ばむばんか惰隠洞

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2005-04-07 [長年日記]

[SpFX] これぞ大人の趣味 (13:15)

制作レポートを見て、「いいなあ、楽しそうだなあ」と思ってた、荻窪東宝さんの「ウルトラQを作る」、めでたく完成。うわあ、ぱちぱちぱち。いやいやいや、これはすばらしい。一ノ谷研究所、星川航空のセスナ、主人公三人組、関デスクの出番もちゃんと用意。それから随所に挟まる「ウルトラ」シリーズの名所。お話の展開やそのトーンなんかも、ちゃんと「ウルトラQ」してるよ。ついでに「ハイシーA」のCFにもワラタ。そう言えばガキのころ、「はいしーえー♪」とか歌ってたよなあ、なんて思い出して妙な懐かしさも。いやあ、これは結構なモノを見させていただきました。

[Anime] 今日のナ・イ・ショ (13:38)

本日は豪華2本立て。第11話「バレンタインディ 〜はづきのないしょ〜」、第12話「7人目の魔女見習い 〜のんちゃんのないしょ〜」。はづきちゃん編の方はまあ、こんなところか(5人のおジャ魔女たちの中では、なぜかはづきはいいお話に恵まれていない様な気がするなあ)。決して悪いお話ではないと思いますけど、あとに控えし12話が悪い。

で、その12話なんですが、ええもう泣きましたさ。100%展開は予想できるし、実際思った通りの展開だったんだけど、ちくしょうめ、目から鼻水が出て止まらねえぜ。ぐしっ。

ラストの二段攻撃、反則だろこれ。思い出しても泣けてくらあ(つoT)。

[Books] 反対進化 (24:21)

本書カバー エドモンド・ハミルトン 著/中村融 編
カバーイラスト 森流一郎
カバーデザイン 東京創元社装幀室
創元SF文庫
ISBN4-488-63703-5 \920(税別)

スペース・オペラの巨匠としての側面ばかりが強調されがちなハミルトンのもうひとつの魅力、中短編SFの奇想の面白さを存分に味わうことが出来る日本版オリジナル短編集。表題作他計10編を収録。うち3編は本邦初訳。

読み終えて最初に感じるのは、懐かしさ。青二才だった私が最初に触れたSFの香り、というのはこういう物だったよな、と。緻密ではない。「科学」を謳いながら実はそれほど科学的ではない、でも「未来」を見ている。そんなイメージ。あと、特にハミルトンが晩年にさしかかってくるにつれて見えてくるいくばくかの寂寥感も、終末SFの多かった時期にSFを読み始めた私としては、「ああ、こういうのあったよなあ」的懐かしさとほろ苦さ(子供心に「このままじゃ地球はダメなんだから何とかしなくちゃ」ってかすかに思ったよなー)。

そんなノスタルジーに浸りつつ、それだけでは終らせないのがやはり巨匠と呼ばれるSF作家の視点の鋭さと確かさであり、編者の腕の冴えなんだろうな、と思う。例えば科学考証と言った部分で、1930年代のSFに今のそれの緻密さを要求するのは無理な話だし、実際に今となってはそれはまずあり得ないだろ、と言わざるを得ないトピックというのは多数存在する。んでも、そう言う物の先に据えられている「未来」への考察であったり、ありふれた物事に、少し視点を変えて接することで生まれてくるワンダー、の様なものへ視線を向ける、その発想の鋭さ、みたいな物には舌を巻く。最新SFが持つ"エッジ"な感じはないけれど、その代りに「古典」が持つ普遍的価値、に満ちた短編集、と申せますか。以下、収録された作品ごとの感想を手短に。ネタバレになったらごめんね。

アンタレスの星のもとに(1933)

純正異郷冒険SF。ジョン・カーターなら「ああ、あそこ(火星)いきてー」と思った瞬間その地に行ってしまうのだけど、そこにSF的肉付けをするのがSF作家。これがスター・トレックの転送装置にアイデアを提供した、なんて歴史的事実があったら楽しいんだけど、どうなんだろう。

呪われた銀河(1935)

「宇宙戦争」的オープニングに当時のホットな話題だった膨張宇宙説を絡めた短編。いやあ、このネタはベイリーあたりにリメイクして欲しいなあ。「宇宙は××から逃れるために膨張し続けてるんだよ!」「な、なんだってー!?」

ウリオスの復讐(1935)

これは「妖女伝説」の一環として、星野さんでマンガにしてもらうのがいいかも。特オタ的にはやはり、「緯度0大作戦」っすかね。

反対進化(1936)

「視点」を変える、あるいはずらすことで、それまでの常識と思えた物が実は重大な意味を持った物に見えてくる、タイプの佳品。解説にもあるとおり、この作品の持つムードは、第一期から第二期にかけての日本SFに、かなり影響を与えているような気がする。

失われた火星の秘宝(1940)

「キャプテン・フューチャー」と舞台設定を同じくする世界の中でのアドベンチャーSF。軽いミステリ風味の「謎解き」が結構楽しい。

審判の日(1946)

「ワイルド・カード」とは関係ない……と思ったら意外に共通点もあるかもなあ。「核」と「終末」をテーマに据えた、私にとっては「いかにもSF」な作品。これも解説で中村氏が書くとおり、手塚、もしくは石森マンガで読んでみたいと思わせる作品。私なら「アンドロイドV」あたりの頃の石森さんのマンガで読みたい。

超ウラン元素(1948)

これも「視点」の冴えが光る。これと同じ事をやってるのが、実は「パラサイト・イヴ」だったりするんだよね。

異境の大地(1949)

これまた「視点」が変われば世界はこんなにも違って見える、系の佳品、と言うか個人的には傑作。今風に言うならバイオホラーSF、ってことになるのだと思うけど、「視点」が変わったことで見せられる、普段見なれた風景の、全く違う一面が極めてヴィヴィッドに描写される。ここに一種の秘境冒険譚風味が加えられて読み応え充分。

審判のあとで(1963)

少し時代が経ち、晩年と言える年代となったハミルトン作品。時代はかなりずれるけれど、「サイレント・ランニング」に通じるトーンが感じられる。透明感と寂寞感。

プロ(1964)

人々に「あり得ない」夢を紡いで見せた一人のSF作家。かつて彼が思い描いた「見たことのない未来」は、今や現実の物となろうとしていた。その時老作家の胸に去来する感情は…。悲しくも美しい佳品。主人公バーネットは多くのロートルSFファンにとっては人ごととは言えない存在であるだろうなあ。

てなところ。私のお薦めはもう、「異境の大地」。このイメージはすばらしい。ま、それはともかくとして、ロジックとスペックでがんじがらめの今のSFが、なんだか堅苦しくて面白くない物ばかりを世に出しているように思えてしまう、「SFってこうだったよな」的快感に浸れる短編集。おすすめです、これは。

(★★★☆)

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
Kyan (2005-04-09 11:09)

こんにちは。<br>こちら経由で「ウルトラQを作る」にたどり着いて感動いたしました(^^)<br>で,ネタ元ということでこちらにトラックバックさせていただいたのですが,以下のエラーではねられました。<br>Ping 'http://www.bumbunker.com/tb.rb/20050407' failed: cannot convert nil into String<br>当方のブログはMovable Type 3.15-jaです。<br>では,ご報告まで。

rover (2005-04-09 17:12)

Kyanさん、ご連絡どうもありがとうございます。調べてみたんですが、こっちからTrackBackは送れるけど、受けることができないみたいですね。ふうむ……。


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