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日本の週刊少年マンガ誌の草分け、「サンデー」と「マガジン」。その創生から隆盛、そしてさらに強力なライバルの登場による大きな転機を迎えることになるまでの15年を豊富な取材で生き生きと活写。
2009年の刊行なので少し古い本なんだけど、Kindle Unlimitedで入手可能だったので読んでみた。いくつかは知っていたし、そのいくつかよりも多くの、今まで知らなかったエピソードが満載で、サンデー、マガジンと同い年の自分としてはなかなか感慨深い物もあるし、週刊マンガの両巨頭が、ともに横綱の地位を明け渡さざるを得なくなる時がくるまでの物語はとても興味深い。
何もない状態から週刊少年マンガ誌、を作る時にサンデーは最大のネームバリューである手塚治虫を獲得に走り、マガジンはバリューの不足を企画で補う。出だしのこの差はしばらくの間、サンデー有利に働くのだけれど、マンガの文化がある程度飽和しかかってきたときに、トラッドであろうとするサンデーに対し、マガジンの「企画」攻勢が逆襲の牙を剥く。そしてその中心にいたのは大伴昌司だった、と言う展開はSF者的にちょっと胸が熱くなる。
マンガの神様を迎え入れ、トキワ荘チームの漫画家さんを揃えたサンデーの、マンガを読んでもらう雑誌としての王道を行く構想と、マンガ部分の手薄な部分を企画で補填するのだが、そのネタが「怪獣」であったことがマガジン側の形勢逆転の口火になったこと、両誌を読みながら育った読者が青年層になったときに、それまでの少年マンガに飽き足らなくなった層をどう拾うか、と言うところでの小学館と講談社の戦略の違い、とか、一ツ橋対音羽のスタンスの違いも面白かった。
出だしで差をつけられたが故により頑張らないといけなくなったマガジン側にややボリュームが割かれていることと、仕方がないけど戦記ブームとそこから派生した「サブマリン707」それから一回りして登場する松本零士の「戦場まんがシリーズ」って、少年マンガ史の中でどんな意味があったのか、ってあたりの記述があったらさらに嬉しかったんだけど、そんなとこまで手を出したらやたら分厚い本が出来ちゃうだろうから、まあこれはこれでいい案配なんでしょう。
いずれにせよ横綱相撲を繰り広げていた両誌の間にいきなり割って入ってきた、新しいコンセプトの少年誌がたちまち市場を席巻し、ともに後塵を拝し、さらに多様化するメディアの中で少年マンガという物自体が全体的に退潮傾向に呑み込まれる、と言うのが現状なわけだけど、はたしてこの先、黎明期から隆盛期の両誌を支えた様々な名物編集者がまた登場するのか、気にかけておきたいところではありますね。
前にも紹介したけど。マガジンの逆襲の立役者、三代目編集長内田勝氏と大伴昌司氏を扱った本。Kindle無料本なので興味があったら是非。
★★★☆
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