か足りない」っていう今の西欧社会で生きる人にとっての根源的な不安に、こんな解決策があるかも知れないけど、どうよこの解法は、と意地悪く問いかけてきているのだよね。ここが興味深いし、深いし、ある意味厳しい。SFとしてのワンダーを読者に提供するのじゃなく、SFがやらなくちゃいけない「今のこの状態が未来に対してどういう影響を与えるのか、ちゃんと考えた方が良いんじゃないの?」的なワーニングが本編にぎゅぎゅっと詰め込まれている感じはする。

「現在はもはやそうではない。政治は終った、チャールズ。政治はもう、大衆の想像力に触れることはない。宗教は、人類の進化史において登場するのが早すぎた—宗教が作り上げたシンボルを人々は文字どおりに受け止め、結果、今ではどれもトーテムポールの列と同様に死んでしまった。宗教はもっと遅くなってから登場するべきだったんだ。そう、人間という種族が終焉に近づきはじめた時あたりに。残念なことだが、今では、私たちの精神をかき立てるものは犯罪しかない。私たちは、犯罪という"別世界"—あらゆる事が可能な異世界に魅惑される」

てなあたりはいろんな意味で示唆に富む。これをしてバラードが9/11を透視していたとは思わないけど、でも、世の中が確実にそういう方向に向かっているのだ、という畏れを例の同時多発テロの5年前に既に彼は感じとして受け取っていたと思えるわけで、それは間違いなくSF作家の仕事であるよな、とは思いますわ。ワクワクするワンダーを見せてもらうのもうれしいけど、それと同じくらい重要なのは、未来を予想したらこんなヤバいことがあるかも知れないよ、ってのをエンタティンメントのなかに折り込むのもまたSF作家の仕事だと思うわけで、そういう意味でこの作品、バラードのSF作家らしさ、みたいなモノを存分に味あわせていただけた逸品と言えるかも。SF苦手、って人にも楽しめるお話になってるあたりがすごいよね。

(★★★☆)


2006-07-12 この日を編集

[Day] 怠惰に過ごしてます (10:45)

月曜日のお酒めちゃくちゃ忙しいってわけでもなかったんだけど、気がついたら結構さぼってた。月曜日はヤマちゃんと軽く戦略会議のあと、ちびっとたちきやで飲み。飲んだのは「志太泉」、「惣邑」(そうむら)、「黒龍 龍」。「志太泉」ってのは静岡のお酒なんだが、途中で「黒龍」の杜氏さんが入って味が大きく変わったんだそうな。ええ、すっきり系でおいしゅうございます。で、本家「黒龍」もいただいたりして。

画像の説明火曜日はどよーんと平成亀映画とか見ながら古本屋的単純作業。こないだの大量入荷分のデータ化ですね。こんなん出てきましたよ、アニメ専門誌になる前の「OUT」、というか「アニメはいける」と編集スタッフが思うきっかけになった号、ちうべきか。「月刊OUT」、第1巻第2号。ちなみにOUT SITEというサイトで、「OUT」編集長の変遷とそれに伴う雑誌の編集方針の移り変わりが要領よくまとめられてる。なかなか興味深いので興味のある方は読んでみるとよろしいでしょう。

さて今回はそんなOUTの1977年〜1981年あたりをお店出し。ちらっとチェックしただけなんだけど、1990年あたりまでの分はほぼ揃ってる感じだ。恐ろしいことに「アニメック」と「ファンロード」と「アニメージュ」もこの期間分、揃ってそうなんだよなあ。データ化してるうちに秋になりそうだわ。

そもそも置き場所にも困ってるこの状況下で、古本の神様はさらに悪さを仕掛けてきてるんですけどね(つoT)。

[web] 続きプリーズ!! (17:18)

痴漢男第四十工房落書き置き場)。双葉社が勝手に本にしたとかで話題になったヤツだっけか。こっちはマンガ版。たいへん上手で、続きが気になっちゃいますわ。今だいたい折り返し点あたり?

「嘘を方便にできない奴は嘘はつくな」って、良い言葉だなあ(w。情報収集元は茄神さんとこでした。

[web] Opera 9.01 (21:20)

9.01インストール画面なあんてモノが先月末に出ておった。My Opera Forumsから持ってこれます。"New weekly"ってことで、まあNightly Buildみたいなモンなんでしょうな。Buildは8509。とりあえず大きく変わったところはなさそう、と言うか設定メニューが微妙にあっちこっち移動する悪いクセはもうちょっと何とかならんか。Adobeのアプリじゃあるまいし。

ま、それはともかくインストーラー起動直後の画面でちょっと笑った。何が嬉しくて拳突き上げてるんだ? ホリエモン逮捕? んなわきゃないよな(w。

[News] 訃報 (21:37)

シド・バレット。名前を聞いてオレは「ああ、あのラリってファンの女の子を刺し殺した」と思い、カミさんは「ああ、ドアーズの」と。夫婦そろってもうダメだな。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

すみ [>「ああ、ドアーズの」 ワロタです。]

rover [そしてジム・モリスンの名前を思い出すまで小一時間(w。]


2007-07-12 この日を編集

[PC] 今ごろATOK2007インプレッション (19:24)

大きなお世話あまり気にせず使ってる、と言うことは何かが劇的に変わったわけでもない、ということで、それはそれで結構な話。なんでも最近のIMEは、変換モジュールの性能を高める方はあきらめて、辞書の内容をガツガツ充実させていくことで便利さを演出していく方向性なんだとか。最近じゃこの通り、地名が換わったり市町村が合併したりすると、それを教えてくれたりするようになってるのね。ありがたいんだか大きなお世話なんだか、正直微妙なところだけど。

さてそんなわけで、別に大きく変わったところがあるわけでもないATOK2007なんだけど、それでも毎日使ってると、微妙に、ごくかすかに、使い勝手が良くなったかな、と思わなくもないところがなくもない(全く微妙だ)。今日になって気がついたのだけど、和文、英文の自動切り替えが少しだけインテリジェントになったように思う。

私はShift押しながらキー入力すると、その文字は半角英数での入力になるように設定してる。Atok、と打ちたければ最初のAの時だけShift+Aで入力すれば、続く文字列は半角英数モードで入力できる。もっとも、さらに続けて全角かなを打ちたいときには、一度半角英数の文字列を確定しなくちゃいけないのだけど。

で、ATOK2006では無理だったと思うんだけど、ATOK2007ではShiftキーを押したままの入力が続いたあとにShiftを離して文字列入力を続けると、それは日本語入力に切り替わった、と自動的に認識するようになったみたい。

わかりにくいですね(^^;)

つまり、「Atokなら」と打ちたいときには、Shift+A、 t,o,k で一旦確定して、「なら」と入力する必要があるんだけど、「ATOKなら」と打つ時には、Shift+ATOK、Shift離してNARA、で普通に「ATOKなら」と入力できちゃう。細かいとこですが、案外便利。拍手拍手。

って、そんなもん2006の時からそうなっておったわ、というオチだったらしょぼーんですが。


2009-07-12 この日を編集

[Comics] お買い物 (22:29)

PLUTO(浦沢直樹×手塚治虫/著 長崎尚志プロデュース/著 手塚眞/監修 手塚プロダクション/監修)鉄腕バーディー EVOLUTION(ゆうきまさみ/著)機動戦士ガンダムthe origin 19 (ソロモン編 前)(安彦良和/著)出遅れ感満点な感じですが、安彦良和「機動戦士ガンダム The ORIGIN」(19)、ゆうきまさみ「鉄腕バーディー EVOLUTION」(2)、浦沢直樹「PLUTO」(8/完結)。

「ガンダム」はソロモン攻略戦編。前巻でゲルググにしてやられたガンダムにマグネットコーティングが施され、運動性が5上がる話(ちょっと違)。ドズルの一家やモスク・ハン博士といった脇キャラの描き込みが丁寧にされてて好印象。アムロとフラウの間にちょっとずつ距離が出来てくるあたりの描写も良いね。あああと、ザクレロがたくさん出てくるあたりもなんだか妙に嬉しかった。

「バーディー」は、テレビ版からフィードバックがあったってことでもないんだろうけど、中杉さんがちょっとキャラを変えて登場。コミック版では幸せになって欲しいですな。

んでもって「PLUTO」最終巻。出だしがでたらめに面白かった分、中盤以降の失速感がやや残念で、その失速感は最後までリカバーされることは無かった感じもあるけれど、原作への敬意を込めた(のだと思いたい)ラストシーン(最後の最後のちょっと前、と言った方が正確だけど)はそれなりに感慨深いものがある。佳品、と言える作品だったのではないでしょうか。

[TV] 定期視聴番組 (22:53)

「化物語」、「亡念のザムド」、「NEEDLESS」、「戦場のヴァルキュリア」、「仮面ライダーディケイド」、「フレッシュプリキュア!」、「鋼の錬金術師」。外道ディエンド、カッコいいじゃないか。ディケイド関係でカッコいいと思ったライダーは初めてだ(w。あと、4人目のプリキュアは勝手にダンスの先生のお姉さんがなるんだと思い込んでました。ちょっと考えたらそりゃねーな、って話ではありますが。土曜深夜に楽しいのが揃ってて良いですな。

[F1] ドイツGP決勝 (23:14)

タイミングモニタで観戦。ここのところ好調なレッドブルと、ここのところ伸びしろを使いきった感のあるブラウン、って状況に雨の予想もあって荒れるのかな、と思ったがコースはドライ、路面温度高めって状況で、ハードタイヤを履いたレッドブルの速さが際だつレース、だったかな。ウェバー、これが初優勝だったんですね。おめでとう。レッドブルのワンツー、ブラウンが5位、6位ってことで、バトンとヴェッテルのポイント差は21って事になるのかな。このままだと鉄板に見えたバトンのチャンプ獲得、結構微妙になってまいりましたな。ここに来て地力の差が効いてきたってことなんだろうか。フェラーリももがきつつも調子を上げてる感じだし、ブラウンには厳しい後半戦が待っているのかな。


2010-07-12 この日を編集

[Chinema] 宇宙ショーへようこそ

画像の説明 スタッフ
監督:舛成孝二
脚本:倉田英之
音楽:池頼広
撮影:尾崎隆晴
編集:後藤正浩
出演
黒沢ともよ
生月歩花・鵜澤正太郎・松元環季・吉永拓斗
藤原啓治・中尾隆聖・五十嵐麗
公式サイト:http://www.uchushow.net/index.html

山あいの寒村に暮らす子供たちの夏休みの定例行事。それは子供たちだけの一週間の合宿。今年も夏紀、周、清、倫子、康二の5人は休み中の小学校に集まって、一週間の合宿が始まった。だが、今年の合宿はいつもとちょっぴり違っていた。合宿最初の行事は、夏紀がついうっかり逃がしてしまった、学校で飼っていたウサギのぴょん吉の捜索。だがそこで見つけたのはミステリーサークルと、その近くで傷ついて横たわった犬、のような宇宙人だったのだ。ポチと名乗る宇宙人から、傷の手当てのお礼を申し出られた子供たちが選んだのは、生徒が減りすぎて修学旅行が中止されてしまった清にとっておきの修学旅行をしてもらうこと。それを受けたポチは、みんなを宇宙旅行へといざなうのだった…。

「R.O.D」などの舛成孝二監督の劇場用アニメーション新作。自分はOVA版の「R.O.D」ぐらいしか知らなかったので、スタイリッシュと妙に所帯じみた部分が良い感じに混ざり合った作品を作る人、ぐらいのイメージしか持ってなかった。んでもってそういう部分ももちろんあるんだけど、それ以上にこの作品を通して見て感じられるのは「ド直球」。で、その直球勝負を成立させるために持ち込まれるディティルへの並々ならぬ執着心に感心させられつつ時にちょっぴり辟易もする(苦笑)。

お話そのものは極めてシンプル。子供たち(だけ)、夏休み、不思議な出会い、と来たらもう自分の中でのジュヴナイルの必要条件の大部分を満たしてくれているわけだけど、その不思議な出会いから始まる不思議な物語を成立させるための前準備の念入りさにまずは驚かされる。5人の子供たちがこれから始まる冒険を前に、それぞれそこまでにどんな事を見聞きして、どんな思いを持っているのかを実に丁寧に描き込むところからお話が始まるわけで、その丁寧さに好感を持ちつつも、同時にそこはやや冗長にすぎ、かつ(最後まで見ると)描き足りなかったところがあったんじゃないのかな、と思えるところがあってそこが少々残念だったかな。

136分というちょいと長い尺の作品(公開館が少なめなのは、もしかしてこの尺の問題だったのかしら)で、かつ、決して無駄なところがあったとは思わない反面、でもどうにかしたらもう少し切れたんじゃないかと思えるところもあったりして、そのあたりがちょっと歯がゆいのだった。そこは切って、代わりにあれやこれについてちょっと言及してくれたら、と思える部分があちこちにあってね。

と、先にダウナーな事を書いてしまったのでここからは全力で褒める(もちろん基本気に入っているんだよ。子供たち、夏休みと来たらオジサンが反応しないわけがないじゃないか)。先に長いと書いたけれど、それでもお話の造りはすばらしくしっかりしている。ホントは当たり前のことなんだけど、ばらまいたネタをちょいちょい撒きっぱなしのままで終わらせる映画の多い昨今、張ったネタには全て説明をつける、という姿勢はすばらしい。前述した、そこをもうちょっと言及してくれたら、って恨みもなくはないけど総じてすばらしい。

絵とお芝居もすてき。子供たちを演じるのが子役さんって事でかなり心配だったのだけれどそこも杞憂。ナチュラルなところと訓練されたところが良い感じにミックスされ、大変結構(スチームボーイとか、ホントひどかったんだぜ)。

何より自分がジュヴナイルにこうであって欲しい、と思っている条件のかなりの部分をしっかり満たしてくれているあたりでかなりポイントが高い作品になっていると思った。そこまでは行けないかな? と思っていたコイバナのパートまで実は抜かりがなく、しかもそのパートがかなりおいしく出来てるあたりもポイント高い。康二君のエピソードはステキすぎます。

自分としてはもう少し切るべきだったと思える作品だけど、それでもここまで見せてもらったら文句はない、と言うかいろいろあるんだけどそこは下げても良い。若干我慢しなくちゃいけないパートがあるので正直「全員見ろ!」とは言いづらいけれど、うーんそうだな、細田守作品が好きな人、「ちゃんとしたジブリアニメ」のようなものを見たい人にはかなり強めにお奨めできる作品なのじゃないだろうか。オレはとても好きです。これを好いてくれる人がたくさんいてくれることを望みます。夏休みの課題映画、大きい子供たち向けって感じでね。

(★★★★)

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

TUX [●やぁ、乱土さんならこんな風に喜んでくれるだろうなあと思ったまさにその通りに喜んで頂いて、お誘いした甲斐がありました..]

rover [話題ばかりが先行した腰砕け作品かなあ、なんて先入観を持ってたのでTUXさんが褒めてなかったら行く気起きてなかったでし..]


2012-07-12 この日を編集

[Anime] 定期視聴番組

水曜深夜までで溜まったアニメが5時間分ってどーいうことなの? ってことで「カンピオーネ!」、「トータル・エクリプス」、「人類は衰退しました」、「ココロコネクト」、「この中に1人、妹がいる!」。ここまで月曜深夜。火曜日にすすんで「氷菓」まで。

新番組の「カンピオーネ!」はまあ、厨二全開。「トータル・エクリプス」はつまり、先週と今週のお話は本編の前に起こったお話と言うことだったようで。前編が比較的ヌルい造りだったのに比べて、こっちはまた偉い勢いの人死に大会。死に方もなかなか陰惨でよござんした(ぉぃ)。「人類…」も、かーいい絵柄で結構黒いことやってる。

京アニの2軍が作りましたテイストだった「ココロコネクト」、とは言えお話的なヒキってところは結構良い感じなんじゃないでしょうか。「この中に…」はまあ、切っても良いかしらね。制作チーム(よくある「なんちゃらかんちゃら委員会」的なヤツ)の名前が、「委員会の中に1人、妹がいる!」だったのには笑ったけど。

「氷菓」は学園祭のお話。21世紀も10年以上経った時点のアニメで「フロルベリチェリ・フロル」などという名前を聞くことになるとは思ってなかったのでちょっとびっくりした。あと、工作部が頭に被ってた空母がすげー気になる。塗装は日本艦っぽいけど球状船首に開放型ハンガー、なのにアイランドは結構小ぶり、かと思うと艦載機は双尾翼っぽい。これはいったい何なんだろう。私、気になりますっ! んでもまあ最終的には、えるタソ可愛い、ってことで。これが1軍の実力だな(w。


2013-07-12 この日を編集

[Day] もうちょっとだけ、続くんじゃ

だから今日になって「明日の昼までにくれ」、と言われても困る上に、そのことを先に言わずに「いつまでに出来る?」とか言われても、こっちとしちゃ「んじゃ二日くれ」って返事をせざるを得ないんだよDG君。そこで逆ギレして、「明日もらえないと困る」とか言われてもこっちが困るっての。

ってのが昨日の晩のお話。

とりあえず2時くらいまで作業して、これなら何とかなるかな、って感じが見えたのでそこで一眠り。今日は6時起きで続きの作業。1泊1.5日で12ページのコーディング仕事、どうにか完了。

ここまで口を酸っぱくして「ちゃんとチェックポイントを設定して、先にそれをこっちに伝えろ」って言ったのがようやく効いてきたのか、納品直後に「修正要望出すのでそれは16日にもらえたらありがたい」と言う連絡が来たのは収穫と言えば言えるのか。

なんにせよ楽しい3連休、決定ね(つoT)。

[web] 配達されないXREAの手紙

軽石庵さんでアカウント登録をしたにもかかわらず登録手続き完了のお知らせなどの自動返信メールがfailureで返ってくることが稀にあるな、と思ってた(メールアドレスの入力ミスだろうな、と思い込んでた)んだけど、お客さまからのお問い合わせもあったので、調べてみたらこんなのが。XREAからGmailに送信できない(blog.ipweb.org)。お前(GMAIL)が言うな的感じもなくはないが、基本受け入れるしかないんだろうな。当面お客さまには負担かかるけど、GMAILは使わないで、って方針で行くしかないか。なるべくシンプルな解決法があると良いんだけど。


2014-07-12 この日を編集

[Books] 空襲警報 ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス

空襲警報(コニー・ウィリス/著 大森望/翻訳) コニー・ウィリス 著/大森望 訳
カバーイラスト 松尾たいこ
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011944-7 \900 (税別)

犬も勘定に入れてます

日本で独自に再編集し、2分冊としたウィリスのヒューゴー・ネビュラ受賞作を集めたアンソロジー。後編はシリアスなストーリー5編とワールドコンなどでのスピーチ3編を収録。

短編集に関する説明は前巻の感想の頭の方で書いたので前置きはなくてもいいですよね。ということでそれぞれのお話の感想を簡単に。行きますど。

クリアリー家からの手紙

前巻に収録された序文の中でもウォード・ムーアの「ロト」(→内容についてマイ感想)への傾倒ぶりは語られていたけれど、そんなウィリスによる「ロト」リスペクツな一遍。リスペクトが捧げられた元作ほどの狂騒ぶりはなく、むしろ満ちているのは静謐な諦観、とでもいえるものだろうか。元ネタが好きなせいもあって、かなり好きです、これ。

空襲警報

ウィリスの代表作ともいうべきダンワージー教授モノの最初の作品にあたるのがこれ、ということらしい。ちなみに本作でもちょっと顔を出す女学生キヴリンが主役を張るのが大作「ドゥームズデイ・ブック」。

こちらの作品の主人公、バーソロミューがタイムリープする(このシリーズはダンワージー教授のところの学生たちがいろいろな時代に行って、いろいろ冒険する、というお話なんです)のは第二次大戦初頭、バトル・オブ・ブリテン後期のロンドン。ドイツ空軍の空襲下、バーソロミューに課せられた課題とは…。

この短編をベースに「ブラックアウト」と「オール・クリア」の二つの長編が書かれているということで、この時代、そしてセント・ポール大聖堂への思い入れはかなりのものであるのだな、と思わされる。本書の中では一番重い話で、それだけに読み応えもある、と思う。

マーブル・アーチの風

「空襲警報」と同じくロンドンをテーマに、かつロンドン空襲も通奏低音的に扱われた短編。「空襲警報」と違うのは登場人物たちが若さを失い、それゆえに向き合うことになる悲哀のようなものが前にくる。ただその構成はオレには(まだ)ピンと来ない、ってことはオレはまだ(気だけは結構)若いってことなのかね(^^;。

ナイルに死す

クリスティの「ナイル殺人事件」オマージュ的な。小説はともかく映画の方に関しては、オレはポアロは絶対(『オリエント急行殺人事件』の)アルバート・フィニーが絶対だと思ってて、ピーター・ユスティノフはどうだろなあと思ってる方(つまり『オリエント…』以外は認めねー)なんで、そのあたりでの出トチリ感が結構大きい。本作は自意識と認識の複雑な交錯具合が怖さを醸し出すホラーなのだけれど、自分は読んでいて主人公、主人公の夫、その友人の妻の関係性からくるサイコホラーなのかと思って読み進んで行ったものだから、最後まで来たところで「あれ?」と思ってしまった。登場人物が念入りに振ってた伏線をこっちの思い込みで片っ端からイグノアして読んで行って最後に「あっるぇー?」ってなっちゃったのね。てへ、しっぱいしっぱい(w。

最後のウィネベーゴ

新種の疫病で犬が絶滅してしまった世界で語られる、「黒猫のブルース」(だったっけ?)的お話。良い話なのかもしれんけど、オレ、畜生に感情移入できない人間なんだよな。なので何とも評価に困る。これ、そんないい話?

てな感じです。自分の好みはユーモア編を集めた「混沌ホテル」の方でしょうかね。

★★★

[Anime] 定期視聴番組

木曜深夜、「グラスリップ」、「ペルソナ4 ゴールデン」、「黒執事 Book of Circus」、「白銀の意思 アルジェヴォルン」。んー、ここは「アルジェヴォルン」以外は切ってもいいかしらねえ。

[Baseball] マケタデー!

勝ってる間はスルーして、G5-0T。背番号31がカークランドだった頃からの阪神ファン的には、連勝の後にどんだけ連敗するのか、の方が気にかかる訳でね。

明日以降が心配ですわ。


2015-07-12 この日を編集

[Day] ビールクズ、っていいね(^o^)

クールビズのアナグラムだそうですが、こっちの方がしっくりくるよね。つーこって、

やろうと思うと雨に降られて延び延びになってた庭の草引きにようやく着手。一時間ばかりの作業でおおむね良い感じになったので、発泡酒でぷはー。昼飯がピザだったのでそこでまた発泡酒ぷはー。今日は古本の発送があったので、局に持ち込んだあと、近くの焼き鳥屋でビールぷはー。

とても良いビールクズの日でした。ちょっと腰痛いけど(w。

[Anime][SpFX] 定期視聴番組

週末編。「Classroom☆Crisis」、「戦姫絶唱シンフォギアGX」、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」、「仮面ライダードライブ」、「アルスラーン戦記」。土曜深夜全スルー、ってのは初めてかもしれないな。「Classroom…」はもうちょっとだけ見てみる。日曜日は安定銘柄。

[Baseball] カッタデー!

G2-4T。呉は疲れが出てるのかねえ、出れば必ず失点するようになっちゃった。今日は逃げ切れたから良かったけど、やっぱり打つ方にもう少しパワーがついてくれないと…。なんだけど現状、頼りになるのがドメさんだけというね(^^;。


2016-07-12 この日を編集

[Day] 山田太郎という政治家

参院選、比例区で立候補した山田太郎候補。表現の自由を規制しようとする向きに対して明確に反対の立場を取って活動してきたことで、いわゆる広義のオタク層から大きな支持を受けたものの力及ばずの落選とはなったものの彼の個人名での得票数は野党の比例候補の中では最も多い、29万票を超える得票を得手の落選となったことで、いろいろな意見が出ているようだけれども。

この方の来歴を調べてみると、みんなの党(解党)→元気(離党)→表現の自由を守る党(これは結局どうなった?)→おおさか維新(除名)→新党改革(党籍は置かない)と流れ流れて現在に至っているのだね。もちろん個人の力だけではどうにもならない事情もあっただろうけれども、それでもこの(言い方は悪いが)根無し草っぷりはちょっと気にはなっていた。政治家というもの、あくまで個人の資質を重視すべき、とも思うけれど同時に、今のところ日本の政治形態は基本的に政党政治なので、それなりに基盤のしっかりした政党に所属できない個人は、やはりどこか、政党にとって益にならないと思われる部分も持っていて、それが彼の美点を相殺するぐらいの問題点になっていると取られてしまった、なんて事はないだろうかね。

山田候補のこれまでの(議員時代の)活動には評価できるところも多かったと思うし、この方面でがんばってくれたら、とも思えるけれど、個人で出来ることには限りがある以上、所属する政党の協力を最大限に利用できなければ、彼の活動は早晩頭打ちになってしまうと思うんだけど。

今回の選挙、いろんな条件が重なって、ちょっとした祭り状態が演出されたこともあって山田候補はめざましい票数を獲得できたけど、彼は自分の周辺の地固めをしっかりやらないと、祭りが前年な結果に終わったオタク諸君は彼のことなんか忘れてしまうだろうし、そうなったときに今回と同じくらいの祭りを演出するには相当なエネルギーが必要だと思うので、政界への復帰には結構困難な道のりが待っているんじゃないだろうか。

[Anime][SpFX][TV] 定期視聴番組

いろいろ新番組、先週からスタートした「甘々と稲妻」。「うさぎドロップ」とか「ばらかもん」とか、子役の魅力が炸裂する系のアニメとしてとてもいい感じ。amazonで原作コミックスの1巻のKindle版が0円で出ていたので放映前に購入して読んでいたんだけど、原作の感じも上手に取り入れつつ、アニメならではの見どころも用意してくれててとても楽しめる。

天野こずえ原作の「あまんちゅ!」、うん、安定銘柄。なんだけどどこかこう、天野こずえ感が希薄というか、なんかカサカサしてんなあ、というか.

二期もの。「食戟のソーマ」、「アクティブレイド」、ともに安定銘柄ですね(w。

「真田丸も相変わらずおもしろい。今週はスタート時間を5分ミスってちょっとだけ残念でしたが(^^;。

[Baseball] カッタデー

S1-3T。完全にメッセでしか勝てないチームになってしまった…。

[News] 訃報

「ザ・ピーナッツ」の伊藤ユミさん (asahi.com)。もちろん第一義には小美人、なんだけど自分のテレビ鑑賞歴の中でかなり大きなウェイトを占めてると思っている「シャボン玉ホリデー」のメインキャスト。大好きでした、尽きせぬ感謝を。


2017-07-12 この日を編集

[Anime] 定期視聴番組

幾つ残るかな(^^;。「ナイツ&マジック」、まあなんだ、「このすば」と「幼女戦記」の間のどこかに収まるような異世界転生もの、ロボット多め。お気楽な「ダンバイン」というかなんというか。ただ現世でいかにコンピュータ・オタクであったからと言ってその知識が異世界でスペックを超えた何かの力を発揮するものなのか、つーあたりの説明があったのかどうかは良くわからん。まあ今のところつまらなくはない。

こっちは新番組、「プリンセス・プリンシパル」。なんかこう「ごちうさ」的キャラの布陣で「ミルキィホームズ」やるのかと思ってたらそんな事はなく、思ってたよりはるかにシビアな展開で意外だった、し、これは結構面白いんじゃないでしょうか。大英帝国がベルリン状態になっちゃって、その東側にいて西側のスパイとして活動する女子高生、その中には東側の王族までいてまっせ、という。いまさら東西冷戦のニュアンスみたいなものを持ち込んでどうすんのかな、って気もちょっぴり気になるけど、まあ女の子が可愛いから、いいです(^^;。

「アホガール」と「徒然チルドレン」は割と拾い物感高いかも。「アホガール」の文字通りのアホらしさ、「徒然チルドレン」のちょっと外した感じの甘酢感、どっちも好きです。

新番組、「RWBY」、もとはアメリカのCGアニメで、Poserのメーカーが一枚噛んでたりするんですね。ただアニメの出来の方は正直言って一昔前のDoGAの応募作品のレベルで、正直今見れるレベルじゃないと思う。原作は2013年スタートだそうなので、この先クオリティは上がるのかも知れんけど、これを継続してみたいとは思えないな。

絵的なところもそうなんだけど、それ以上に気になるのはお芝居部分。なんというか、アメリカのTVドラマの台詞のやりとり、みたいなものが前述したDoGA崩れのアニメに乗って展開するのね。これがどうしようもなく気持ち悪い。これは悪いけど視聴解除かな。

「Fate」はもう、「RWBY」に比べたら気持ちいい事この上ないので、もうちょっと見ます(^^;。

[Baseball] カッタデー!

T5-4D。昨日はウエポン、今日はヤマト大活躍。秋山投手はちょっと残念だったけど、勝てたのはめでたい。貯金もってオールスター休みに入れるなんて久しぶりなんじゃないのかね(^^;。


2020-07-12 この日を編集

[Anime] 定期視聴番組

「ノー・ガンズ・ライフ」「天晴爛漫」「彼女お借りします」「炎々ノ消防隊」「ソードアート・オンライン WOUW」「宇崎ちゃんは遊びたい」あたりまで。

「ノー・ガンズ…」、えと、前がどう終わったのかさっぱり憶えてない(^^;。「天晴…」は良い感じ。「彼女…」はまだ良くわからん。「炎々…」は楽しいですね。「SAO」、そりゃいつものメンバーが続々救援に来てくれたら、上がらんわけがないよね(w。いろんな意味で話題になってた「宇崎ちゃん」ですけど、ま、普通じゃないっすか(^^;。

[Books] ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

ツインスター・サイクロン・ランナウェイ(小川一水/著) 小川一水 著
カバーイラスト 望月けい
カバーデザイン BALCOLONY.
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031421-7 \760(税別)

てぃー、てぃー、てぃーは天然のてぃー♪

人類が地球をあとにしてから数千年後、様々な星系に移住して、その星系ごとにさまざまな生活パターンを確立している人類。そのうちのひとつ、巨大ガス惑星、FBBことファット・ビーチ・ボールを生息圏とする人類にとって、彼らの生計の手段となるものはFBBの中を回遊する"魚"から採れる焦粉(ベイク)。そのために彼らは巨大な礎柱船(ピラーボート)を駆ってガス惑星に棲む魚を捕っている。礎柱船のクルーは航宙士であるツイスタと、船形や漁網を自在に操るデコンプのコンビ。そしてツイスタとデコンプは男女の夫婦でなければならない。だがやや妄想が過ぎてデコンプの仕事もユニークに過ぎるあまり、ツイスタに恵まれないでいるテラだったが…。

そんなテラの元に現れたのは、小柄で強気な、自らの氏族を飛び出した少女、ダイオード。彼女は女性でありながらツイスタの技量を収めていて、自分とペアを組んでくれるデコンプを求めていて、そんな彼女が注目したのがきわめてユニークな才能を持ったテラだった、と。で、氏族の伝統を一切無視して女性同士のペアを組んで漁に出る二人は、それまでの伝統を覆す漁果をあげるのだが、当然のごとく旧態依然な氏族の覚えはめでたくなく、さらにダイオードの氏族離脱にもいろんな事情があって、そこでいろいろすったもんだが待ち構えていて、って流れが待っている。

本書は先にJAで刊行された百合SFアンソロジーに収録された短編を長編化したもの。そちらは未読なので良くわからんのですが、実は本書、百合SFの要素はさほど濃くはない。まあ思い出したように百合も来ることは来るんだけど、それ以上に濃厚なのはラノベ側に軸足を置いたまま、それなりにハードSFの風味を振ったお話、という印象を持った。自分的にはいかにもな(ラノベ的な)セリフ回しとかで違和感を持つんだけど、考えてみたら小川一水さんってラノベからキャリアスタートした人なんだから、こっち方面も無理なく導入できるよなあ、なんて納得したりして(^^;。

著者の作品、全部読んでいるわけじゃないんだけど、これはそうだな、「臨機巧緻のディープ・ブルー」あたりに近い作品、と言えるんじゃないだろうか。天然な主人公、その対極的(だけど事情がある)相方、と言うメインキャラの配置にそこそこわかりやすいハードSF風味をちりばめてきて、という感じ。「百合」で身構えてしまうとちょっと損するかも。そこはそれほど濃くないので、気軽に楽しめるんじゃないかと。

個人的にはもうちょっぴり重くても良いんじゃないかと思いましたけど、これはこれで良かったです。女性カップル版「The かぼちゃワイン」だなあ、なんて思いました(w。

★★★


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懐かしさ満点

妖精を観るには…

ジュヴナイルとしてなかなか良質

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