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ピアース・ブラウン 著/内田昌之 訳
カバーイラスト 緒賀岳志
カバーデザイン 岩郷重力+A.T
ISBN978-4-15-012075-7 \980 (税別)
ISBN978-4-15-012076-4 \980 (税別)
ゴールドを頂点に、14のカーストに分類された<ソサエティ>と呼ばれる未来の人類社会。最下層のレッドからとあるレジスタンス組織との接触で人工的にゴールドとして生まれ変わり、この社会組織の破壊のための獅子身中の虫となることを選択したダロウ。いくつかのトラブルも克服し、ゴールドのエリート養成校でトップの地位を獲得した彼は、さらに上の地位、宇宙艦隊指揮官を賭けたテストに参戦する。最終局面に至るまで、勝者のポジションを維持し続けていたダロウだったが……
前作の感想を読んでいただいたら判ってもらえると思うんですが、かなり面白いとは思いつつ、特に前作では後半にかなりテンションダウンというか、割に飛ばし気味に読んで行ってしまった弊害が本書の出だしで降りかかる。前作の後半に登場する何人か(結構多い)のキャラクタが本書では軒並み重要なポジションにいるキャラになってしまっているものだから、本書の序盤、続々登場するキャラクタ達に思わず「どなたでしたっけ?」と思ってしまうんだった。ここをどう克服するか。えーい知るか、で読み進んで行ってみたら案外それで間違いなくて、いつの間にか何となくスジとキャラの辻褄は合ってきて、最終的にそこの所の良く判らん感は解消されてしまっていたのでまあ良かったか。ストーリーテリングが設定を超えて説得力をアピールしてきた、と言うことになるんだろうか。
お話自体は、SFとして特に何か新しい物があるわけではない。未来社会が色分けされたカースト制に支配されていて、それを快く思わない向きがある、ってあたりがまあSFっぽいといえるか。ただまあそこはあくまでバックグラウンドで、お話自体は意外にオーソドックスな人間同士の駆け引きだったり気持ちの動きの方にウエイトが置かれている、とは思う。SFとして何か強烈にアピールする物、ってところは案外薄い。んだけど「お話」としたらこれは結構高いポイントつけても良いんじゃないかな、って気にはなるんだな。
物語のキモってのは最終的に主人公がどんな障害にぶち当たり、そこでどれだけ挫折し、そこからどうやって立ち直り、逆襲に転じるか、って所にあると思うんだけど、そこの所の流れが本書、非常に念入りで、かつスムース、そしてお話のヤマとタニの間の振れ幅もたっぷりある。結果相当なページターナー・エンタティンメントのできあがり、と。
自分を自らがいちばん忌み嫌う支配者階級の一員に改造し、彼らの世界に入り込み、溶け込んで、自分の影響力を発揮していく過程で、最初は昏い情念のみで突き動かされていたダロウが、多くの経験から徐々に、より広い視界を得て深い思想を得ていく様は少年の成長物語としても立派なもの。当然そこで生まれる友情や愛情、それから裏切り、と言った要素も抜かりない。大変良く出来てます。続きが楽しみだ。
★★★★
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