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大森望・伴名練 編
カバーイラスト シライシユウコ
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-031416-3 \1200(税別)
ベテラン作家を揃えた「1」に対して、2010年以降に活動を開始した作家達の作品を揃えた第2集。10編を収録。
最初に「あとがき」の話をするのもどうかと思いますがあとがきに曰く、このアンソロジーを編む上で大森・伴名両氏が候補リストに挙げた作家は74名だったのだとか。しかし本の容量(^^;には限りがある。というわけで残念ながら収録されなかった作品の方が多いわけで、それだけでも'10年代の日本SFがいかに豊作だったか解ろうて事なのかも知れない。今回も結構既読がありますが、行きますど。
連作短編「ユートロニカのこちら側」の第2話、既読。ナノテクノロジーと記憶の物語。
こちらも既読。やっぱり面白いねえ(w。
「泣いて馬謖を斬る」の故事から拡がる奇想、と言えないこともないが拡がり方が人を舐めきっている(褒め言葉)。ほとんどバブリング三国志だな(w。麻雀ネタでポン酒噴きそうになったぞ。
突然四肢が萎縮していく「
ねっとり気味のフリークス風味と、キャラクタの描写のトリッキーさで、結構くらくらしてしまう。オチでああそうだったかと納得する、みたいな。さすがのテクニックと思う。
学校帰りの和恵と美沙が古びたパチンコ屋の傍らで拾った犬…犬? はいったい……
そこから始まるちょっぴりおかしなペットと人間達のちょっと不思議な年代記。それなりにほのぼのとした味のお話が、ラストでちょっとぞわっとさせてくる。富山弁SFの趣もありますな(w。
中国とベトナムの国境付近に棲む少数民族スー族。彼らは産まれた時からVRヘッドセットを装着して生活している。そんな彼らの学術調査に向かった一行が見たものとは。
アカデミック (アカデミックとは言っていない) 寄りなカルチャーギャップもの、と言えるのか。海外の作家でこういうの得意な人がいらっしゃったような気がするんだけど、とっさに出てこないなあ。ハードSF系の人が手すさみでこういうのを書きそうな気もするけど…。
既読。感想も変わらず。上手いこと2行で説明しとるな (自画自賛笑)。単体で収録されているので一言付け加えるなら、本作は「屍者たちの帝国」というアンソロジーに収録された作品なんですよ、ってところかな。
既読。初めて読んだ時は結構戸惑ったみたいだな(w。読み直してみたら「ああ」と。次元のとらえ方をベースにした大ネタ、って事だったんだね。
既読。前に読んだ時も大変気に入っていた。今回ももちろん楽しみました。
合コンで知り合ったちょっと不思議な女性、日菜子。何か惹かれるものを感じつつ、同時に彼女の奇行も気になる彼だった。マンションの10階に暮らしている日菜子なのに、時折11階のことを呟き、そして昏倒してしまうのだ…
がっつりしたSFというよりは、それこそ「すこし、ふしぎ」系というか「世にも奇妙な物語」とか「トワイライトゾーン」的、とでも言いますか。しみじみと、美しい。
ということで。半分が既読ってのはちょっとこう、コスト・パフォーマンス的にはどうだろうって気もしてしまうけど、総じて質は高く、読み返してみても面白かったんだからまあいいか。おバカ一直線の「死せる孔明…」、読み直してもちょっとじわっとくる「従卒トム」、ラブ・ストーリィとしてとても美しい「11階」あたりが好みでしょうかね。
★★★★
時代劇研究家として様々なメディアに登場する、春日太一による全くの時代劇初心者に向けて書かれた入門書。時代劇の楽しみ方、時代劇の歴史、押さえておくべき30のタイトル、監督、役者、時代劇のジャンルにおける注目ポイントなどに分けて平易な文体で解説する。
自分は決してマニアではないけれど、「素浪人 月影兵庫」あたりからぽちぽち時代劇には触れてきた人間なので、正直今の自分に「入門書」は必要ない、と思ってる。それなりになんでこの本を買ったかと言えば、そりゃ巻末付録の富野由悠季さんとの対談が読んでみたかったからですね(w。
そんな不純な動機で購入した本だし、失礼だけど「知ってるよ」な記事の方が多くはあったのは確かなんですが、それでもいくつか新しい知識を得られたのは嬉しかった。いわゆる女忍者の基本フォーマットを作ったのが千田是也だった、なんてのは「へえ」と思いました。あと、時代劇における (1対1の) 決闘はラブシーンである、なんて「見立て」も楽しかったです。文章もあまり難しい方向に行かないように配慮した、噛み砕かれて読みやすいものになっているし、入門書としてはなかなかのものではないでしょうか。時代劇ってとっつき難そうだなあ、でも興味ある(ここ重要)人にはとても良い本になっていると思った。
と言うわけで本書はこれ単体としては大変に良く出来た本、なんだけどこれで時代劇が復権する火口になるか? と言えばそれはどうだろう、と消極的印象も同時に持ってしまうのが辛いところか。これは本書の責任ではないんだけど、いまや多くの人たちの興味は、スクリーンや液晶ディスプレイで何かを観ることに時間を割く、って所に向くのだろうか、ってことなのね。時代劇の面白さは解ったよ、旧作も観てみるよ、でも別に新作は要らないよ、ってのが今の一般的な風潮なんじゃないかなあ、なんて思えてしまってね。
何度も言いますけど、本書に罪はないです。でも現状、この本で時代劇ファンがどかんと増えるか? と言われたらそれはどうだろうなあ、と思ってしまう自分がいるのも確かな所なわけで、なんともモヤッとしたものが残ってしまいますなあ。
あ、おトミさん対談はとても面白かったです。でもこれ富野さん、かなり (春日さんに)「合わせて」対話してるんじゃないかなあ、って気もしました(^^;。
★★★☆
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