カテゴリ一覧
Anime | AV | Baseball | Books | CGI | Chinema | Comics | CS | Day | DVD | Event | F1 | Games | Hobby | HTML | Kindle | Misc | mixi | News | Oldbooks | PC | Photo | SpFX | Stage | tDiary | Tour | TV | web | 逸級介護士
機本伸司 著
カバーイラスト 緒方剛志
カバーデザイン 岩郷重力+Y.S
ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
ISBN978-4-15-208838-3 \1600(税別)
4000年の周期で太陽系に接近する彗星「邇基」の探査に向かった日本の無人探査機"こめっと"だったが、彗星に接近したところで謎のメッセージを送信したあと機能を停止してしまった。何らかの機器的なミスによる探査失敗、と片付けられたこの一件だったが、実はその事故の陰には一つの謎が潜んでいた。探査失敗の責任をとらされた父の汚名を雪ぎたいと思う琴美は、折しも打ち上げを近々に控えた日本初の月着陸ミッションのクルーに、自らが集めた謎のデータを携えて接触を図るのだった…。
晩飯後に軽石庵さんからJコレ借りて読もうシリーズ第3弾。帯に曰く、ファーストコンタクトはカラオケボックスから始まった
。んでもってこのカバーイラスト。わたしゃてっきりカラオケボックスが「装置」として機能する、一風変わった(それこそラノベテイストな)ファーストコンタクト物なのかと思って読みはじめたんだけど、そう言うものでは全くなくて、むしろノリとしては「ロケットガール」とかのそれに近いんじゃないかな。「宇宙に行く」ってところの目的意識とか実現方法とか、そういったところに結構筆を割いていくスタイルの、ラノベ系ハードSF、みたいな。
組織がもたらす閉塞感とか、夢を持ちながらも先行きに今ひとつ希望を持てないでいる若者達が、自分達だけが持つことの出来る挑戦のテーマを見いだして、その実現のためにいろいろ頑張るというシノプシスは、充分燃える物になり得ると思う。着目点は悪くないと思うんだ。ただ本書は、すごくいい材料があったのに板前の腕が悪いのでどうしようもない料理が出来ちゃった、みたいな本になってしまったんじゃないのかな。
たとえばこのお話、最初の月着陸クルーからは落第したアストロノーツ候補生達が、彗星に何かエイリアン的な物の存在を感じとり、そちらとのコンタクトを実現するために(エリートで固められた)正規のクルーをどうにかして使えなくして自分達が彼らに入れ替わって、みたいな展開だったらもうちょっと盛り上がったような気もするんだけどどうだろう、って言うかなぜそうしなかった?
ただ、そこを別にしても小説の造りとしてあまりよく出来た物になっていないのは事実。基本的に1人として感情移入できる登場人物が出てこないってのはどうなんだろう。なんというか、キャラが立ってないとか言う以前にキャラができてない人ばかりが登場し、その場の雰囲気だけで思いつきな長口上を垂れ流し、しかもその口上にあまり責任をとっていない、って展開のお話に気持ちが入るわけはないよね。
月まで(38万キロ)のミッションを不可解な彗星(50万キロ)へ向かうミッションにすり替えるためにどういう手段が必要になるのか、ってところ、それから本書の後半で語られる、異質なものとのファースト・コンタクトって部分、なんていうハードSF的な面白さの取っかかりはあるんだけど、本書に限っては「お話」の造りの部分でそういうのを軒並み台無しにしてしまった、という恨みはあるかしら。基本的に読み手を引っ張る(またはケツをがんがん蹴飛ばす)力が全く足りてないお話だと思った。グレート残念賞。
★★☆
前 | 2012年 1月 |
次 | ||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | 31 |